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九つの、物語 の商品レビュー

4.2

154件のお客様レビュー

  1. 5つ

    63

  2. 4つ

    44

  3. 3つ

    29

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

    1

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2013/09/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ある日、死んだ兄が目の前に現れた。 兄は生前そうしていたように、本を読み、女の子とデートをし、料理をして、食事を摂る。 しかし当たり前のように続くかのように見えた日常は、母からの手紙であっけなく崩れてしまう。 物語は九つの章に区切られていて、それぞれ本が一冊出てきます。 あいにくそれらを読んだことは無いので、読んでいたら捉え方も少し違っていなのかなと思いました。残念。 でも川でのシーンや、トマトソースを教わっていた時のお兄ちゃんとゆきなの会話からはお互いへの愛情が溢れていて涙腺をやられました。 読み終わった後清々しさや、切なさがじんわりと残って、「いい作品だったなぁ」と素直にそう思えました。

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2013/09/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

始まりは、ゆきなとお兄ちゃんの会話に緊張感があり、読んでいる方も緊張してしまった。その緊張感からてっきり近親××系の話かと思ったが、お兄ちゃんが他界していたと知り納得。 香月くんとの恋愛が静かに進んでいく中で、お兄ちゃんとの過去の思い出が良い具合にでてきて、仲の良い理想的な兄妹だなあと思った。お兄ちゃんが亡くなってしまった理由を知ってしまったゆきなは傷ついたけれど、きっとこのお兄ちゃんとの奇妙な同居のことを幸せな思い出として生きていくのだろうと思う。 とっても優しい物語でした。

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2013/09/01

1つ目の話の終わりにまさかの衝撃事実 この先どうなるんだろうと最初はハラハラしましたが、読み進めていくと穏やかな気分になったりちょっと苦しくなったり… お兄ちゃんのちょっと遠回しの優しさ感動しました ゆきなを取り巻く周りの人々も個性的で面白いです 8つ目の話の終わりは涙が出てしま...

1つ目の話の終わりにまさかの衝撃事実 この先どうなるんだろうと最初はハラハラしましたが、読み進めていくと穏やかな気分になったりちょっと苦しくなったり… お兄ちゃんのちょっと遠回しの優しさ感動しました ゆきなを取り巻く周りの人々も個性的で面白いです 8つ目の話の終わりは涙が出てしまいました

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2013/08/30

東野圭吾の著書ばかり読んでいたころに図書館で発見した思い出深い本。文庫本のほうに内容の感想は書いた。表紙はこちらのほうが好きで、中身のデザインは文庫本のほうが好き。

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2013/05/19

「読んだあと、なんか しみじみするなぁ」の一冊を教えて。 と レファランスしたときに 教えてくれた素敵な図書館司書の方のお薦めの一冊。  正解でした。それも どんぴしゃり。 ー泉鏡花の「縷紅新草」を読んでいた。 に始まり、それぞれの章にそれぞれの文豪たちの一冊が登場する。 それ...

「読んだあと、なんか しみじみするなぁ」の一冊を教えて。 と レファランスしたときに 教えてくれた素敵な図書館司書の方のお薦めの一冊。  正解でした。それも どんぴしゃり。 ー泉鏡花の「縷紅新草」を読んでいた。 に始まり、それぞれの章にそれぞれの文豪たちの一冊が登場する。 それを読んでいなくても全く大丈夫。 それらを上回る すてきな物語が紡ぎだされていく。 あぁ いい時間を持てたな。 と 思わせてもらえる一冊でした。

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2013/04/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ふたつ後悔したことがあります。 ひとつ、寝る前に読むべきではなかった。お兄ちゃんの料理はどれも皆美味しそうで、お腹がすいて仕方がありませんでした。 もうひとつ。一気読みしなければよかった。一つ一つの物語を、一日ずつ、慈しみながら、咀嚼して飲み下していけばよかった。それほどにこの物語は優しくて、切なくて、脆ささえも抱えているのに深いのです。 九つの文学作品とともに語られる物語。語り手である「わたし」こと藤村ゆきなのもとにまるで当然のように現れた、死んだはずの「お兄ちゃん」。たくさんのガールフレンドと付き合ったり、お料理が得意だったり、そしてゆきなとは正反対の容姿と性格を備えたりしている彼と、ゆきなの彼氏である香月くん。三人を軸に紡がれる、どこかに歪さを残した日々。 泣いてしまった、ということを感想で書くのは、なんだかチープになってしまう気がしていつもはばかられるのですけれども、ラストでは泣いてしまいました。 「たまに深刻な顔で悩んでいる奴がいるだろう。ああいうとき、だいたい人ってのはなにも考えてないんだよ。黙ってるくらいだったら、なにか話した方がいいよ。あるいは動いたほうがいい。例え間違った方向に進むことになったとしても、立ち止まってるよりはずっとましだ。だって、歩いてさえいれば、どこかにはたどりつくだろう。想像もしなかった場所かもしれないじゃないか、そこが」 お兄ちゃんがゆきなに語りかけるのは、ゆきなが知らず知らずのうちに心の奥底にしまいこんだものを、温めるためだったのかもしれません。

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2013/04/13

大学生のゆきなのもとに突然、もういるはずのない兄が現れた。料理上手で本を愛し、恋人を次々にとっかえひっかえして自由奔放に振舞う兄に惑わされつつも、ゆきなは日常として受け入れていく。奇妙だが心地良い二人の生活は、しかし永遠には続かなかった。母からの手紙が失われた記憶を蘇らせ、ゆきな...

大学生のゆきなのもとに突然、もういるはずのない兄が現れた。料理上手で本を愛し、恋人を次々にとっかえひっかえして自由奔放に振舞う兄に惑わされつつも、ゆきなは日常として受け入れていく。奇妙だが心地良い二人の生活は、しかし永遠には続かなかった。母からの手紙が失われた記憶を蘇らせ、ゆきなの心は壊れていく。 この物語は九つの章で構成されていて、それぞれの章にひとつずつ文学作品が登場する。本好きの兄が残した蔵書をゆきなが読み、彼女はその書に出来事や感情を重ねていく。私は文学作品はほとんど読まないが、ゆきなが本に引き込まれていくにつれて「読んでみたい」と興味を持った。 また兄が作る料理も私を惹きつけた。二人が再会した夜に兄が作った懐かしいトマトスパゲティ、ゆきなの彼氏、香月君を家に招いたものの、なぜか香月君と兄で作ることになった小籠包、心を壊して食べ物を受けつけないゆきなに、兄が一口ずつ食べさせたパエリア・・・一品一品に兄がゆきなを大切に思う持ちが込められているようで、温かな料理同様、私の心もほっこり温かくなった。 いわゆるチャラ男な兄に対して、ゆきなは地味で交友関係も広くない。二人の性格は正反対で、兄妹らしく憎まれ口をたたくこともあるが、互いに相手を深く思いやっていることが伝わってくる。兄が不在になる以前から仲の良い兄妹だった二人は、つかの間の再会であるという予感を抱いていたからこそ、一緒にいられる時間をより大切に刻んでいたのだろう。 過ぎ去った存在である兄のおかげで、ゆきなは崩壊した家族、過去の出来事に向き合い、未来へ一歩ずつ歩み始める。生と死、家族の崩壊を描いているにもかかわらず、全体が温かな空気に満ちていて、やさしい気持ちになれる物語だった。

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2013/03/09
  • ネタバレ

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兄が、料理と空気で妹の背を押す物語。 主人公の周りには、相手との距離を慮る人々が多い。他人だから踏み込まない距離、家族でも踏み入らない距離。彼女は、彼らの距離感、間の取り方、踏み入らない関係を察し、感謝と共に上手に受け入れる。その彼女が、持て余し、時間をかけてなお解せなかった塊を、兄がそっと一押し解いて行った。

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2013/03/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「ふれられるよ今は、君のことを」を読んだあとだけに 人が消えたり現れたりする状態が重なった。 もちろん、まったく同じではないけれど。 幽霊となって妹・ゆきなの前に現れる兄・禎文。 いっしょに本の話をしたり、出かけたり、おいしいごはんを作ってくれたり。 橋本さんのごはんは仰々しくなく、頭のなかに自然と浮かんでくる。 それはときにとても鮮やかだ。 禎文がゆきなの香月くんとの恋を見守る姿勢もあたたかい。 ゆきなが合コンへ行ったときの香月くんとの電話のやりとりでは 「ああ、もう。どうして帰らないのーーー」とじれったくなったけれど 当人にしてみると帰れなかったりするよね・・・とも思ったのだった。 人の気持ちはむつかしい。 距離ができてしまったふたりをみながらつくづく思った。 謝ってもらえればもとどおりになれるということではないし、 それが心からのものでも抱いてしまった感情は なかなか消えてはくれない。 どんなときも仲直りは大仕事だ。 禎文の死の理由がそんなことだとはまったく思わなかった。 表紙のイラストがステキ。 やわらかい雰囲気がピッタリ。

Posted byブクログ

2013/02/13

どういう話か全く知らずに読んだため、最初この兄妹の恋愛の話かと思った笑 まあ、あながち間違ってはいないよね? 恋愛、ではなくて深い家族愛のお話。 日本文学では有名な九つの作品が各章のタイトルになっていて、主人公の気持ちとリンクしたりしながら少しずつ引用されてます。 『待つ...

どういう話か全く知らずに読んだため、最初この兄妹の恋愛の話かと思った笑 まあ、あながち間違ってはいないよね? 恋愛、ではなくて深い家族愛のお話。 日本文学では有名な九つの作品が各章のタイトルになっていて、主人公の気持ちとリンクしたりしながら少しずつ引用されてます。 『待つ』とか『蒲団』とか『山椒魚』とか。 残念ながら私はこの九つの作品すべて読んだことがありません。 読んでたら、もっともっと主人公の気持ちに近付けたのかもしれないな。 小学生のときに『吾輩は猫である』を読んで、ぜんぜん物語に入っていけなくて昔の文体に拒否反応を起こすようになってたんだけど(笑)この作品を読んで、すごく読んでみたくなりました。 特に山椒魚なんて、改編前と改編後では結末のとらえ方が違くてどっちがいいか議論してるけど、どっちも読んだことないからわからないんだもん!← でもその章の『みんな違って当たり前』みたいな言葉がすごく心に残りました。 あと『世界になじむようにいなくなっていく』みたいな表現も好き。 心にすーっと言葉が入ってきて、しぜんと温かい気分になれる作品でした。 図書館で借りた本だけど、これはちゃんと買って手元に残しておきたいな。

Posted byブクログ