水上勉作品集 日本の戦争 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
水上勉作品集「日本の戦争」、269頁、2008.2発行。短編6話と長編1話が収録されています。著者水上勉氏は、徴兵検査時は肺結核で丙種。昭和19年5月に26歳で召集。「特務兵が兵隊やったら、蝶やトンボも鳥のうち」と言われた馬の世話をする輜重輸卒に入隊、1ヶ月半過ごしたそうです。短編では「比良の満月」が胸に響きました。長編の「兵卒の鬣(たてがみ)」は、著者のほぼ実体験とのことです。
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「兵卒の鬣」を読んだ。昭和19年作者が25歳の時、召集された。京都の墨染で、馬の世話をする特務兵(昔の言い方では、輜重輸卒)だった。 軍隊の話は確かにいろいろ読んだことがあるが、こんな仕事の兵隊がいたことは初めて知った。この特務兵は、「天皇の馬」の世話をするのだが、その馬以下...
「兵卒の鬣」を読んだ。昭和19年作者が25歳の時、召集された。京都の墨染で、馬の世話をする特務兵(昔の言い方では、輜重輸卒)だった。 軍隊の話は確かにいろいろ読んだことがあるが、こんな仕事の兵隊がいたことは初めて知った。この特務兵は、「天皇の馬」の世話をするのだが、その馬以下なのだ。
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「馬は天皇陛下の馬だが、お前たちは、その天皇の馬の世話をするために一銭五厘(召集令状のハガキの値段)で集めたものだ」 作品中、何度も出てくるこの言葉。 その時代「人の命」がいかに軽んじられていたのか。 静かな怒りと哀しみを湛えた作品集。
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