夢の浮橋 の商品レビュー
結局。糺の云う「それを望んでいた」という父と継母の思惑は都合の良い解釈でしかないけど、読者ならチラリと頭をよぎる母の居ない悲しさを感じさせないためだと二十になってからの行為は説明出来ず、じゃあ大がかりな「おままごと」だったんじゃ、という可能性も武という存在のせいで説明出来ない。 ...
結局。糺の云う「それを望んでいた」という父と継母の思惑は都合の良い解釈でしかないけど、読者ならチラリと頭をよぎる母の居ない悲しさを感じさせないためだと二十になってからの行為は説明出来ず、じゃあ大がかりな「おままごと」だったんじゃ、という可能性も武という存在のせいで説明出来ない。 あらすじでの母恋との説明も安直すぎて納得出来ないのだ。 もっと崇高な感情からの行為なのか、本能的なものによる行為なのだろうか。
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過去分 橋は何かと何かを、結びつけるものだが、この浮橋は生母と継母を結びつける橋と主人公と母を結びつける両方の意味があった。
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「夢の浮橋」は非常にエロティックなお話である。「文壇昔ばなし」で、谷崎潤一郎と泉鏡花が一緒に鍋を食べた時、食べるのが早い谷崎氏に食べられないように、食べるのが遅い泉氏が仕切りを作っておくのに、結局食べられてしまうというエピソードに笑った。
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テイストは、『鍵』や『老人瘋癲日記』に近い。いかにも谷崎すぎて、ちょっとやりすぎでは、とも思うが、谷崎的なものを求めて読み始めた者にとっては、期待を裏切らない作品である。
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倉橋由美子の夢の浮橋を読んだ時に谷崎にも同名の作品があることを知りました。読み始め、谷崎幼少期の自叙伝かと思っていたら、濃厚な谷崎ワールドでした。お母さんの名前が茅渟(ちぬ)というだけでこの世ではない不思議な存在感があります。鴨川の石村亭にも機会があれば行きたいものです。
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タイトルから察せられるように、近代版源氏物語といった感じ。 やや、気色悪めだが、ストーリーは普通に面白い。
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読書会の課題本。前半の実母への恋慕や関わりは、自分の子どもの幼いころを思い出して共感しつつ読んだが、後半の継母との関わり、父子二代に渡っての想いの共有、妻澤子を迎えるくだり、「母に仕えることを唯一の生き甲斐にして、外に何の幸福も要らぬ」「お母さんを仕合わせにするためには、お前が嫁をもらう必要がある」あたりは、やはり前回読んだ谷崎本同様、若干ひいてしまう。 一緒に収録されているエッセイの方が私にはむしろ面白く読めた。元々、エッセイが好きということもあるが、家族への想い、自分への評価などがつづられた「親不孝の思い出」、自身の病状とそれに対する心もちをつづった「高血圧症の思い出」、関わりのあった秋声、鏡花、芥川ら多くの文豪との交わりを書いた「文壇昔ばなし」など、どれも非常に面白かった。
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谷崎の随筆や随筆に近い創作。だいぶ落ち着いた作品であり、引き込むような何かがあるというわけではないが、周辺の時代の風俗をよく表していると感じた。
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随筆がだいぶおもしろかった。谷崎氏の血圧が240を超えたあたりでついつい笑ってしまう。他の文豪の話も噂話を聞いてるようでおもしろい。 表題の話は乳吸うあたりで生理的にかなり気持ち悪い。
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表題作の小説の他にエッセイも収録されていて、 それを読むと当時の谷崎や、他の文豪なんかも出てきて、 そっちを読んでるのが面白かった。
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