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妖女サイベルの呼び声 の商品レビュー

4.4

39件のお客様レビュー

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2013/02/15
  • ネタバレ

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【ハヤカワFT1】名前で相手を縛ることができる妖女サイベルの成長の物語。人よりも自分が従えている獣に信頼を寄せていたサイベルは、人と関わることによって愛すること、憎悪することを知ってゆく。 終盤、獣たちがサイベルの呼び声だけで縛られていたわけでなく、彼女に対して信頼を寄せていたとわかる場面がとてもよかった。

Posted byブクログ

2012/11/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

KiKi の手持ちの本の書影はこれ(↑)とはちょっと違って、もっとパステルチックな色使いの本なんですけど、まあ、それは置いといて・・・・・と。  なかなか読みごたえのあるファンタジーだったと思います。  だいたいタイトル(邦題)がいいですよね。  いきなり「妖女」ときたのでどんなに怖そうな女性が出てくるのかと読み始める前は思っていたんですけど、意に反して美しくも初心な(世慣れていない)女性だったので、実はちょっと拍子抜けしてしまいました(苦笑)。 物語全体のトーンは重厚で寡黙な雰囲気で、どこか神話世界を思わせます。  彼女が山奥で共に暮らしている幻獣の顔ぶれが実に魅力的です。  あらゆる謎の答を知り、吟遊詩人のように伝承民話を吟唱できる赤い眼と白い牙の猪・サイリン、ある魔術師を殺害した7人の男を八つ裂きにした青い眼の隼・ター、ある王女を幽閉中の石塔から背に乗せて救い出した大きな翼と黄金色の眼を持つティルリスの黒鳥、呪術と不可思議な魔力の持ち主として語り草となっていた巨大な黒猫・モライア、王の財宝にも匹敵する黄金のライオン・ギュールス、宝物を褥に長い間まどろんでいた竜・ギルド。 どの幻獣の姿もありありと想像できるような筆致で描かれ、しかもそれらが昨今のRPGのグラフィックスみたいな作りもの感が薄く、それぞれに固有の魅力を放っています。  これら、猪とか隼とか黒猫といったリアル感のある動物であるあたりがいいですねぇ。  一歩間違えれば普通の動物と何ら変わりはないんだけど、それでも彼らが幻獣となりうるのは彼らが持っている「物語」に端を発しているというのが実に KiKi 好みです。  ま、ちょっとだけCGっぽいパーツもあるけれど・・・・・ ^^; さて、物語の主人公サイベルは彼らの往方(いにしえ)の名を呼ぶことによって彼らを服従させているわけだけど、この「名前」の扱い方もいいですねぇ。  ちょっと「ゲド戦記」に通じる部分もあるプロットだとは思うけれど、昨今のファンタジーのお手軽っぽい魔法よりもそこに歴史の重みとか、原初の世界の不思議みたいなものを感じさせる妖術だと思います。 さて、このサイベルのどこが「妖女」なのか??  確かに彼女が持っている不思議な力(彼らの名を呼ぶことによって幻獣を従わせている力)は妖術と呼ぶに相応しいけれど、それより何より彼女が普通の人たちとは決して交わろうとせず、山の中で隠棲し、「何を考えているのか、どんな感情を抱いているのかわからない女性」であることが最大の原因だろうと思うんですよね。  孤独を孤独とさえ感じていない彼女の日常が、フツーの人々にしてみれば脅威であり、理解の範疇を超えたもの≒妖しげなもの だったのだろうと思います。 人間らしい感情を何も知らずに「力」だけは持ち合わせていた頃のサイベルは言ってみれば失うものは何もなく、無敵と呼んでもいいくらいの存在でした。  そんなサイベルが預けられた赤児を育てていく中で、「フツーの人が持つ感情」にどんどん目覚めていきます。   子供を愛おしむ気持ち、子供が父親を慕う気持ち、母親が示す無償の愛、男性が女性を恋うる気持ち・・・・・。  そして、それらの感情を学んでいく過程で彼女は人間が持つ「負の感情」にも目覚めていきます。  孤独が恐怖を育て、恐怖が憎悪を育むという負のスパイラルをも。 そしてありとあらゆる感情を我が物として意識した時、彼女は彼女に馴染んだ世界、それと切り離されたらそれまで「これが自分」と認識していた自分を失うことを承知の上で、それらとの決別を決心します。  幻獣たちを自由に解き放つ彼女の姿は痛々しいまでに神々しいと感じます。   そして・・・・・・ 最後の最後、彼女を現世に呼び戻したのは彼女が慈しんだタムローンが彼女を「呼ぶ声」であり、同時に「呼び声に応えて自らの意志で来てくれる者」であるコーレンの側に彼女は自分のいるべき場所を見出します。  人も獣も、この世に存在するありとあらゆるものは、名前があるから名前と共に存在することができている、他者からその存在を認識されている・・・・。  そんなことを感じました。

Posted byブクログ

2012/09/22

泣けた。悲劇とか人が死んだりとかそういうのではなく、琴線にふれた。 復讐心がひとを滅ぼし、日々培ってきた積み重ねで救われる。 良い話。

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2012/08/05

なんとなくスッキリしなかった。周りを不幸にしてまで(しかも最愛の二人を)貫かなければならないことって、それほど多くないと思うのだけど。そこらへん、どうなのっていう感じだった。

Posted byブクログ

2011/11/17

うーん。なんとなく最後までどんどん読んでしまったから、おもしろいのか?!あんまりストーリーに感情移入できなかった。確かに、人物の描写が少ないわりにイメージできてしまうところはスゴイけど・・・。うーん。

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2011/03/21

けもの達を呼び寄せ従える力を持つ魔術師サイベル。彼女に縁のある赤子を預けるためにやってきた騎士によって運命は大きく変わる。読みやすく綺麗な文体で伝説のけもの達の気高く優雅な姿が伝わってきました。それと気高くも優雅でもありませんが、サイリンの意地悪なおせっかいの後に放ったセリフも結...

けもの達を呼び寄せ従える力を持つ魔術師サイベル。彼女に縁のある赤子を預けるためにやってきた騎士によって運命は大きく変わる。読みやすく綺麗な文体で伝説のけもの達の気高く優雅な姿が伝わってきました。それと気高くも優雅でもありませんが、サイリンの意地悪なおせっかいの後に放ったセリフも結構好きです。そしてサイベルが人を知ることで愛と憎しみを知り、憎しみを乗り越える描写が心地よかったです。

Posted byブクログ

2019/01/16

岡野玲子さんのイラストが装丁のを持っているんだけど、 データが出てこない・・・限定出版とかだったのか? 勘違い? 昔話や伝説のような物語。 主人公の魔女(妖女)サイベルの行動や考え方の変化には、 ちょっとついてけないところもあるけれど、 その行動の不可解さも併せて昔話的? でも...

岡野玲子さんのイラストが装丁のを持っているんだけど、 データが出てこない・・・限定出版とかだったのか? 勘違い? 昔話や伝説のような物語。 主人公の魔女(妖女)サイベルの行動や考え方の変化には、 ちょっとついてけないところもあるけれど、 その行動の不可解さも併せて昔話的? でも、ぐいっと引き込まれて読める物語。ときどき読み返します。 岡野さんの漫画「コーリング」と併せて読むと魅力倍増です。

Posted byブクログ

2010/11/12

今まで読んだ中でも、かなり異質の作品です。 物語はサイベルの周囲の狭い範囲で進行して、登場人物も少ない。それなのにどんどんと深いところへ引っ張り込まれていくのです。 そして本作以降、海外のファンタジーにどっぷりハマっていきました。

Posted byブクログ

2010/07/19

「いつかあなたも気づかれる日が来るでしょう、 呼び声に応えて自らの意思で来てくれる者があるということが どんなに心強いか」

Posted byブクログ

2010/07/05

女性作家に女性翻訳というのが気になって手にとりました。 ファンタジーかと思いきや、愛と憎悪のお話でした。なにも想像せずに読んでいたからちょっとびっくり。ハッピーエンドでよかったです。

Posted byブクログ