蟹工船(文庫版) の商品レビュー
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軍閥支配の進む昭和初期。北洋オホーツクで蟹を獲り缶詰に加工する工場船「博光丸」では、貧しい労働者たちが働いている。不衛生な環境、長時間労働を強制する監督浅川。 過酷な環境に耐えきれず、やがて労働者たちは一致団結し、ストライキを起こすが…。「資本と労働」の普遍的テーマを描いたプロレタリア文学の代表作を漫画化。 カニを獲るために地方の労働者が半分だまされた形で集められ、 劣悪な条件の中、死人の出るほど過酷な労働を強いられる。 耐え切れなくなった労働者は、団結し立ち上がらなければならないことを自ら知る。 一度は失敗し、全てのリーダーが捕らえられるが、 その後すぐに全労働者が立ち上がり、抵抗活動を成功させる。 労働者(プロレタリア)がいなければ、資本家は何もできない、 という当たり前のことだが、労働者全員が真に自覚するのは難しいことだ。 本作はかなりの部分が「過酷な労働」の描写にページが割かれているが、 重要なのは、最後の最後「リーダーがいなくなっても立ち上がる人々」というところだと思う。 一部のリーダーに頼りきっていることと、資本家の下の労働者でいることは、 判断を他人にゆだねるという点においては同じことだ。 リーダーを失った時、それでも進むべき道を進めるか。 そんなメッセージが、本書を単なるドキュメンタリーで終わらせない、 時代の刹那に普遍性を見出す、名作たる所以であるように思う。
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時代が変わる時、そこには犠牲者がいて、その犠牲者が次代の仕組みを作ってくれたのだと痛感した作品。蟹工船で言えば、労働組合が、その仕組み。
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思っていた内容と、だいぶ違っていました。あんなに、大きな船に乗っていたのですね。遠洋マグロ船団の母船のようでした。私は、船長、機関長、漁労長、他5、6人程度の船の話だと想像してました。 ストライキが成功して、ハッピーエンディングな結末、と考えてよいのでしょうか?
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2013年8月13日読了。プロレタリア文学を代表する作品「蟹工船」を漫画化。非人道的な「蟹工船」で搾取される労働者たち、死者まで続出する苛酷な環境を改善すべく立ち上がるが・・・。マンガで日本文学の古典を読むシリーズらしい、やたら熱い描写と、抑えつけて抑えつけて最後に爆発・みたいな...
2013年8月13日読了。プロレタリア文学を代表する作品「蟹工船」を漫画化。非人道的な「蟹工船」で搾取される労働者たち、死者まで続出する苛酷な環境を改善すべく立ち上がるが・・・。マンガで日本文学の古典を読むシリーズらしい、やたら熱い描写と、抑えつけて抑えつけて最後に爆発・みたいな展開は「いかにも熱血少年漫画」という感じだが、マンガだけあって読みやすい。ロシア近海で蟹をとって船上で缶詰に加工する蟹工船は、陸まで輸送している間に鮮度が落ちるという問題と、陸上に工場を建てるとその建設費や税金を国に納める必要があり、かつ労働者の労働条件に気を使う必要があったため、警察の監視も届かない蟹工船の環境はまさに一石数鳥だった、ということはマンガを読んではじめてわかった。
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蟹を捕獲し、船内に加工する工場も併せ持つ大型船に乗り込む労働者の過酷な現場と、それを指揮・経営する上にいる立場の人間との労働環境や条件を巡ってストライキに至るまでの話で、シンプルで分かりやすい物語だと分かったし、プロレタリア文学の代表作でもあることも知れた。名前しか知らないこのプ...
蟹を捕獲し、船内に加工する工場も併せ持つ大型船に乗り込む労働者の過酷な現場と、それを指揮・経営する上にいる立場の人間との労働環境や条件を巡ってストライキに至るまでの話で、シンプルで分かりやすい物語だと分かったし、プロレタリア文学の代表作でもあることも知れた。名前しか知らないこのプロレタリア文学自体についてや、蟹工船では共産主義の素晴らしさを描いていて、共産主義の善し悪しについても興味を持てた。労働者と上との問題は時代は問わないし、働いて生きていく上で考えていかなきゃならないと思う。集団の力は侮れない。
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よく耳にしてきた蟹工船がどういうものか理解できた。 「赤化」とか「共産主義」についてちょっと触れてる。 当時の時代背景をよく知れる一冊だと思う。 もちろん原作のほうがより詳細だろう。
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漫画でならイラストによってイメージしながら読むことができた。 (想像する余裕はなくなってしまうが) 資本主義の弊害がよくあらわされている。 労働者を人として扱われていなかった過酷な時代。 人が働くとはどういうことかということや 行き過ぎた搾取は何をもたらすかなど参考となる作品であ...
漫画でならイラストによってイメージしながら読むことができた。 (想像する余裕はなくなってしまうが) 資本主義の弊害がよくあらわされている。 労働者を人として扱われていなかった過酷な時代。 人が働くとはどういうことかということや 行き過ぎた搾取は何をもたらすかなど参考となる作品であった。
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時代は日露戦争後。蟹工船で働く労働者の資本家に対する立ち上がりが描かれた作品。 やっぱりプロレタリア文学には、すごく重いものを感じるなぁと思った。 マンガだからか最後の終わりまでもが呆気なく終わってしまったので物足りなく思った。 原作も気になる。
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漫画で読破シリーズは何冊か読んだがこれが一番好きだ。 絵が迫力があっていい。 ぬるい時代に生まれた私には想像もつかない程労働者たちが低い地位だった時代。 団結は力なのであろう。 原作もいつか読んでみたいものだ。
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小泉元首相が政界を引退しますね。格差問題の根源の人ですね。オイラの小泉元首相の政治家としてのイメージは資本主義の市場原理を際限なく政策に盛り込んだ大胆な人ってところです(昔の話ですけど・・・)。就職氷河期を経験しているのでこの一連の政策はけっこう好意的に見てたんですけどね。 ...
小泉元首相が政界を引退しますね。格差問題の根源の人ですね。オイラの小泉元首相の政治家としてのイメージは資本主義の市場原理を際限なく政策に盛り込んだ大胆な人ってところです(昔の話ですけど・・・)。就職氷河期を経験しているのでこの一連の政策はけっこう好意的に見てたんですけどね。 「痛みに耐えろ」がいまや格差。実感です。 蟹工船が現在若い人達の間で読まれている。もちろんキーワードは格差だ。まんがだけど読んでみて納得する。かなり的を絞った要約とまんが向けの演出がしっかりしているので原作のエッセンスが損なわれていない感じがする。 負のスパイラルに陥り働けど我が暮らし楽にならず。資本家と労働者の貧富の差。誰もが享受すべき富の配分(共産)。日本に本格的に資本主義経済が萌芽し第一次世界大戦を経て世界経済に取り込まれていく時代の社会施策の無策と経済活動にゆれる民衆をズッバと書いている。 社会背景や思想的なものを除いて今に通じる。ただやはり社会の問題は政治や経済活動など全てにつながっているんだね。 1円でも多く儲けることは悪なのか? 儲けた分、利益(評価)を均等に分けられるか? 自分で書いておいてなんですが難しいっすね。聖人君子じゃないけんね~。
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