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僕はかぐや姫 の商品レビュー

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11件のお客様レビュー

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2023/11/12

海燕文学新人賞受賞作。 驚いたことに受賞は1990年。 自分は30年以上遅れていると思った。 本書を知ったのは 平野卿子『女ことばってなんなのかしら』。 P54「『僕っ娘』はなぜ現れた」。 「女の子の一人称をキーワードにした 小説といえば、なにをおいても松村栄子 『僕はかぐや姫』...

海燕文学新人賞受賞作。 驚いたことに受賞は1990年。 自分は30年以上遅れていると思った。 本書を知ったのは 平野卿子『女ことばってなんなのかしら』。 P54「『僕っ娘』はなぜ現れた」。 「女の子の一人称をキーワードにした 小説といえば、なにをおいても松村栄子 『僕はかぐや姫』をあげないわけには いきません」 裕生が〈僕〉使う理由は、自分が女の子である ことは「こっちにおいといて」生きたいから。 理不尽に思える実存への意志でもある。 だが「自分が女であることをいやおうなしに 意識させられる」現実に 「裕生は、自分が考えていた、少年のもつ 『性以前の透明な人間性』は幻想にすぎない ことを悟る」 幻想なのか…。 「あのね、男とか女とかじゃないと思うのよね。 (中略)つまりね、地球上に四十億人の人間が いるとするじゃない?恋人は四十億人から 選ばれるの」 「物語の最後で、裕生は両性が共有している 〈わたし〉を選び取る決意を」する。 ジェンダーフリーの素晴らしい話だと思った。 思春期の女の子が〈僕〉を使う解説も 素晴らしかった。 ①女らしさの規範から脱して「男の子のように 生きたい」という気持ち ②「少女」から「女」への移行にたいする 恐れやためらい

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2018/10/08

短編がふたつ入っていた/ 僕はかぐや姫+人魚の保険/ 僕はかぐや姫は、僕っ子のリアルな一面なのだろうか/ 男でなく、かといって女であることも当たり前に受け入れられない女子高校生の選んだ一人称が僕/ とてもかわいい/ ライ麦がほんの少しだけ話題に上ったが、ライ麦的であるともいえるん...

短編がふたつ入っていた/ 僕はかぐや姫+人魚の保険/ 僕はかぐや姫は、僕っ子のリアルな一面なのだろうか/ 男でなく、かといって女であることも当たり前に受け入れられない女子高校生の選んだ一人称が僕/ とてもかわいい/ ライ麦がほんの少しだけ話題に上ったが、ライ麦的であるともいえるんじゃないかな/ 世の中のシステムに馴染みたくない若者の戦い/ 人魚の保険はバブル期の調子づいた女の感じがよく出ている/ 今の時代にあんな生き方している奴はそんなに多くはないだろうし、いたとしても貧乏だろう/ 優雅な生活送りながらくだらないことに悩んでいる純文学/ しかし未来の日本の予言が凄い/ 1991年(バブル崩壊前)に2015年のことをここまで予測できたのだろうか/ 知識階級と若年層の大量海外脱出(日本で高額税金を払うくらいなら海外へ)・中国の復権・出生率の低下・大和民族優越論の横行(移民問題がこれに拍車)、そして当然とも言えるがバブルの崩壊/ 人魚の保険はバブル崩壊後の世界が想像もつかない時代に書かれていることに、その時代のリアルな独身女のありようがわかってメタ的にも面白い/ 高級マンションに一人暮らしで「この部屋を貸せば食うに困らないからそのお金で一生海外生活をしようかな」的な/

Posted byブクログ

2014/07/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

◆表題作を読了。それ以降はどうも馴染めずに断念。 ◆男でも女でもない「ぼく」が女性になるお話。女子高に通う「ぼく」にとって、女性らしさというものは、おぼろけだけれど巨大な脅威だった。そして「ぼく」自身も、それを受け入れざるを得ない現実があることをどこかで理解していたのだと思う。 * 感想 * ◆滅多にないことなのだけど、さっぱり分からなかった。文章は分かるけれど心情がさっぱり分からない。女性らしさに対する悩みと、自分らしさに対する誇りを、理屈という殻をかぶることで一生懸命に守ろうとしているようにしかみえなかった。 ◆だれもが読んで感じるであろう疑問のひとつは「何故”かぐや姫”なのか」。わずらわしい人間関係や、女性らしさなどという社会的な圧力から解放されたいということか。 ◆「本を開いただけで苦しくなった」という部分は、間違いなくバカにする人がいるだろうなと思っていたのですが、案の定、某掲示板で揶揄されているのを見かけて、不覚にもニヤっとしてしまったので記録しておきたいと思います(バカにしているわけではありません)。 「<ホリエモン>を見た?」 「……うん。泣いた、僕」 「ライブドアが……もちろん、株の事なんて半分もわからないんだけど……テレビをつけただけで痛々しくなって……」 「<想定の範囲外><通説の流布>……ホリエモン達をひとことで殺す文句だ」

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2013/03/06

はやく迎えに来ないと、大人になっちゃうよ。 ピーターパンになりたいと思ったことはあるけど、 それを日本的に言うと、かぐや姫なのかもしれないなと思った。 でもピーターパンもかぐや姫も、最後は恋をする。 絶版なのがすごく惜しいと思う。 目立たないけど、意外とたくさん薄暗くうずまい...

はやく迎えに来ないと、大人になっちゃうよ。 ピーターパンになりたいと思ったことはあるけど、 それを日本的に言うと、かぐや姫なのかもしれないなと思った。 でもピーターパンもかぐや姫も、最後は恋をする。 絶版なのがすごく惜しいと思う。 目立たないけど、意外とたくさん薄暗くうずまいているこういう青春を、うまく表している。 性を遠ざける青春。 理解できない人にこそ読んで欲しい。

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2012/01/30

主人公は高校3年生の文系女子。読書家。数学ができない。高潔で透明な「僕」という一人称を使う。 わたしとそっくりだなあと思って読み始めたら、ぐさぐさと、鋭く刺さってくる言葉たち。 なんだろう、この感覚。 まるで細かく砕けたガラスの破片に、掌を落ちつけたような。そんな痛み。 レトリッ...

主人公は高校3年生の文系女子。読書家。数学ができない。高潔で透明な「僕」という一人称を使う。 わたしとそっくりだなあと思って読み始めたら、ぐさぐさと、鋭く刺さってくる言葉たち。 なんだろう、この感覚。 まるで細かく砕けたガラスの破片に、掌を落ちつけたような。そんな痛み。 レトリックも好き。本当に、言葉を飾りとして使っているところとか。 未だにわたしのこころを捉えて離してくれない作品です。

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2012/01/22

センター試験の過去問で知った「僕はかぐや姫」を図書館で借りて読んだ。作者が筑波大出身者だったのも大きな関心となった。 高校3年生だった当時、共感とまでは行かなかったがすごく理解できる所があって、たしか過去問も全部あっていたのをよく覚えている。自分も女子校に通っていたし、一人称が...

センター試験の過去問で知った「僕はかぐや姫」を図書館で借りて読んだ。作者が筑波大出身者だったのも大きな関心となった。 高校3年生だった当時、共感とまでは行かなかったがすごく理解できる所があって、たしか過去問も全部あっていたのをよく覚えている。自分も女子校に通っていたし、一人称が「僕」の人も何人も知っていた。そういった人達の一人称はふらついていることが多かった。言葉で表すことは出来なかったけれど、その人達がなぜ僕を名乗るのかは心の底ではわかっていたように思う。 「僕はかぐや姫」は、おおまかに言えば、17歳の女子高校生が18歳になり、自分を模索しながら大人になっていく過程を描いた作品のように感じられた。主人公の千田裕生は最終的に「僕」を手放す。手放すというより、出て行ってしまうと言ったほうが正しいかもしれない。空いた隙間に「わたし」が入り込み、そうやって大人になっていくのだと、自分もそう思う。 「人魚の保険」は、オーストラリア男性の視点で描かれている。日本人女性への憧れ、地震の恐怖など。最後に彼の心はオーストラリアへと戻っていく。

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2011/07/23

センターの過去問になっていた小説。 一人称が『僕』なので少々面食らったのが懐かしい。 女子校では性別がなくただ人間がいるだけってのはそういうもんなんかーと思った! 男にはわかんない思考のような気がしました。

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2010/02/07

センター赤本で出会い、図書館で借りて読みました。 とても共感できるお話で自分の手元に置いておきたいなあと思いましたが、絶版で残念です。

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2009/10/04

読んだ当時とても共感できる考えが多かった本。自分のセンター試験の問題にもでてとても解きやすかった記憶がある。個人的に今までで一番気に入った本。残念ながら絶版しているので購入できるのは中古のみだと思う。評価は92/100点位。

Posted byブクログ

2009/10/04

恥ずかしながらセンター試験問題で知りました。自分にとっては異次元の世界でページをめくる度に身悶えしたくなるような文章がかなり気に入りました。 文庫本ですね。表紙イラストは上條淳士なせいか、ハードカバー本より人気が高そうです。

Posted byブクログ