1,800円以上の注文で送料無料

大鴉の啼く冬 の商品レビュー

3.6

48件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

    25

  3. 3つ

    16

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2022/11/12

シェトランドについては犬しかイメージがなかったが、木も生えない寒い土地で、イギリスからもノルウェーからも14時間も掛かる場所だとは思っていなかった。天然のクローズドサークルだが、謎解きのミステリではなかった。狭い世界に暮らす人間模様をミステリ仕立てで表現したものといった印象。 手...

シェトランドについては犬しかイメージがなかったが、木も生えない寒い土地で、イギリスからもノルウェーからも14時間も掛かる場所だとは思っていなかった。天然のクローズドサークルだが、謎解きのミステリではなかった。狭い世界に暮らす人間模様をミステリ仕立てで表現したものといった印象。 手掛かりらしい手掛かりは与えられないので、最後まで犯人は分からなかったが、胸に何かが残る作品だった。

Posted byブクログ

2022/05/29

ギャオでドラマ「シェトランド」を見て原作があるのを知り、シリーズ第一作の本作を読んでみた。ドラマでは木の無い緑の草地と海岸からの段丘?が続く風景がふんだんに映し出される。 イギリスは北の離島、シェトランド諸島を舞台にそのまた離島のフェア島出身のペレス警部が事件を解く。シェトラン...

ギャオでドラマ「シェトランド」を見て原作があるのを知り、シリーズ第一作の本作を読んでみた。ドラマでは木の無い緑の草地と海岸からの段丘?が続く風景がふんだんに映し出される。 イギリスは北の離島、シェトランド諸島を舞台にそのまた離島のフェア島出身のペレス警部が事件を解く。シェトランドの中心の町ラーウィックとたぶんそう遠くはない集落。住民の生活が互いに分かってしまうようなところ。ペレスは被害者、加害者、住民の実像を探り真相をつきとめる。 新年が明けた4日後の朝、「本土」から1年前に越してきた高校生キャサリンが首を絞められて雪野原に横たわり鴉に目をつつかれていた。近くには住民からうすのろとばかにされている老人マグナスが一人住んでいた。 しかもキャサリンは死の直前に2度も老人の元を訪れていたのだ。一度は年越し後、友人のサリーと、一度は1人で。そして老人は8年前の少女失踪事件の犯人ではないかと目されたが、遺体もなく釈放されていた。しかし数日後その少女の遺体も犬によって発見される。泥炭に埋もれた遺体はまるで生きているかのような保存状態だった。 マグナム老人への詮議が強くなるがペレス警部は、何か完璧でないものを感じて、キャサリン、その友人のサリー、マグナム老人、8年前に死んだ少女、その他関係者の人間像を探ってゆく。キャサリンは高校の課題で島の生活のドキュメンタリーを撮っていた。 被害者が何故殺されたか?、ここでは被害者のキャラクターと相対した加害者のキャラクターのぶつかりだった、と言える。殺人はきっと基本そうなのだろう。が、著者はここでは被害者のある行動に、加害者がブチ切れた、という描き方。特に少女殺害の真実が痛いし、ある意味よく分かる心理。ちょっとクリスティーとも通じるものがある。 ドラマの順番は本の出版通りではなく、本を読んだ直後、この本のドラマを見た。・・なんと少女殺害の真実が本と違っていた。これはないんじゃない? キャサリン殺害も痛いが、少女殺害の真相がよりう~んとうなった所だったのに。本作がゴールドダガー賞を取ったのもそこだった気がするのだが。 作者のアン・クリーブスはほかに「ヴェラ警部」シリーズの作者。こちらもBS11で「信念の女警部ヴェラ」として放映中。もちろんみてます。 2006発表 2007.7初版 2007.12.144版 図書館

Posted byブクログ

2022/05/18

イギリス最北端にあるシェトランド諸島を舞台に、それぞれの人生でこの諸島と何らかの関係を持ち続ける人々の間で発生する事件。ある女学生が死体で発見され、8年前に発生した少女失踪事件(その後死体で発見される)が想起されるなか、両方の事件の容疑者として知的障害のある老人が逮捕される。 事...

イギリス最北端にあるシェトランド諸島を舞台に、それぞれの人生でこの諸島と何らかの関係を持ち続ける人々の間で発生する事件。ある女学生が死体で発見され、8年前に発生した少女失踪事件(その後死体で発見される)が想起されるなか、両方の事件の容疑者として知的障害のある老人が逮捕される。 事件の謎がクリアに解き明かされないなか、新たに少女失踪事件が発生する。犯人は誰だ?第三の連続事件か?と謎を膨らませて最終章へと向かう。 派手さはないが、事件の真相へと地道に捜査を進める地元の警部ジミー・ペレス。静かに進行していた犯人探しが、第三の事件発生と同時に急展開する。 犯人として絞り込まれた人物を追い求め、たどり着いたと思った矢先に待ち受ける、どんでん返し。 事件の背景にある人間関係、そこから生まれた犯人の心理、よく考えられた謎解きとして楽しめる。

Posted byブクログ

2022/02/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

イギリス最北のシェトランド島で起きた殺人事件。雪原で発見された黒髪の少女。8年前の少女失踪事件との相似。 知的障害のマグナスが犯人だとは思わなかったが、ふたつの事件につながりがあるていで読んでいたのでかなり終わりに近づくまで全く犯人が分かりませんでした。 それにしても読んでいるだけで寒い…。

Posted byブクログ

2022/01/21

イギリス最北端の地を舞台にしたミステリ。誰もが顔見知りで、鍵も掛けずに暮らしているような小さな町で起きた殺人事件。八年前には少女が失踪しており、それに関係しているとみられた知的障害のある男は母親亡き後、孤独に暮らしていた。今回も被害者は彼の元を訪れていたため、疑いの目が向けられる...

イギリス最北端の地を舞台にしたミステリ。誰もが顔見知りで、鍵も掛けずに暮らしているような小さな町で起きた殺人事件。八年前には少女が失踪しており、それに関係しているとみられた知的障害のある男は母親亡き後、孤独に暮らしていた。今回も被害者は彼の元を訪れていたため、疑いの目が向けられる。 閉鎖的な町での暮らしは息苦しく、偏見に満ちている。警部たちも特に切れ者というわけではないが、偏見を否定し、事件をフラットに見ようとしている態度に好感がもてる。

Posted byブクログ

2021/12/09

ヴェラシリーズの作者だと知り読んでみた。 舞台はスコットランドのさらに北にあるシェットランド諸島。文章からだけでこの土地の寒い厳しい冬を体感しているかのように感じられる。タイトルの「大鴉」は「おおがらす」と読む。

Posted byブクログ

2021/10/26

 本作は、イギリスの作家アン・クリーヴスのイギリス・スコットランドの北にあるシェトランド諸島が舞台のミステリー小説で同諸島を舞台にした4作品が発表されており'シェトランド四重奏シリーズと言われてます。  シェトランドの州都ラーウィックで黒髪の女子高生キャサリン・ロスが...

 本作は、イギリスの作家アン・クリーヴスのイギリス・スコットランドの北にあるシェトランド諸島が舞台のミステリー小説で同諸島を舞台にした4作品が発表されており'シェトランド四重奏シリーズと言われてます。  シェトランドの州都ラーウィックで黒髪の女子高生キャサリン・ロスが雪上で絞殺され殺害された。発見者の画家フラン・ハンターは娘キャシーのベビーシッターとしてキャサリンを遣っていた事があった。ラーウィックの人口は7,000人。ほとんどが顔見知りの小さな北国で高校生に何が起きたのか?  殺されたキャサリンは教師の父親と2人暮らしだったが、家の以前の住人の娘カトリオナは8年前に行方不明になって居り今回の事件は連続殺人と狭い街で噂された。  第一発見者のフランは、犬の散歩中にまたしても死体を発見する。今度の死体は8年前行方不明になったカトリオナだった。2人もの死体を見つけたのは偶然なのか、、  イギリスから船で14時間掛かる最北の田舎街で起きた事件は、派手な動機や金目当ての欲望や怨恨でも無かった。薄暗い空と凍った土地に生きる狭い世界では、人々の価値観も違ったのかも知れない。

Posted byブクログ

2021/06/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ネットで見かけて。 シェトランド島。 イギリス、グレートブリテン島の北東部にある、 佐渡島の1.1倍の面積の島が舞台。 新年の雪の中を若い女の子が死体で発見される。 8年前、同じ家に住んでいた少女が失踪しているが、 何か関連があるのだろうか。 正しくはメインランド、本島とだけ呼ばれており、 最もさかえている町、ラーウィックですら、 誰にも知られずおならもできない、と言われるぐらい こじんまりとした、誰もが顔見知りの社会そのものが、興味深かった。 周りの島の子供たちは、高校になると本島の寄宿舎に入って学校へ行くとか。 島によっては、週末も家に帰れないとか、 ヴァイキングの格好をして練り歩く、ウップ・ヘリアーという祭りとか。 といっても、閉塞感はあまりない。 比較的登場人物たちが、それほど感傷的でも、 それほどヒステリックでもないせいだろう。 どちらかというと、内省的。 意外なことに、二つの事件が同一犯でなかったのも、 陰惨さを軽減できたのかもしれない。 読み終わった後に、火の祭り、ウップ・ヘリアーを調べてみて、 ちょっとがっかりした。 なんだろう、コスプレしているだけにしか見えないというか。 日本にも時代祭、という似たようなお祭りがあるが、 どうも「祭り」には思えない。 私にとっては、自分が何をやっているのか意味が分かるようなお祭りは 「祭り」ではないようだ。 なぜ、大木の柱にまたがって急な坂を降りるのか。 なぜ、寒い中、裸で押し合いへし合いするのか。 なぜ、山盛りのご飯を食べるか。 起源や、理由や意味がわからないところに「祭り」はある気がする。

Posted byブクログ

2020/12/30

なんでも日本のミステリ界では数年来「北欧ミステリ」と言うのが人気のジャンルのようですね。北欧ミステリとは、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマーク、アイスランドの主に5か国が舞台となるミステリー作品のことを言います。最近だとアイスランドを舞台にした「湿地」が有名になりま...

なんでも日本のミステリ界では数年来「北欧ミステリ」と言うのが人気のジャンルのようですね。北欧ミステリとは、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマーク、アイスランドの主に5か国が舞台となるミステリー作品のことを言います。最近だとアイスランドを舞台にした「湿地」が有名になりましたね。 私たちが北欧と聞くと、福祉が充実しているとか子供の教育では世界でも定評があるだとかを想像します。しかし実際のところは、高福祉の代償として現役世代へ非常に重い税負担が強いられていたり、移民問題が重くのしかかり移民への排斥が問題視されているといった負の側面も少なくありません。豊かな自然や高福祉などの明るい部分とともに、それら負の側面も併せ持っているところに北欧ミステリの人気の秘密があると言えそうです。 そんな北欧を舞台とした本作の舞台となるのは、アイルランドとノルウェーの中間地点くらいの海洋に位置する孤島です。孤島が舞台と言うと、クリスティの「そして誰もいなくなった」を始め有名な作品がたくさんありますが、本作がそれらと異なるのは、シェットランド諸島という実際に存在する場所を舞台にしているところです。この島にはシェトランド・シープドッグという犬がいるそうですが、私を始め日本人でなじみのある人はまずいないと思います。 大晦日の夜、長年の間家に閉じこもり、来ない訪問者を待つ孤独な追い出し者のマグナス・テイト老人を2人の女子高生が訪問するところから始まります。翌朝、2人の女子高生のうちの1人の遺体が近くで発見されることになりました。シェトランドでは数年前にもカトリオナという別の少女少女が疾走する事件が起きています。その過去の事件の容疑者でもあったマグナスは、当然今回の殺人でも皆から疑われることになります。噂やゴシップで非難されることとなったマグナス。状況証拠に基づいてマグナスを逮捕した島の警部のジミー・ペレスですが、彼は別の未知の殺人者を示す手がかりを見つけ、誰もが行きたがらないシェットランド諸島の過去に深く迫る捜査の迷路に入っていくというのがストーリーのあらすじです。プロットの中には様々な紆余曲折が盛り込まれており、最後まで犯人はなかなか本性を現しません。 「シェットランドでは、風がないときは衝撃的だった。人々は耳を絞め、何が欠けているのか疑問に思った」 「巨大なクルーズ船が港に滑り込み、建物の上にそびえ立って座っていることもあった。1時間の間、彼らの乗客は町を占拠した」 こういった風景の描写を見ると、シェットランドに行ってみたくなるものもありますが、本書のあとがきによると、シェットランド諸島にはクルーズ船でアイルランドから14時間もかかるそうで、まさに現代の絶海の孤島ですね。まぁ、日本でも北欧でも、隔絶された地域というのはたいてい住人同士の血縁・人間関係が濃く、お互い知り合い同士である場合が往々にしてあります。人口2万人くらいの隔絶された島が舞台となるシェトランド諸島も例外ではなく、ペレス警部は容疑者の洗い出しを始めるにもまずドロドロした人間関係を丹念に解きほぐすところから始めるところが本書の特筆すべきところといえそうです。そのせいか、最初の内はローカルな人間関係の事情の説明が主で、とにかくまともにストーリが動き出すのがかなり後の方になるため、読む人を選びそうな感じの一冊です。

Posted byブクログ

2021/01/13

イギリス最北端に位置するシェトランド諸島、島民誰もが顔馴染みの集落で女学生殺人事件が発生する―。大寒波が押し寄せる真冬という作中季節に加え、事件に挑むのはバツイチで出自に訳ありの出戻り刑事。本土から遠く離れた孤島というシチュエーションといい、北欧らしいローカルで仄暗い世界観が堪ら...

イギリス最北端に位置するシェトランド諸島、島民誰もが顔馴染みの集落で女学生殺人事件が発生する―。大寒波が押し寄せる真冬という作中季節に加え、事件に挑むのはバツイチで出自に訳ありの出戻り刑事。本土から遠く離れた孤島というシチュエーションといい、北欧らしいローカルで仄暗い世界観が堪らない。派手さのない堅実な筋運びで、言ってしまえば地味な作風だが、クライマックスに至るまでの積み上げが実に緻密。村社会の閉塞感、そして家族や学校の抱える諸問題は万国共通なのか。やはりミステリーは米国発より北欧発の方が私は好きですね。

Posted byブクログ