天啓の宴 の商品レビュー
みんないつかは死んで、消えてなくなってしまうということが 人間の平等性を担保する唯一の現象であるならば 世界とはまるで神様の打つパチンコ台 人間はパチンコ玉のようなものだ 入賞口に入った玉も、ハズレ穴に吸い込まれていった玉も 大当たりを出した玉も、みんな同じ玉である たくさん集め...
みんないつかは死んで、消えてなくなってしまうということが 人間の平等性を担保する唯一の現象であるならば 世界とはまるで神様の打つパチンコ台 人間はパチンコ玉のようなものだ 入賞口に入った玉も、ハズレ穴に吸い込まれていった玉も 大当たりを出した玉も、みんな同じ玉である たくさん集めたパチンカーは、それを景品と交換できるが 玉にとっては関係ない、どうでもいいことだ 同じサイズ、同じ質量を持った玉たちは、すぐに混じりあって どれがどれだかわからなくなって ふたたび台、すなわち世界のなかに転生し、打たれるのである 輪廻転生…そう、使いまわされ、無為に繰り返される玉の役目は まさに輪廻転生する人生そのものだ 「CR新世紀エヴァンゲリオン」「CR北斗の拳」 「CR魔法少女まどかマギカ」「CRストライクウィッチーズ」etc 世界がどうあろうと、パチンコ玉にとっては 何者かの手によって打たれ 飛んでいくことだけがその存在意義のすべてである しかし逆に言えば 世界なんてどうあっても意味を持たないものだから パチンコ玉がそれを思うままに定義しなおすことはまったく 自由の範疇と言って差し支えないだろう 歴史修正主義の誕生である そのような考えを思いついた玉たちは やがて自らが神にとってかわることを夢想し始めるだろう パチンコ玉がパチンコを打つ世界…ちょっと粋なものじゃないか? しかしその場合、従来のパチンコ玉の役目をはたすものは何だろう 神かな? いや、神の存在が物理的に証明できない以上、それはありえない パチンコ玉の代わりをはたすものはやはり パチンコ玉以外にないのである 「天啓の宴」は、三島由紀夫「豊穣の海」を叩き台として 作者不在の小説、という観念にとりつかれた人々の話 はっきり言ってそれは、芥川龍之介の島崎批判および自殺によって すでに完成されていると個人的に思うんだけど まあ革命を夢見つつ、三島に先を越された人々には くやしみがあるわけだ
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