月と菓子パン の商品レビュー
近所に五軒もあるお豆腐屋さんに気分で通い 子供の頃の三人のおばあさんのもちつきを思い出し 春雨の中捨てられていた図工室の椅子を失敬し 知り合いの大男が入れるお茶はみなおいしい。 こっとう市で買った電灯を復活させるべくアキバへ行き 川原でカラスのためにトロンボーンを吹き お好み名人...
近所に五軒もあるお豆腐屋さんに気分で通い 子供の頃の三人のおばあさんのもちつきを思い出し 春雨の中捨てられていた図工室の椅子を失敬し 知り合いの大男が入れるお茶はみなおいしい。 こっとう市で買った電灯を復活させるべくアキバへ行き 川原でカラスのためにトロンボーンを吹き お好み名人のはからいでお好み花見をし 家の前の借景していたお屋敷が取り壊される。 年配の女性から水泳を教えてもらい 煮立てず一度に煮ず油抜きの手を抜かないおでんを食べ 納豆の糸ご飯はこの世で一番うまい。 そして最後に左官屋さんの短編。 カバー装画:山本容子 カバー装丁:十河岳男 あたたかく懐かしい香りのするエッセイ集です。 特に下町ごはんの話が多い。 現在形でたんたんと綴られる日常にほっこりします。 タイ旅行の帰りの電車で読んだからかもしれないけれど 日本っていいなあとしみじみ思ってしまった。
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日々とはこんなにもいとおしいものか。 小さなまちに女ひとり、おいしいごはんと出会う人々を肴に今夜も一杯。 ありふれた日々を宝物のように思えることばで見事に表現してあります。 夜空に浮かぶ満月のようにぽっかりとした一冊。
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なんてことないありきたりな日常を、こんな風に楽しめるといいなぁと穏やかな気持ちになり、ビール好きにはツボにはまる本。 すぐに感化さるわたしは、この本を読んでるそばから生ビールが飲みたくなり、思わず銭湯にも行ってしまいました
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上品で情緒ある文章なので、もう少し歳のいった人だと思った。 ただ淡々と過ぎる日常に目を向けた、落ち着いた気持ちの良いエッセイ集。
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気取らず気負わぬ下町生活の有様を描いたエッセイ。少しそのように演出した風でもあるのだけど、読んでいて気持ちよく、町を散歩したくなる読後感は素敵。あとやはり食べ物の出てくるエッセイは好きですな。
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素朴で良い。 穏やかな気分になれる。 しかしながら、「菓子パン」の響きは、 どうしてこんなにも心が切なくなるのだろう。 「あんパンと牛乳」 とか・・・。 それを食べてるおじいちゃんの構図。 私はたまに、それを思い、泣きます。 本日卒業式で、離任式で、 離任するくせ...
素朴で良い。 穏やかな気分になれる。 しかしながら、「菓子パン」の響きは、 どうしてこんなにも心が切なくなるのだろう。 「あんパンと牛乳」 とか・・・。 それを食べてるおじいちゃんの構図。 私はたまに、それを思い、泣きます。 本日卒業式で、離任式で、 離任するくせに泣きもしなかった自分ですが、 一言で泣ける言葉と言うものもあります。 だから、私は別に、感情が表に出ないわけではない、 と、信じてます。ただの空想(妄想)家、とも言いますが・・・。
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初めは山本容子ファンなので、ジャケ買いでした でも、石田千さん。 読んで、よかった。 この空気感。だいすき。 川上弘子から、毒を抜いたみたいな?
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まいにちの何気ないひとコマ。 あまりにもちいさなことすぎて見逃していまいそうな一瞬をていねいに掬いとってことばにしています。 石田千さんの気持ちの清潔さが感じられる凛とした作品です。
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東京の空の下の、何気ない暮し。綺麗な日本語、独特の文体。 ほほう、こんな人が出てきてたんだなあ。と嬉しい発見。 他の本も読んでみたいです。
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私が好きな本ベスト10には確実に入る本なので、文庫版も買って再読しました。 好きな文章を味わう時間はほんとうに至福。
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