水滸伝(十一) の商品レビュー
暗殺をメインとしたこの巻はつらい。敵だけではなく、梁山泊側もそういう手段に訴えていくあたり、そしてそれができる人間を捜し求めるあたり、きれい事だけでは行かないのがよくわかる。 それでも、その手で打ち倒された人間を観ると、せめてやっぱり正々堂々とした戦いの中で死なせてあげたか...
暗殺をメインとしたこの巻はつらい。敵だけではなく、梁山泊側もそういう手段に訴えていくあたり、そしてそれができる人間を捜し求めるあたり、きれい事だけでは行かないのがよくわかる。 それでも、その手で打ち倒された人間を観ると、せめてやっぱり正々堂々とした戦いの中で死なせてあげたかったと胸が苦しくなる。 そういう中では、胸の中にじっと恋を秘めている王英と、部下に優しすぎて問題があるという楊春が爽やかである。 2008/8/30
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梁山泊の二人の頭領の一人晁蓋が暗殺される回です。 この巻のキーワードは、「死」です。 巻の前半で、梁山泊致死軍の隊長である公孫勝が樊瑞を 暗殺部隊の隊長に迎えるくだりがあります。 その際、公孫勝は「死」というものについて、 「昔からの友人」 と言い、樊瑞は「暗殺」という...
梁山泊の二人の頭領の一人晁蓋が暗殺される回です。 この巻のキーワードは、「死」です。 巻の前半で、梁山泊致死軍の隊長である公孫勝が樊瑞を 暗殺部隊の隊長に迎えるくだりがあります。 その際、公孫勝は「死」というものについて、 「昔からの友人」 と言い、樊瑞は「暗殺」というものについて、 「(死ぬ)運命に対する、ちょっとした手助け」 と言い表します。 また巻の最後、晁蓋が毒矢に撃たれたところでは、「昔からの友人」は、 「やさしげで、触れると心地よさそうで、包み込まれるとかぎりなく安らかになれる。しかし、冷たい」(p.381) と書き表されています。 その冷たさに晁蓋は憤怒し、自分にまとわりつき、自分を包んだ友人を両断しようとします。両断したと思った瞬間、晁蓋の視界には、鮮やかな光に満ちた世界が広がります。 本来、体験できるものではない死というものを、友人として、心地よいものとして、安らかなものとして、それでいて冷たい(決して温かくない!)ものとして例えているところに、この全19巻の小説を通した死に対する定義があります。 そして、己の矜持を貫きとおせた人物だけが、死の間際に光が広がるのです(別に「光が広がる」という記述があるわけではないが、彼らの死ぬ描写にそれを読み解くことが読者はできる)。 人の生き様を描くということは、同時にその死に様を描くことでもあります。 死への描き方が上手い作品は、同時に生きている場面も上手く書かれているものですが、北方水滸伝はそれを感じさせる作品です。
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晁蓋が、殺された。 しかも暗殺という卑劣な手で。 こーーーんなところで死ぬなんて!!! 扈三娘と良い感じだったのに・・・許せん!!! でも宋江と対立ばっかだったからこれを機にまとまるんかななんて・・・・ なんて皮肉な運命。
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梁山泊軍と官軍の駆け引きが益々熾烈になる。 どうも、作者の性格かもしれないが展開が暗い。 最初から青蓮寺と致死軍、楊志の暗殺、しかも犬と女(母親)を使って。 第二弾は史文恭を使った暗殺、物語なのだからもう少し陽気に、派手に闘いの中で行えないのか?
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【月の光さえ眩しい、と私は感じたことがある。】 梁山泊の暗殺部隊が結成。通常の兵とは一線を画した部隊。 そして生き急ぐがごとく。。。
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晁蓋と宋江は相変わらず、攻勢に転ずるタイミングについて意見を戦わせていたが、お互いに妥協することなく、議論は平行線のままであった。北部に2万の官軍が展開していることをきっかけに、晁蓋は半ば強引に梁山泊の主力を率いて出兵し、敵を一蹴した。青連寺から晁蓋の暗殺の命を受けた史文恭は、梁...
晁蓋と宋江は相変わらず、攻勢に転ずるタイミングについて意見を戦わせていたが、お互いに妥協することなく、議論は平行線のままであった。北部に2万の官軍が展開していることをきっかけに、晁蓋は半ば強引に梁山泊の主力を率いて出兵し、敵を一蹴した。青連寺から晁蓋の暗殺の命を受けた史文恭は、梁山泊に紛れ込み晁蓋の従者となり機会を伺っていた。梁山泊へ帰還する途中、史文恭は忽然と姿を消し晁蓋は肩に矢を受ける。矢には史文恭の名が彫ってあり、その先にくくりつけられていた鏃には毒が塗られていた。晁蓋は命を落とす。
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「戦で死ぬのではなく、むなしく死んでいく。それをやっても、揺るがない心を持った者を、私は必要としていた。これは、晁蓋殿や宋江殿に、知られてもならん。あの二人は、志の高潔さを失ってはならぬのだからな。私と二人だけで、暗殺というものが持つ、背徳に耐えられる心を保てるかどうか。そういう...
「戦で死ぬのではなく、むなしく死んでいく。それをやっても、揺るがない心を持った者を、私は必要としていた。これは、晁蓋殿や宋江殿に、知られてもならん。あの二人は、志の高潔さを失ってはならぬのだからな。私と二人だけで、暗殺というものが持つ、背徳に耐えられる心を保てるかどうか。そういう人間を、私は捜していた。そして、おまえを見つけた」 「俺が、暗殺を」 「暗殺をしても、ただ仕事をしただけだと思える男。私は、それを求めていた」 「すぐに、そうかと私は言えません」 「だから、あの岩に座れ、と私は言っている。そうやって、考えられるだけ、考えろと」(公孫勝→樊瑞)(p.79) 「俺は、王進殿に稽古をつけていただきたいのですが」 「やめましょう。索超殿は、充分に強い。強すぎるほどです」 「俺は、自分が弱いと思っています」 「そう思えるだけ、強くなられているのです」 「わかりません」 「わかる必要はありませんよ。あなたにとって大事なのは、これ以上強くなることではなく、その剣を生かせる場所を見つけられるかどうかでしょう」(p.83) 晁蓋が、白い歯を見せて笑った。笑うと、少年のようになる。こういう笑顔は、宋江にはないものだった。はじめてこの笑顔をむけられた時、切なく悲しいものさえ、楽和は感じたのだった。(p.193) どうしても、嫌いになれなかった。 いや、はじめから好きだった、と言っていいかもしれない。これほどの好悪の感情に包まれたことが、史文恭にはなかった。 そばにいると、それほど晁蓋という男は史文恭を魅了したのだ。いろいろな人間を見てきた。さまざまな人間になりきって、仕事もしてきた。 しかし、晁蓋になりきることはできない。ほんのわずかでも、自分は晁蓋にはなれない。そう思う。どうにもならない光を、体の底から発している。それが照らし出すのは、希望という、史文恭の人生には縁のなかった、不思議な暖かさだった。(p.363)
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少し間をおいたら、名前がわからなくなってしまった。主要登場人物さえ把握してればいいと開き直り、わからないままに読み進めることを決意。宋江と晁蓋の確執が悪化傾向。そんな晁蓋に刺客が忍び寄る。
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意見の対立する頭領2人。 3万で大きく蜂起か10万で大きく蜂起か? 暗殺屋史文恭の毒牙に掛かるのはいかに!?
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(あらすじなど)梁山泊、青蓮寺ともに暗殺部隊の活躍が中心の巻。攻城用の器具の開発やちょっとした恋愛のエピソードなどもあり、淡々と進んでゆくような印象だが、最後に晁蓋の暗殺で怒涛の12巻へ。。。
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