人生を「半分」降りる の商品レビュー
著者の碩学っぷりが遺憾なく発揮され、時に誠実に、時にスリリングに展開する筆致の中に、ある哲学的観念の実現を見る。 哲学的観念がこれほどまでに研究されながら、しかし依然としてその誰一人も「その通りに生きる」ことなどしないという単純にして大いなる矛盾を遺憾なく叩きのめす著者自身の、〈...
著者の碩学っぷりが遺憾なく発揮され、時に誠実に、時にスリリングに展開する筆致の中に、ある哲学的観念の実現を見る。 哲学的観念がこれほどまでに研究されながら、しかし依然としてその誰一人も「その通りに生きる」ことなどしないという単純にして大いなる矛盾を遺憾なく叩きのめす著者自身の、〈半隠遁〉は途上である。 間村俊一氏の装丁のクールさも相まって、ある種の泥臭さと、クールさが共存した一冊。
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タイトルで選んだけど、話が難解過ぎる。半分降りるという著者のメッセージが伝わってこない。途中でやめました。
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20171121読了 単行本は1997年出版、当時の著者は50代。プロローグ:あなたはまもなく死んでしまう に始まり、人生を「半隠遁」して過ごす、つまり自分のために時間を使うことのすすめ。こういった考え方が決して大多数ではないことも客観視されているから、押しつけがましさは感じない...
20171121読了 単行本は1997年出版、当時の著者は50代。プロローグ:あなたはまもなく死んでしまう に始まり、人生を「半隠遁」して過ごす、つまり自分のために時間を使うことのすすめ。こういった考え方が決して大多数ではないことも客観視されているから、押しつけがましさは感じない。
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カントを専門とする哲学者が隠遁の思想を語ったもの。全編を貫くニヒリズム。セネカ、スピノザ、カントから陶淵明、兼好法師まで縦横無尽の引用が光ります。著者のヘンクツぶりも含めてこれぞ知識人!といった趣。 リア充的なるものに堂々と背を向けた、哲学的生き方ガイド。 ○泰西古代の哲人は...
カントを専門とする哲学者が隠遁の思想を語ったもの。全編を貫くニヒリズム。セネカ、スピノザ、カントから陶淵明、兼好法師まで縦横無尽の引用が光ります。著者のヘンクツぶりも含めてこれぞ知識人!といった趣。 リア充的なるものに堂々と背を向けた、哲学的生き方ガイド。 ○泰西古代の哲人は「隠れて行きよ」と訓えました。東洋では隠者を位置づけて「小隠は山林に隠れ、中隠は市井に隠れ、大隠は朝廷に隠る」とか申します。 ○べつに大学や会社に辞表をたたきつける必要はなく、月給だけもらってなるべく好き勝手なことをする、そのためには細かな計算をして、「必要がない」と思ったことからはさっさと手を引く。そして、できるだけ人づきあいを制限して孤立して、「自分が今生きておりもうすぐ死ぬこと」を考える。たえずこのことを考える。 ○人生においてせいぜい二番目に重要なことにすべての時間を捧げて、いちばん重要なことをおろそかにする。にもかかわらず、自分は充実した豊かな人生を送っていると思い込みがちになるだけに、ますます危険であるといえましょう。 ◆感想 隠遁モノでは家宝級。やることを減らし、読む本を減らし、付き合う人を減らし、「なにもしない」ことが隠遁の完成形であるように思います。積極的怠惰。
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【読み易さ】 やや難しい 【気付き】 ★★★・・ 【ハマり】 ★★★★・ 【共感度】 ★★★★・ 半分降りるというのは、 人付き合いに気を使わず、自分本位に生きるという事。 繊細であり、批判的かつ懐疑的な精神を持ち、 自己中心的であり、世間に妥協しないという 著者の考える生き方にとても共感できた。 50歳までの折り返しを少しすぎた程度の自分にとっては、 半分降りるにはまだ早いのかもしれないし、 人間いつ死ぬともしれないからこそ、 すぐにでも実践すべきなのかもしれない。
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十年ほど前に出版された本の文庫化である。採り上げられている時事ネタがアテネでなくアトランタ・オリンピックだったり、テニスプレイヤーがサンプラスだったりと、少し古くなるのはやむをえない。しかし、それ以外は賞味期限に問題はない。なにしろ副題が「哲学的生き方のすすめ」である。引用文の多くは、先哲の言葉。セネカやニーチェの言葉はいつ読んでも新しい。 限られた人生だから、50歳を過ぎたら世間の義理を欠くことになっても、残りの時間を自分のために使え、というのが、著者の言いたいことである。もっとも、多くの日本人が、その言に耳を貸さないだろうことは百も承知。年賀状をやめたり、会合やパーティーを欠席、人の家を訪問したりされたりすることもやめてしまうと、この国では、ふつうではやっていけなくなる。いちいち、それについて理由を説明するのが面倒になってきた著者が、本を書くことで一気に解決してしまおうと考えたふしがある。 こんな本を買ってまで読もうと思う人間は、半分は著者と似た傾向を持っている人種と思っても間違いない。評者自身、とっくの昔に年賀状をやめてしまったし、家に仕事を持ち帰ることはなく、時間外労働もほとんどしない。趣味の上での付き合いは続けているが、仕事がらみや義理で、人に会うことはまずない。まったくもって、著者の言う「半隠遁」生活を実践している訳である。 人からどう思われるかなどということが気になったらやってられない生き方なので、こういう生活をしていると「不幸になる」といわれても、実感がわかないが、いやならやめているだろうから格別に不幸だとは感じていないのだろう。それより、切る訳にもいかないしがらみから、嫌々つきあわされる世間的な体裁を取り繕うための種々の雑事のために取られる時間が腹立たしい。 著者は、哲学者である。巷にいる哲学者のほとんどは、著者にいわせれば哲学研究者であって、哲学者ではないことになる。なぜそうなるのか。彼らの多くが、哲学を飯の種にはしても、哲学的に生きていないからである。ニーチェを研究していながら、研究論文を書いたり、学界での地位の向上にやきもきしてみたり、誰それの出版記念パーティーで、おざなりの挨拶をしたりする学者が大半を占めているのが実情であってみれば、それを取り上げて目くじら立てる著者の方が変なことは、著者がいちばんよく知っている。 日本で大人として生きるには、周りをよく見て、周囲の動きに合わせて波風を立てないことが肝要。そういう空気の中で、パーティーで心にもないことを聞いたり話したりするのが嫌い。食事は極端に偏食という人間がうまくやっていくのは生大抵なことではない。つまり、著者は「子供」なのである。そして、子供のまま歳をとるべきだと考えているのだ。名高い哲学者の中には、どう考えても「子供」でしかない人が多い。哲学研究者には大人が多いが、哲学者になろうと思うなら子供でいなくてはならない。 著者の説明によれば、世界に普遍的なものがあると思うのが「実在論者」で、「普遍はただ名だけだ」と主張し、「個物のみが実在する」というのが「唯名論者」だという。世界がどうなろうとも自分のことにしか関心がないことを明言してはばからない著者は唯名論者である。こう簡単に説明して分かったような気になることを、著者はかなり嫌っているので、詳しいことは本を読んでもらうしかないが、突きつめて考えてみたとき、世界や人類の滅亡より、「自分が死ぬ」ことの方が大事件だと思える人だけが、著者の言うことを理解できるだろう。 自分の死が最も重大事だと考えれば、その死が刻々と近づいているときに、つまらぬ雑事などにかまけていることなどできるはずがない。しかし、現実に社会に生きている以上、完全な隠遁はまず不可能である。「半隠遁」とは、そんな中でも、なんとか仕事を続けながら、切実な問題について考える時間を得るための折衷的な方法である。 反語的な表現方法をとりながら、世間的に価値があると認められている生き方や、誰からも文句のつけようがないと思われるような生き方をしている人に対する居心地の悪さを語り、奇妙にすっきりした読後感を残す。引用される名言、金言に触れるだけでも得をした気分になれるが、学者仲間に対する悪口雑言の限りには、あきれながらも溜飲の下がる思いをする人も多いだろう。興味のある奇特な人にだけしかお薦めできない毒のある一冊である。
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生きにくい人(自分ですが...)が何とか生きていくための知識が詰まった本でした。図書館で借りましたが、購入して手元に置いておきたいと思います。
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意識していないと人生の大半を占めることになる、つまらない義理を果たすためだけの時間、あるいは社会における与えられた役割を演じるためだけの時間を減らし、残りわずかな生存時間をできるだけ自分自身のために使いましょう、という趣旨の本。エッセイ風にまとめられた本であるが、著者は哲学者とい...
意識していないと人生の大半を占めることになる、つまらない義理を果たすためだけの時間、あるいは社会における与えられた役割を演じるためだけの時間を減らし、残りわずかな生存時間をできるだけ自分自身のために使いましょう、という趣旨の本。エッセイ風にまとめられた本であるが、著者は哲学者ということで、内容はすこぶる哲学的。また、著者本人を含めた日本の哲学者批判の鋭い舌鋒が、本書のいたる所で冴えわたっている。(どうでもいいけど、他人によるスキャンダラスな身内批判は、それが他人事である限り、読んでいてウキウキするね) さて、上記の目的を達成するための極端な方法として、「出家」や「出奔」、あるいは「自殺」などが考えられるが、本書ではそれらの方法を潔しとしない。もっと普通の人が普通に実行できる方法として、本書では「半隠遁」を薦めている。ここで「半隠遁」とは、皆と同じようにしがらみに囚われた社会生活を送っているフリをしつつ、実際には片足だけ社会性を踏み外して、自分の好きなように生きることである。そして、「半隠遁」を実現したい読者に向けて、「繊細な精神」「批判精神」「懐疑精神」を持つことや、「自己中心主義」「世間と妥協しないこと」「不幸を自覚すること」の重要性を説明する。 もっとも、「半隠遁」を必要としている日本人は、著者の見立てでは人口の0.1%(すなわち10万人強)しかいないそうである。私がその中に入っているのかどうか気になるところであるが、それはさておき、「半隠遁」という言葉が含むメッセージはとても強力で魅力的だと感じる。誰だって「隠遁」できるものなら「隠遁」したいだろうけど、そんな勇気はないし、リスクも取れたものではない。だけど「半隠遁」なら今の生活を捨てずに済む。著者は哲学者なので難しく考えて説明しているけど、実際はもっと単純で簡単なことなのかも知れない。
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●あなたはまもなく死んでしまう ●生きることをやめる土壇場になって 生きることをはじめるのでは、時すでに遅しではないか ー 日常生活から目を離してはならない. @追憶のハべル(作家)とケイト(原子力反対)
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中島義道先生の本は「哲学の教科書」に続いて2冊目。 というか学生時代に哲学の教科書と同時に買ってたままこちらだけ読んでなくて、 最近やっと引っ張り出してきて読みました。 ~あなたはまもなく死んでしまう~ こう題されたプロローグから始まる本書。 やがて訪れる確実な死、という...
中島義道先生の本は「哲学の教科書」に続いて2冊目。 というか学生時代に哲学の教科書と同時に買ってたままこちらだけ読んでなくて、 最近やっと引っ張り出してきて読みました。 ~あなたはまもなく死んでしまう~ こう題されたプロローグから始まる本書。 やがて訪れる確実な死、というのは哲学における(いや本当はすべての人にとっての)主題な訳ですが、 この言葉に特に意味を感じない人が読んでも全く面白くない本だと思います。 というか著者本人が本書の中で言っているとおり、 大半の人にとっては何の価値もないことが書かれてております。 自分は昔から「世間」や「社会」に対する原因不明の違和感を感じる方で、 その原因の部分との向き合い方にとても苦労している(と自分では思っている)こともあり、 この本で先生が言っている生き方に魅力を感じる部分もあります。 ただ、まぁ人生を「半分も」降りてしまうというのはけっこう大変なことだとも思います。 まだまだ社会と向き合いつつ人生過ごしたい欲というか、 そういう悪あがきをするつもりもまだまだあります。 だから、まだ、いいや。 この本は自分の中では大切な1冊になっていくと思う。 10年後にでももう1回読んでみよう。 その時には4分の1ぐらいは降りてみるのも悪くない、 とかそんなことも考えてるかも知れないよね。 とかね、考えながらビールを飲みつつ書いていることの楽しさ、ね。
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