我が家の流儀 の商品レビュー
MRさんのレビューを拝読して、読みたくなった1冊。 一時期、ご主人である数学者 藤原正彦さんの著書を読み漁っていた。ご両親は新田次郎氏と藤原てい氏でいずれも作家。 藤原さんご自身は熱血漢でありながら非常にユーモアに富んでいて、何度も笑わされ奮い立たされてきた。「当たろうともせず砕...
MRさんのレビューを拝読して、読みたくなった1冊。 一時期、ご主人である数学者 藤原正彦さんの著書を読み漁っていた。ご両親は新田次郎氏と藤原てい氏でいずれも作家。 藤原さんご自身は熱血漢でありながら非常にユーモアに富んでいて、何度も笑わされ奮い立たされてきた。「当たろうともせず砕けているのは人間の屑だ」は座右の銘として胸に刻ませていただいています。(座右の銘負けしている節があるけれど…) 藤原さんの著書の大半がエッセイで、その中に美子さん(著者)もよく登場されていた。本書の冒頭でもボヤかれている通り、プライバシーも何もあったものではない暴露っぷり。本書を読むまでは、お互い毒を吐き合っているイメージだった。 夫の大胆不敵さに悩まされることはあれど、心のどこかでは信頼を寄せられている…。そう、お二人は「喧嘩するほど仲が良いタイプ」なのだ。(こう断言しちゃうと双方から反論されそう) ご家族との思い出の中には、そうしたお二人の絆も垣間見られる。信用できないと悟った小児科医院から子供を思い切って退院させたエピソードには、いたく感服した。 ご家族(義父の新田次郎氏やご主人・3人のご子息たち)とのお写真も沢山挿入されていて、藤原さんの著書からはあまり伺えない一家団欒の様子を伺えた。(個人的に、藤原さんが妻子のベンチになっている写真がお気に入り笑) 生活面のエピソードも、やはり藤原さん以上に詳しく描写されている。 今回初めて美子さんのお写真を拝見したけど、とてもお綺麗な方でどのアングルも素敵だった。自分の人生を大切に生きられているのも、その輝きを生み出す秘訣なのかもしれない。 「たとえ他の分野がそれほどでなくとも誇れるものが一つでもあれば、自分は価値ある人間だと自信を持つことができる」 美子さんについてまず感じるのは、「本当に子供が大好きなんだな」ということである。 それもそのはず、本書の元々のタイトルは『子育てより面白いものが他にあるだろうか』(!)。ご子息はもちろんのこと、知り合いの子やクラスメイトたちにも温かい眼差しを向けられている。帯同で過ごされていたイギリスでの影響もあるだろうけど、何にも縛られず彼らが自分たちの力を発揮できることを常に願われている。 「子供のためを思って…」という謳い文句は、本来こうしたケースにあてがわれるのではないだろうか。 「異文化」も本書の一大テーマなのではと思う。 結婚で直面する相手方の文化、イギリス生活で日々出会う異文化圏の人々…。これらの「異文化」が美子さんの子供観・そして現在の美子さんを創り上げたといっても過言ではない。 初めはぎこちない関係だったご主人も、今では原稿チェックを美子さんに依頼されているそう。そして、ボロカスなフィードバックが返ってくるという…。副題にある「闘う子育て」と言うほど本文ではバトっている印象はなかったが、ひょっとしてエッセイストとしてのご主人を育てている…ということだろうか?本当に「喧嘩するほど仲が良いタイプ」…ってことで良いのかな?笑 久しぶりに藤原家を覗けて、とても愉快な時間でした!MRさん、改めてご紹介くださりありがとうございました!!
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図書館本 ★4.5 題名に興味を持って借りたら、藤原ていさんの息子さんの奥様ということでびっくり 3人のお子さんの育児と生き方、考え方が素敵でした。しかも、藤原美子さんがめちゃくちゃ美人!! 個性を伸ばすこと、当時の学校PTAのこと、日本の考え方と他国での違いなど、とても考...
図書館本 ★4.5 題名に興味を持って借りたら、藤原ていさんの息子さんの奥様ということでびっくり 3人のお子さんの育児と生き方、考え方が素敵でした。しかも、藤原美子さんがめちゃくちゃ美人!! 個性を伸ばすこと、当時の学校PTAのこと、日本の考え方と他国での違いなど、とても考えさせられる内容でした 芯のある女性だと強く感じました!キラキラしてて前向きで憧れます
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物書き一家に嫁した著者の新婚時代から、三人の息子たちが小学生になるぐらいまでのさまざなま体験、成長を見守りつつ思うことを集めたエッセイ集。一年間イギリスで過ごした就学経験、帰ってきてからうけた「逆カルチャーショック」の話やPTA活動に関する意見など、自分にとっても身近で興味深い話...
物書き一家に嫁した著者の新婚時代から、三人の息子たちが小学生になるぐらいまでのさまざなま体験、成長を見守りつつ思うことを集めたエッセイ集。一年間イギリスで過ごした就学経験、帰ってきてからうけた「逆カルチャーショック」の話やPTA活動に関する意見など、自分にとっても身近で興味深い話題満載。 母親らしく惑い悩みながらも、あたたかい愛情を注いで子育てしている様子が文章からもにじみでてきている。巻末解説はご主人の藤原正彦さん。
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好んで読んでいる藤原正彦氏のエッセーによく登場する奥様ご自身が書いた子育てエッセー。ご主人に負けず劣らず楽しいエッセーである。子育てに絡んでの教育がメインテーマだ。子育てとは教育と裏腹の関係にあることがよく分かる。愛情あふれる母親の気持ちというものがひしひしと伝わりほほえましい気...
好んで読んでいる藤原正彦氏のエッセーによく登場する奥様ご自身が書いた子育てエッセー。ご主人に負けず劣らず楽しいエッセーである。子育てに絡んでの教育がメインテーマだ。子育てとは教育と裏腹の関係にあることがよく分かる。愛情あふれる母親の気持ちというものがひしひしと伝わりほほえましい気持ちで読みきった。解説にあるようにきっとあっという間に過ぎていく子供の幼少期を書き残しておくことが家族の歴史として大切な財産になるのだろう。
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(2012.11.26読了)(2012.10.18購入) 数学者でエッセイストの藤原正彦さんの奥さんの書いた子育て奮戦記です。 藤原正彦さんの父親は、作家の新田次郎、母親は、「流れる星は生きている」を書いた藤原ていさんです。物書き一家に嫁いでしまったために、このようなことを書く羽...
(2012.11.26読了)(2012.10.18購入) 数学者でエッセイストの藤原正彦さんの奥さんの書いた子育て奮戦記です。 藤原正彦さんの父親は、作家の新田次郎、母親は、「流れる星は生きている」を書いた藤原ていさんです。物書き一家に嫁いでしまったために、このようなことを書く羽目になってしまった、というところでしょうか。 原稿を依頼された時、「とても書けそうにない」と尻込みしたそうです。夫の励ましにより十日間ほど苦悶し、何とか書き上げたのを正彦氏が読んでみると、最後まで引っ張る力のある文章だった、とのことです。 新田次郎は、「作家の能力で最も大切なのは美しい文章を書くことではない。最後まで読者を引っ張ってゆく能力だ」とよく言っていたそうです。(253頁) 最初の文章を雑誌に掲載後、一年間の連載を依頼され、毎月2週間苦悶しながら五年間つづけた成果がこの本ともう一冊の本という事です。 正彦氏との結婚を決意したのは、「抜群にエキサイティング(面白い)」だったからとのことです。(19頁) 出産、育児、イギリスでの生活、PTA、イギリスで知り合った人たちとのその後の交流、イギリスと日本の子育ての考え方の違い、英語からの翻訳の仕事、等、一生懸命話題を捜して書いています。正彦氏が入っているように、引き付ける文章で、どんどん読ませてくれました。子育て中の方々にお勧めです。 【目次】 第一章 異なる文化との出会い 結婚から出産 第二章 一家五人のイギリス生活 第三章 三人の息子と私 第四章 学校やPTAと向き合う 第五章 たくましく、情緒豊かに 解説 藤原正彦 ●結婚の条件(19頁) 重大な選択の決め手となるのは何だろう、 背が高くてハンサムで優しくて、こよなく私を愛してくれて、それでいて知的で高収入で……というように。しかし実際はそんな数々の条件はどうでもよくなっていた。彼にあった魅力はたった一つ、抜群にエキサイティング(面白い)ということだけだった。 ●結婚とは(20頁) 結婚して強く感じたのは、結婚は異なる文化との出会いであるということだった。交際している時はそれほど意識してなかったのだが、結婚して初めて「男性を育てた文化」と「女性を育てた文化」の出会いであることに気づかされた。夫を通して初めて知る世界にわくわくする一方、それまで自分の育ってきた文化がごく限られた特殊なものであり、世間にはいろいろな考えや価値観のあることを知るようにもなった。それまで常識と思っていたことが常識でなかったりもした。 ●イギリス人が他の国々に抱いているイメージ(54頁) あるとき先生がある雑誌に載ったイギリス人の抱いている各国のイメージについて取り上げ、次のように説明した。中国人=ずるい、礼儀正しい。日本人=残酷、働き蜂。アメリカ人=自慢好き、金持ち。ドイツ人=戦争好き、効率的。ロシア人=合理的、我慢強い。イタリア人=臆病、陽気。フランス人=情熱的、頭がよい。そして最後に自国、イギリス人=ユーモア、スポーツマンシップ。 ●逆カルチャーショック(61頁) 私の住む市には海外から帰国した子供たちの問題を扱う相談所がある。そこに勤務する私の友人の話によると、初めての外国生活で受けるカルチャーショックより、帰国後に日本の学校になじめないという逆カルチャーショックのほうが深刻である場合が少なくないらしい。 ●塾産業(95頁) 塾産業は特別な受験準備を必要とする私立受験者層の上に成り立っているため、徹底的に公教育を批判する。しかし、むやみに公教育崩壊の危機を誇張し、親の不安をあおり、多くのものをパニック状態に陥れ、私立中学受験へと追い立てるのはいかがなものだろうか。 ●学校(162頁) 「あきらめ」と「学校にあまり期待しないこと」は、親たちに深く浸透しているように見える。担任を選ぶことはできないし、問題の多い担任にあたったとしても途中で担任を替えることなどほぼ不可能だ。それならば意見を言ってぎくしゃくするよりもあきらめて忍ぼう、という態度である。 ●個性を育てる教育(203頁) 日本では個性教育などとうたわれながら、個性を育てる教育はどれほどなされているのだろうか。個性を育てるには、まず子供一人一人の個性や能力を認めることである。その個性を明確に評価し励ます姿勢がなければいけない。それをせず、皆をひたすら横並びにしようとする擬公平主義のもとでは、自らの個性に気づくことも、それを育てることも難しい。 ☆関連図書(既読) 「若き数学者のアメリカ」藤原正彦著、新潮社、1977.11.20 「遥かなるケンブリッジ」藤原正彦著、新潮社、1991.10.15 (2012年11月26日・記)
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