怒りの葡萄(上) の商品レビュー
1930年代の小作農民の困窮ぶりを描く。 彼らが困窮していた事実がわかりやすく書かれているとは思う。 下巻に続く。
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ジョード家族の生きるため仕事を求めての放浪生活が描かれる。家族から脱落者が次々に出てゆくが、母親は一家の砦として様々な運命にも前向きに生きていく姿が素晴らしい。
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1930年代、恐慌下のアメリカで土地を追われたオクラホマの農民一家が没落・離散していく過程を描く「ロードムービー的な社会派家族小説」。大局や情景を抽象的・客観的に描く奇数章と、ジョード一家の人々の具体的な姿を描く偶数章が交互に進行する構成は非常にメリハリがあり、初めから終わりま...
1930年代、恐慌下のアメリカで土地を追われたオクラホマの農民一家が没落・離散していく過程を描く「ロードムービー的な社会派家族小説」。大局や情景を抽象的・客観的に描く奇数章と、ジョード一家の人々の具体的な姿を描く偶数章が交互に進行する構成は非常にメリハリがあり、初めから終わりまで緊張感を失わない。暗い物語にもかかわらず、血の通った人物造形と生活感のある巧みな会話が求心力を与えている。
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★評価は読了まで保留。 スプリングスティーンの”The Goast of Tom Joad"の新録を聴き再々読。 多くの方が指摘するように、少々頂けない訳が散見されるが、詰まるところ原典に当たれない当方の無能さに行きつくため、余り大きな声で不平を述べるのは差し控えます。...
★評価は読了まで保留。 スプリングスティーンの”The Goast of Tom Joad"の新録を聴き再々読。 多くの方が指摘するように、少々頂けない訳が散見されるが、詰まるところ原典に当たれない当方の無能さに行きつくため、余り大きな声で不平を述べるのは差し控えます。 それにしても思うのは、この当時の人々は「疎外」という現象を肌身に染みて、現実のものとして感じ取っていたであろうことが伝わってくる。 逆に市場主義の毒に麻痺してしまった当方含めた現代社会の人々は、この作品の真の意味での普遍性を共有することが困難になりつつあるのかもしれない。 目を凝らして真摯に向き合うべき作品である、と当方、肝に銘じております。
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1930年代アメリカ中南部を襲ったダストボウル。そして大資本による農地の収奪。行き場を失った農民たちは、緑したたるカリフォルニアをめざす。上巻はそのカリフォルニアへたどりつくまでの物語。アメリカのロードムービーを重苦しくサバイバル風にしつつ、しかしその中で人間の気高さを描く。プロ...
1930年代アメリカ中南部を襲ったダストボウル。そして大資本による農地の収奪。行き場を失った農民たちは、緑したたるカリフォルニアをめざす。上巻はそのカリフォルニアへたどりつくまでの物語。アメリカのロードムービーを重苦しくサバイバル風にしつつ、しかしその中で人間の気高さを描く。プロレタリア小説のようでもある。下巻が楽しみ。
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土地を追われ、夢を信じてカリフォルニアに向かう人たち。しかし、それは苦難の連続で、今もアメリカに続く差別を知る旅でした。 独立戦争と南北戦争を経ても尚、アメリカ建国の困難を感じさせられます。
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途中からざざっと読むことにして読破した。初めて翻訳者の大久保さんの訳の癖が読み辛いと感じた。みんな ~ですだ という話し方は疲れる。風と共に去りぬは黒人だけがこの話し方だったから気にならなかったのだと思う。
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何度も読んだ。砂嵐と大恐慌。お百姓さんたちは為す術もなく土地を捨ててカリフォルニア州方面へ季節労働者として移住を始める。スタインベックは本当の貧しさを知らなかったのだろうと思う。人間は腹が減って動けなくなっても、生き抜こうとあがくもの。それが悪だというなら言えば良い。生き残った者...
何度も読んだ。砂嵐と大恐慌。お百姓さんたちは為す術もなく土地を捨ててカリフォルニア州方面へ季節労働者として移住を始める。スタインベックは本当の貧しさを知らなかったのだろうと思う。人間は腹が減って動けなくなっても、生き抜こうとあがくもの。それが悪だというなら言えば良い。生き残った者だけが善悪をいえるだけだ。そういう見方をすると、今の私の歳になるとスタインベックもおぼっちゃま作家にすぎなかったと断言せざるを得ない。 人間に生まれてここまで惨めで哀しいにめ合わなければならない不条理を下巻の最終コーナーで訴えることに成功している。その間、政治は財界は教会は何かしてくれただろうか?そういう疑問を喚起することには全く無関心でいられる作家の神経が理解出来ない。 人間の生き様の醜さをエデンの東では見事に表現し、聖書の物語に対比させることに成功したスタインベックだが、この作品には、私から見れば批判したくなる点が、尚残る。 もっと歳をとって読んでみたら、また違った感想をもつかもしれない。本との再会は果たせるかどうか確かなことは分からない。読める時には真剣に読む。この繰り返し。この本はいくつで出会ってもよくよく考えさせられるという点では秀作。 原書で読むと英語のレベルが高いので本気で読まないといけない。それも修行みたいなもの。良い出会いを求め続けたい。
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アメリカの自由主義・資本主義の矛盾を鋭く指摘する一冊。 目の前の自然や人間と戦い、勝ち、負け、生き残ってきた。 しかし、彼らの土地を奪ったトラクターは立ち向かう相手ではない。 トラクターの運転手ではなく、運転手を雇う者でもなく、 抽象的な概念が敵となり、非情に彼らの生きる地、死...
アメリカの自由主義・資本主義の矛盾を鋭く指摘する一冊。 目の前の自然や人間と戦い、勝ち、負け、生き残ってきた。 しかし、彼らの土地を奪ったトラクターは立ち向かう相手ではない。 トラクターの運転手ではなく、運転手を雇う者でもなく、 抽象的な概念が敵となり、非情に彼らの生きる地、死ぬ地を奪った。 家族は壊れつつも助け合い、西へ向かう。 もって行き場のない悲しみは怒りへ変わり、発酵する。 この小説は一章毎に視点が変わる。 奇数章は本編に先行して俯瞰的な物語。 あまりにも場面が一新する為、一見無関係に思われるが、 必ず本編にリンクし、無駄が一つもない。 そして、叙事的で深く印象に残る。 スタインベックの真骨頂と言えるだろう。素晴らしい! 個人的には、陸亀の話と中古車販売店の話が好き。 偶数章は、主人公トム・ジョードとその一家が中心となる本編。 資本主義の大波に抗う事も出来ず、 悲しみと希望を抱いて西へ向かう。 両手に葡萄を持ち、その果汁を頭から浴びることを夢見て。
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最初はちょっと退屈かなと思いながら読んでいたけど、ジョード一家が旅立ったあたりからはおもしろくて止まらなくなった。 ぜんぜん古臭さがない。共感できる。時代に流されない普遍的な作品。 感想は下巻で。
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