夫の宿題 の商品レビュー
夫・遠藤周作の遺志を継ぐことを宣明した回顧録
本書は、小説家遠藤周作の妻である著者が、夫の死後、二人で生きてきた半生を振り返り、夫の闘病の姿やその死生観、作品に込められたキリスト者としての心情などを、長年寄り添ってきた妻そしてカトリック信者ならではの視点から述懐し、夫の遺志を継ぐことを宣明した回顧録である。全編を通して溢れて...
本書は、小説家遠藤周作の妻である著者が、夫の死後、二人で生きてきた半生を振り返り、夫の闘病の姿やその死生観、作品に込められたキリスト者としての心情などを、長年寄り添ってきた妻そしてカトリック信者ならではの視点から述懐し、夫の遺志を継ぐことを宣明した回顧録である。全編を通して溢れているのは、著者の、夫に対する献身的な愛情と深い敬慕の念、そして夫を立てる慎ましさと芯の強さである。遠藤が書いた代表作の一つ「沈黙」にまつわる執筆前後のいくつかのエピソードに触れた部分は、遠藤の信仰心の厚さや誠実さ、名作誕生の機縁などを知ることができて非常に興味深く、日本におけるキリスト教の在り方に関する考え方には、大いに共感できるところである。
fugyogyo
結婚生活のこと、執筆のこと、キリスト教のこと、医療・闘病生活のこと、そして死のこと。遠藤周作との生活を綴る。 ~自分は捨て石にはなりたくないが、踏み石には喜んでなる。踏み石は一つ置いてもまだ不安定でぐらぐらしているだろう。でも人々がその踏み石をふんでくれ、またそのまわりへ次々と...
結婚生活のこと、執筆のこと、キリスト教のこと、医療・闘病生活のこと、そして死のこと。遠藤周作との生活を綴る。 ~自分は捨て石にはなりたくないが、踏み石には喜んでなる。踏み石は一つ置いてもまだ不安定でぐらぐらしているだろう。でも人々がその踏み石をふんでくれ、またそのまわりへ次々と踏み石を置いていけば、やがて踏み石もしっかりしてくる。 『死について考える』・・・病気とか老年というものは、神様がそろそろ自分の素顔を見てごらん。それが私のところへもってくるお前の本当の顔なのだよ、と鏡を渡してくださる時だと思う。・・・今まで生活の場で欲張って、あれもこれもと背負いこんでいたものを整理する時期のように思います。
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遠藤周作夫人の手による、遠藤周作の回顧録。 ゆったりと丁寧な文章は読んでいて心地よい。 また、遠藤の人となり、ちょっとしたエピソードなども興味深かった。 後半の宗教に関することは自分には計り知れないことだけに、戸惑いの方が大きかったように思う。
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