人はなぜ戦争をするのか の商品レビュー
フロイト 欲動論と局所論から「人間はなぜ戦争をするのか」について論じた本。 人間の自己破壊の欲動と道徳的人間に至る過程を解明している。表題以外は専門的だが、訳者 中山元 氏の解説のおかげで 読めた フロイトの人間像、戦争に対する態度、戦争における国家像は いずれも悲観的...
フロイト 欲動論と局所論から「人間はなぜ戦争をするのか」について論じた本。 人間の自己破壊の欲動と道徳的人間に至る過程を解明している。表題以外は専門的だが、訳者 中山元 氏の解説のおかげで 読めた フロイトの人間像、戦争に対する態度、戦争における国家像は いずれも悲観的。まずは 最悪に備えよ というメッセージとして捉えた。人間に希望を残すキーワードとして、文化の発達、他者愛(ナルシズムからの脱却)、超自我を取り上げ、道徳や良心の源泉として論じている 鬱病に見られる自己破壊欲動(死の欲動)と超自我の対立を見ると、死の欲動の強さを実感する。フロイトの「人間は他者を犠牲にしてでも自分の欲望を充足しようとする〜戦争はなくならない」という論調も うなずける フロイトの人間像 *人間は他者を犠牲にしてでも自分の欲望を充足させようと願う存在 *人間は 死の欲動(破壊欲動)により戦争をやめることはできない *生の欲動(エロス欲動)に働きかけ文化の発達を通じて、戦争に反対する道徳的人間の余地は残している フロイトの戦争に対する態度 「戦争が存在することに諦めを抱き、戦争に自分を合わせていくべき」 フロイトの戦争における国家像 「国家は 国民に最大限の服従と犠牲を強いておきながら秘密主義と報道や言論の検閲によって 国民の行動能力を剥奪する」 戦争に反対する道徳的人間像(利己主義から利他主義への変貌) *利己的欲動がエロス的な成分と混じり、他者からの愛を求めることにより、社会的欲動に変貌する *教育により利己的欲動の放棄を学ぶ 文化の発達は 人間の良心や道徳の根となる *人間の文化は〜愛する者の死によって誕生した〜愛する者の死の辛さに耐えるために、人間は霊魂を思いついた *愛する者の死は、疎ましさを自覚されることで、罪意識の根源となり、良心や道徳の根となる 鬱病に見られる自己破壊欲動(死の欲動)と超自我の対立 *喪の仕事の失敗(超自我の欠乏)は鬱病まで悪化する *喪の仕事=愛する者に向けられたリビドーの再転換の営み
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書簡には戦争というものに関してフロイトの理論を敷衍(というほどでもないか?)したらまあそうなるよなということが書かれている。「喪とメランコリー」は面白かった。そのあとの二篇は新潮文庫版『精神分析入門』中の『続・精神分析入門』に収められているもの。全体を通して、ある程度フロイトの理...
書簡には戦争というものに関してフロイトの理論を敷衍(というほどでもないか?)したらまあそうなるよなということが書かれている。「喪とメランコリー」は面白かった。そのあとの二篇は新潮文庫版『精神分析入門』中の『続・精神分析入門』に収められているもの。全体を通して、ある程度フロイトの理論に親しんでからでないと理解しづらいだろうし、といってそうなったらあえて読む必要があるかというと微妙、という感じ。
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フロイトとアインシュタインの手紙のやりとりだそうだ。ただし光文社のバージョンではアインシュタインの手紙は掲載されていない。 平易な言葉で語られているが、内容は難しい。 ほとんど理解できなかったというのが正直なところ。
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フロイトとアインシュタインで往復書簡をしていた際に (当時ナチスが支配している戦争真っ只中あたり) 「人間を戦争というくびきから解き放つことはできるのか?」 と当時50代のアインシュタインが70代のフロイトに問うわけですわ。 もちろん返答に困るんだけど 「文化の発展が反戦へ、そして平和主義になり戦争終焉へ向けることが出来る」という答え。 そんな精神分析学者のフロイトが書いた著書を更に分かりやすく解説した本。 と言っても小難しい話はちょっとなぁ…でもたまにはこんなのも読んでみるかと思いつつ読んでみた。 タイトル通り「人はなぜ戦争をするのか」って結構直球の疑問。 あぁまぁ確かにそうだよな、なんでだろ? 太古の昔から今現在まで戦争やテロ、内乱が世界各地で全然終わらないのは何で?という 当り前の疑問なのにそこまで考えたことが無かった。 例え絵にかいたようなどんなに正しい善人であっても 人間って攻撃する欲望や衝動って必ずあるってこと。
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フロイトとアインシュタインの手紙のやりとり。 フロイトからの返答。 戦争はなくならせることはできないのか? という疑問に対して。 利害が対立した際に話し合いをして解決する動物というのはちょっと想像できない。 人間の場合には、動物の本性としてある暴力が、知性によって優劣が決めら...
フロイトとアインシュタインの手紙のやりとり。 フロイトからの返答。 戦争はなくならせることはできないのか? という疑問に対して。 利害が対立した際に話し合いをして解決する動物というのはちょっと想像できない。 人間の場合には、動物の本性としてある暴力が、知性によって優劣が決められるように取って代わっていく。 暴力から知性の時代へ。
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人はなぜ戦争をするのか 戦争と死に関する時評 喪とメランコリー 心的な人格の解明 不安と欲動の生 著者:ジークムント・フロイト(Freud, Sigmund, 1856-1939、チェコ、精神分析学者) 訳者:中山元(1949-、東京都、哲学者)
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なんか、全然知らなかったけど、そうか、フロイトって、哲学者っていうより、心理学者だったんだ!て感じ(笑)。 タイトルに惹かれて買ったけど、初めの2章ぐらいが終わると、戦争の話そのものではなく、その裏にあるような精神構造の話になっていく。フロイトの当時の講義集みたいな感じ。 鬱病の研究とか、この頃からあったんだ、とか知って、なかなか興味深かったよ。
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アインシュタインに問いに対して、なぜ人間は戦争をするのか考察した書簡。 支配者が持っている権力を暴力と言い切る。支配者は最終的には被支配者に対して暴力をふるうからだ。 それに対して被支配者は団結して権利を得る。 なのでお互いに利害関係が一致しないので争い続ける。 また、欲動(欲求...
アインシュタインに問いに対して、なぜ人間は戦争をするのか考察した書簡。 支配者が持っている権力を暴力と言い切る。支配者は最終的には被支配者に対して暴力をふるうからだ。 それに対して被支配者は団結して権利を得る。 なのでお互いに利害関係が一致しないので争い続ける。 また、欲動(欲求のようなもの)には生の欲動と破壊の欲動(死の欲動)の2種類がある。 同じ共同体の中では、生の欲動に訴えて争いを無くす方法がある。1つは愛すること。もう1つは同一化すること。 戦争を確実に防止するには、人類が1つの中央集権的な政府を設立することに合意すること、そして、すべての利害の対立を調定する権利を、この中央政府に委ねる必要がある。今の国連に全ての国、民族が参加し、権力を委ねるイメージ。現実的にはできない。 最後にフロイトは、文化の発展により人々は戦争を嫌悪し、反戦する平和主義者になると述べている。誰もが平和主義者になれば戦争はなくなると。 なお、アインシュタインの書簡は掲載されていない。 戦争が無くならない理由を追求したい人にオススメです。
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心理学的にはちょっと古いんじゃないかなーと思われる部分なんかもあるけど、ところどころ「これは!」と感じる指摘があって奥が深い。 しかし、全体的に難しくて全部は理解できなかった。余裕があれば、再挑戦したい本。
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解説が確かに秀逸。 先に読んでおいて損はないです。 それでも、訳の仕方がいいせいなのか 解説を読まずしてもそんなにつっかかるところは 少ないですがね。 人という生き物は、 本当に不思議で、底知れなくて 自分という存在すら難しいな、 と感じます。 うつ病のそれは、また違った見方ができる、 という店で、すごく斬新でした。 それと同時に、ショッキングな部分も 出てきていましたがね。 でも、的を射ているな、と感じました。 私は一番、心的装置のところが 惹かれるものがありました。
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