大聖堂 の商品レビュー
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カーヴァー的な人生。まともな人間に見えて実は崩壊している男と女。自分の人生と比べて全く違うもののように思えるけど、どこかこんなふうに落ちぶれることもあるかもしれないと思われてしまう。 基本的に幸福は、長くは続かない。そして訳の分からない罠みたいなものがあってどうしようもできない。人生とは、そういうものだよ。そう語りかけてくる。 特に印象に残ったのは『羽根』。自由で大胆な半野生の孔雀と、驚くほど醜い赤子に触れた夫婦のその後の人生。結局落ちぶれて行く運命。ゾッとする怖さがある一方で、ユーモアもあり、クスッと笑えるところもある。 同じように、どうしようもなく、落ちぶれて行く、『コンパートメント』名実ともに孤独を一直線に進む主人公。救われなさが切ないが、どこか爽快感もある。 ポッドキャスト『超相対性理論』で紹介されたことがきっかけで読んでみたが、たしかに誰かとなぜこうなったのか、こう訳したのか、話し合ってみたい。 人の数だけ人生があり、複雑だけど、結局のところ自分にはどうすることもできないという面白さがあり、そこで足掻きながら生きることが大切なんだと思えた。
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小さい頃、お父さんに「なんかお話してー」って言うとよくパン屋さんの話をしてくれたんだけど、それオリジナルストーリーだと思ってたらそうじゃなくてこの中の「ささやかだけれど、役にたつこと」だったことがこの前判明した^^ 覚えてるくらい好きな話なので置いとく
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贅肉を削ぎ落とした珠玉の短篇集。控えめで繊細なのに、がっしり心を鷲掴みされるような不思議な感覚になります。安っぽいセンチメンタリズムを寄せ付けない、なのに弱った心にはぴったり寄り添ってくれるのです。 「大聖堂」も大好きですが、「ささやかだけれど、役にたつこと」がお気に入り。村上春...
贅肉を削ぎ落とした珠玉の短篇集。控えめで繊細なのに、がっしり心を鷲掴みされるような不思議な感覚になります。安っぽいセンチメンタリズムを寄せ付けない、なのに弱った心にはぴったり寄り添ってくれるのです。 「大聖堂」も大好きですが、「ささやかだけれど、役にたつこと」がお気に入り。村上春樹の訳も素敵です!
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訳者が絶賛してることに納得した。 「ささやかだけれど、役にたつこと」理不尽な死の共有。 「轡」とても主観的な視点で読むのに集中力がいる分引き込まれた感がある。ベティーの夢の話が好き、ラストシーン切なくてしみじみとしてる。主人公の主観の中でも相手がまだ話すと思ったのにそこで話が途切れてしまったってやつが気になった。 「大聖堂」とても良い 「僕が電話をかけている場所」の良さが分からなかった。 再読したい。
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初めてのレイモンド・カーヴァー。 物悲しい。切ない。でも一筋の優しさ。 でも好きだったのは『コンパートメント』。 救いがない。でもきっと人がすれ違ってしまう時ってこんなもの。
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まだ読み途中なのですが、、、 選書サービスで選んでもらった本。外国文学読むのオススメっていうことで。 何言ってるのか分かるようで全然分からない! いつも時代や文化を背負って読書してるんだなってよく分かりました。 どういうこと!?ってなって、ネットなどで書評とか読んで、というのを繰...
まだ読み途中なのですが、、、 選書サービスで選んでもらった本。外国文学読むのオススメっていうことで。 何言ってるのか分かるようで全然分からない! いつも時代や文化を背負って読書してるんだなってよく分かりました。 どういうこと!?ってなって、ネットなどで書評とか読んで、というのを繰り返してます。なかなか終わらない。 でも、この本結構オススメです。面白い。
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酷暑ビブリオバトル2024 第1試合 2ゲーム目で紹介された本です。チャンプ本。ハイブリッド開催。 2024.8.12
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文学ラジオ第107回紹介本 https://open.spotify.com/episode/3ASShVN8JYXXZq1HA1gCy1?si=c5f2a9cde48e4faa 言わずと知れた短編の名手の代表作に近い短編集で、再読するとどれも印象に残っていた作品ばかり。短編って...
文学ラジオ第107回紹介本 https://open.spotify.com/episode/3ASShVN8JYXXZq1HA1gCy1?si=c5f2a9cde48e4faa 言わずと知れた短編の名手の代表作に近い短編集で、再読するとどれも印象に残っていた作品ばかり。短編って本当に不思議だと思う。タイトルや登場人物の名前なんかはすっかり忘れていたけれども、描かれていることの断片がしっかりと残っていて、読み返すと初読のときの気持ちをすぐに思い出すことができる。
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繊細で温かみのある短編が揃っている。労働者とかうだつのあがらない人々の生活が描かれており、派手さはないけれど、読み終わった後の余韻が胸に残る味わい深い作品が多かった。
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「三流のすすめ」に続いて、新相対性理論の中で紹介されていて興味を持ったので読んでみた。レイモンド・カーヴァーはこれまでもいくつか読んでいたけど(主に院生のころに読んでいた)、これまでイマイチその良さがよくわからずに、なんかよさげなんだけど「人間に冷たい」印象を持っていて、そこまで...
「三流のすすめ」に続いて、新相対性理論の中で紹介されていて興味を持ったので読んでみた。レイモンド・カーヴァーはこれまでもいくつか読んでいたけど(主に院生のころに読んでいた)、これまでイマイチその良さがよくわからずに、なんかよさげなんだけど「人間に冷たい」印象を持っていて、そこまで好きではなかった。 でも今回、たぶん、導入のテス・ギャラガーのまえがきが存在していたからだと思うのだけど、レイモンド・カーヴァーが私が感じていたようなこと(それはそれでそのときの私の感覚が感じたことだから間違ってはないとは思うんだけど)のつもりではなくて、もっと「人たち」に温かいまなざしを注いで書いていたことが感じられた。 以前の私はたぶん、世の中に自分とは違う世界を見ていて、そこでの苦しみが当たり前になってしまっている人たちがいることに、気づいていなかったのだ。視野が狭かったのかもしれない。 「ささやかだけれど、役に立つこと」は、この短編集の中でも個人的にはとびきりの一篇になった。なんなら泣いた。一つの奇跡を目撃したみたいな気持ちになった。人と人との間にはこんな奇跡が起こりうるのだ。 レイモンド・カーヴァーすごい。昔イマイチ…と思ったものも全部読み返してみたくなった。
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