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黒澤明 封印された十年 の商品レビュー

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2023/03/12

著者の大学生活と映画評論の始まりと黒澤監督の最も辛い時代(映画の斜陽化とテレビの隆盛という表現媒体の勢力の大きな変化を背景として)1965年から1975年までをキネマ旬報(白井編集長)や熊井啓監督との交流を交えて描く。 アメリカでの挫折(「トラ!トラ!トラ!」「暴走機関車」)の背...

著者の大学生活と映画評論の始まりと黒澤監督の最も辛い時代(映画の斜陽化とテレビの隆盛という表現媒体の勢力の大きな変化を背景として)1965年から1975年までをキネマ旬報(白井編集長)や熊井啓監督との交流を交えて描く。 アメリカでの挫折(「トラ!トラ!トラ!」「暴走機関車」)の背景や原因分析、ソ連での過酷な撮影状況と復活(「デルスウザーラ」)の経緯も描かれる。 テアトル新宿での偶然の黒澤監督との出会いやビール談義は、自殺未遂の1年後でのインタビューとして貴重な記録。 熊井啓監督が黒澤監督を尊敬していて様々に影響された点を記されていて、本書は熊井啓監督に捧げられている。

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2012/03/17

非常に面白い。1965年から1975年の10年間の黒澤明を追っているのだが、そのエピソードや分析も面白いが、学生から映画評論家に巣立つ筆者自身の、そしてそこに絡む映画界の人物や父親(フランスで禅を普及させた弟子丸泰仙)などが織りなす10年も当時の世評をぐっと掴んでいる。重ねて非常...

非常に面白い。1965年から1975年の10年間の黒澤明を追っているのだが、そのエピソードや分析も面白いが、学生から映画評論家に巣立つ筆者自身の、そしてそこに絡む映画界の人物や父親(フランスで禅を普及させた弟子丸泰仙)などが織りなす10年も当時の世評をぐっと掴んでいる。重ねて非常に読ませる本でした。折から、三船敏郎と石原裕次郎が競演する「黒部の太陽」(1968年公開)がNHKBSで放映される。こちらも楽しもうと思う。

Posted byブクログ

2009/10/04

筆者はこれまでも多くの黒澤研究書をものしていてだぶる記述も多いが、ここでは学生運動・反体制運動が煮詰まって破綻するのを横目で見ながら、当時一般に「権威」と見なされて批判の対象となっていた黒澤に傾倒していく筆者自身の個人史が平行して描かれる。同じ年に早稲田を卒業した村上春樹が「ノル...

筆者はこれまでも多くの黒澤研究書をものしていてだぶる記述も多いが、ここでは学生運動・反体制運動が煮詰まって破綻するのを横目で見ながら、当時一般に「権威」と見なされて批判の対象となっていた黒澤に傾倒していく筆者自身の個人史が平行して描かれる。同じ年に早稲田を卒業した村上春樹が「ノルウェイの森」で描いた学生運動の欺瞞性ともつながってくるし、筆者の父親が弟子丸泰仙というのも初めて知った。

Posted byブクログ

2011/08/03

1965年の「赤ひげ」から「デルス・ウザーラ」までの十年間の巨匠の紆余曲折と、著者自身の青春、そして、巨匠に大きな影響を受けたもう一人の映画監督の姿が描かれます。

Posted byブクログ