1,800円以上の注文で送料無料

風立ちぬ・美しい村 の商品レビュー

4

17件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    4

  3. 3つ

    4

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2013/07/19

荒井由実の「ひこうき雲」のメロディーにのせて「生きねば」というコピーがおどるこの夏公開の「風立ちぬ」。もともと宮崎駿ファンだから、気分はアゲアゲ。映画をもっと楽しもうという本屋のコピーを鵜呑みにして、読みました。叙情的で冗長な文章。そして何よりせつないのね・・・。もう何と言うか、...

荒井由実の「ひこうき雲」のメロディーにのせて「生きねば」というコピーがおどるこの夏公開の「風立ちぬ」。もともと宮崎駿ファンだから、気分はアゲアゲ。映画をもっと楽しもうという本屋のコピーを鵜呑みにして、読みました。叙情的で冗長な文章。そして何よりせつないのね・・・。もう何と言うか、心が苦しい。山の空気の乾いた冷たさとサナトリウムの閉塞感と、どこにもいくことができない登場人物の感情がひしひしと伝わってきて、ぎゃはぎゃはとやかましい山食の中で、Please leave me alone状態入ってしまいました。

Posted byブクログ

2013/06/01

音楽のようだなあと思ってたら解説が河上徹太郎でほくほく。 風立ちぬ、の盛り上げずどこも同じように時間が過ぎていく感じがなんだか好き。

Posted byブクログ

2013/05/26

・美しい村 フランツ・カフカの『城』を思い出す。共に、異邦人であること、で共通する。しかし、『美しい村』の私は、人と交わらない。これに対し、『城』のKは、人と交わろうとするが、他人との関係で自分がどこに在るべきかがわからない。この点が決定的に違う。 例えば、p23で、私は人がいる...

・美しい村 フランツ・カフカの『城』を思い出す。共に、異邦人であること、で共通する。しかし、『美しい村』の私は、人と交わらない。これに対し、『城』のKは、人と交わろうとするが、他人との関係で自分がどこに在るべきかがわからない。この点が決定的に違う。 例えば、p23で、私は人がいることに気付くが、その人に話しかけようとはせず、その人が去った後に、その人のまねをする。閉鎖的ではあるが、人とかかわりたい。そんな願望が見て取れる。  作者がいう副題の「フーガ」は言いえて妙。主題が繰り返しながら、発展するさまはバロック的な形式美をも備えて、格調がある。 惜しむらくは、「夏」以降は冗長感が否めないこと。夏の前ですっぱり終わらせた方が作品として美しかった。  解説は、プルーストの影響を指摘する。これは当たっている。しかし、あたっているのは、意識の流れを追う点だけだろう。例えば、プルーストの『失われた時を求めて』はフランスのあの時代でしか成立しえない作品だ。 ・風立ちぬ 『風立ちぬ』は、日本のサナトリウム文学の嚆矢にして金字塔(ドイツには『魔の山』がある)。福永武彦好きとしてはいつか読みたかった作品。映画化に際して、よい機会なので、読むことにした。  「美しい村」の後に読むと、作者は詩的描写ができるのに、削るに削っていることがよくわかる。そのことがかえって、二人の死への思い、愛(と軽々しい言葉を使うのをためらうほどのもどかしさ)を強調する。この二つの心情が絡まって提示されることで、読む者の心を締め付ける。美しいがゆえに、非常に壊れやすい。非常に壊れやすいがゆえに、美しい、とでもいうべきか。  サナトリウムというものが、ひいては結核が不治であることが、現代に生きる我々にはたぶん、ぴんと来ない。が、『ノルウェイの森』(特に後半、あの作品は前半は青春小説だ)なんかは明らかにこの作品の系譜にある。このような現代の作品でも類似のの舞台が示され(そして成功して)いるのだから、サナトリウムを舞台とすることが、この作品の普遍性を(特にその美しさ)を減殺することはいささかもない。むしろ他から隔絶された環境が美しさをひきたてるといってよい。  

Posted byブクログ

2011/09/10

「風立ちぬ・美しい村」堀辰雄 サナトリウム文学。純白。 @電子書籍 35 冊目。 ※ブクログに登録がないため岩波文庫版にて登録。グーテンベルク21社配信。 昨今のサナトリウム文学といわれるものは特にサナトリウムに限ったものではなくましてや大衆文学色が強いものも多いですが、 堀辰...

「風立ちぬ・美しい村」堀辰雄 サナトリウム文学。純白。 @電子書籍 35 冊目。 ※ブクログに登録がないため岩波文庫版にて登録。グーテンベルク21社配信。 昨今のサナトリウム文学といわれるものは特にサナトリウムに限ったものではなくましてや大衆文学色が強いものも多いですが、 堀辰雄はまさにサナトリウムにおける思慕愛を描いた文学の代表的作家で、本人も肺結核で亡くなっています。 流々と穏やかな情景描写を下地に、「私」の想念のリアリズムが、 よく言えば 綺麗な物語への没入感を印象させたし、 悪く言えば くどくどしくて飽きた。 …身も蓋もないですな。 ただ、近頃の流行りのお涙小説とか、私小説・エッセイですらそうだけど、ああ書き手の思索のレベルが低いなーって感じること多々あると思うので、 やはりいわゆる名作と呼ばれるような、文学的エリートが書いた文章に触れる経験は必要だな、と思います。(3)

Posted byブクログ

2010/07/26

やさしいやさしい二人でも、気持を重ね合わせるのは難しく、だからこそ一緒にいられる時間はかけがえがない。

Posted byブクログ

2010/06/27

中学3年生の時に出会った小説。 自然の描写がとても美しく、透明で澄みきっている。 「……あなたはいつか自然なんぞが本当に美しいと思えるのは死んで行こうとする者の眼にだけだと仰しゃったことがあるでしょう。……私、あのときね、それを思い出したの。何だかあのときの美しさがそんな風に思...

中学3年生の時に出会った小説。 自然の描写がとても美しく、透明で澄みきっている。 「……あなたはいつか自然なんぞが本当に美しいと思えるのは死んで行こうとする者の眼にだけだと仰しゃったことがあるでしょう。……私、あのときね、それを思い出したの。何だかあのときの美しさがそんな風に思われて……」

Posted byブクログ

2009/10/04

「……あなたはいつか自然なんぞが本当に美しいと思えるのは死んで行こうとする者の眼にだけだと仰しゃったことがあるでしょう。……私、あのときね、それを思い出したの。何だかあのときの美しさがそんな風に思われて……」「そうだ、おれはどうしてそいつに気がつかなかったのだろう?あのとき自然な...

「……あなたはいつか自然なんぞが本当に美しいと思えるのは死んで行こうとする者の眼にだけだと仰しゃったことがあるでしょう。……私、あのときね、それを思い出したの。何だかあのときの美しさがそんな風に思われて……」「そうだ、おれはどうしてそいつに気がつかなかったのだろう?あのとき自然なんぞをあんなに美しいと思ったのはおれじゃないのだ。それはおれたちだったのだ。まぁ言って見れば、節子の魂がおれの眼を通して、そしてただおれの流儀で、夢みていただけなのだ。……それだのに、節子が自分の最後の瞬間のことを夢見ているとも知らないで、おれはおれで、勝手におれたちの長生きした時のことなんぞ考えていたなんて……」

Posted byブクログ