ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを の商品レビュー
『惜しみない愛を与える』 とっても素敵な言葉です。 でも、人間が他者全員にそれをしようと思うとどうなるのか?? ローズウォーター氏はすっごいお金持ち。 仕事をしなくても財団から、毎月たくさんのお金が入ってくる。 彼はそのお金を自分自身を、貧しい人たちのため、惜しみなく差し出して...
『惜しみない愛を与える』 とっても素敵な言葉です。 でも、人間が他者全員にそれをしようと思うとどうなるのか?? ローズウォーター氏はすっごいお金持ち。 仕事をしなくても財団から、毎月たくさんのお金が入ってくる。 彼はそのお金を自分自身を、貧しい人たちのため、惜しみなく差し出していく。 『貧しくても心優しい人たち』であれば、いい話。 でも人間いい人ばかりじゃない。 『貧しい上にどうしようもない人たち』だってたくさん居る。 生きている限り誰にだって価値はある。 それは正しい。綺麗ごとでもありますが、正論です。 だから、困っているなら助けてあげたい。 助けてあげることだって悪いことじゃない。寧ろ立派なこと。 でも、誰だって欲を持っている。 ひとつもらえば、また次が欲しくなる。 優しさに依存したり、利用しようって人だって出てくる。 そういう人たちにローズウォーター氏はどういう風に接していくのか? ラスト、すごく好きです。
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最後の1ページに驚いた。 本書では、エリオットがウ゛ォネガットの化身となっているだろう。 キルゴア・トラウトもまたそうなのだが。 1982年に日本語訳が出版されたみたいだから、もう20年以上も経っているのに、色あせていない。人間の不変の本質=愛をいささかのユニークさを含めた小説...
最後の1ページに驚いた。 本書では、エリオットがウ゛ォネガットの化身となっているだろう。 キルゴア・トラウトもまたそうなのだが。 1982年に日本語訳が出版されたみたいだから、もう20年以上も経っているのに、色あせていない。人間の不変の本質=愛をいささかのユニークさを含めた小説といえよう。 去年亡くなられたことが、本当に悲しい。 カート・ウ゛ォネガットさん、あなたに神のお恵みを
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昨年4月に逝去したカート・ヴォネガット(本書はカート・ヴォネガット・ジュニア名義)の初期作品。純粋で優しく、暖かい人間を描く事で、その慈愛によってもなお救われない貧民の傲慢と成金の臆病を描き出す。ヴォネガット氏の御冥福を祈りつつ、謹んで星五つ。面白かった・・・・
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人にとって大切なもの、正しいこと、そういう書いちゃうと青臭いようなあれこれが、さらっとユーモアたっぷりに描かれた作品。登場人物それぞれの正義やら理念やらがあって、ひとりひとりがきちんと生きた人として脳裏に浮かぶ。ラストも秀逸。読み終わってすっきりとした感傷に包まれました。
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エリオットの生き方は愚かだったかもしれないけれど、他の登場人物もみな愚かで救いようがないんだけど、バカバカしいと笑うよりも泣けてくる。しみじみと。好きな本。 でもタイトルの日本語訳、クリスチャンは普通、お恵みじゃなくて「み恵み」って言うのでは。
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