沈黙の春 の商品レビュー
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レイチェルカーソルによる 化学物質の使用が環境に与える影響について 批判的に述べた1冊。 1950年代、アメリカでは害虫駆除を目的として 「農薬」が開発された。 それにより農場から害虫は減少し、「一時的に」収穫が良化する。 しかしその一方で、 自然環境が崩れ始める。 動植物の成長不全、害虫の個体の増加、場合によっては動物の死。 1945年まで続いた第二次世界大戦の影響で 農薬や飛行機の量産が可能となったアメリカでは 害虫を「減少」ではなく、「根絶」にこだわった。 過剰なまでの農薬使用により 生態系のバランスが崩れ、結局農業も衰退することを 強く訴えている。 この本で注目すべきは、 影響を示したエビデンスの数だと考えている。 およそ本の7割以上が農薬の悪影響について述べられており、 残りで改善策についての考えが書かれている。 現代、農薬を空中から降らせるなど考えもつかないが それが当たり前のように行われていた時代では 「当たり前」を批判することが いかに難しいことかを示している。 しかし結果として、レイチェル自身 化学薬品に変わる合理的な改善案は出せずに 書き終えるわけである。 1960年に決定的な解決策を見出すことが出来ずとも 農薬使用の影響を1冊の本で痛烈にまとめあげ、 世間の常識を批判した。 【学んだこと】 常に常識を多方面から見るようにすることが重要である。 農薬は農家の悩みを解決する手段という側面もあるが、 動植物への悪影響も忘れてはいけない。 このように物事を様々な面から見て、考えることが 必要である。
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人々はその危険性を知らずに化学薬品を多用している 化学薬品は環境や植物を汚染し、それを食べる昆虫や動物達も殺し、果ては人間も殺している 人間の身勝手な理由で生態系を破壊している事に気づき、振る舞いを改めなければならない 植物や虫の防除をする際にも、化学薬品を使う方法より、生態に合わせた生物学的方法を使った方が有効 発行当時(60年代)と現在では違いもあるが、この警鐘は今でも重要
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化学物質による環境破壊の危険性を様々な例を挙げて説明している。 「放射能と同様に考える」という記述があって、そう考えると私たちも環境問題に対して積極的に考えていかないと感じた。
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人間のエゴによる無差別テロとも呼ぶべき環境破壊活動を赤裸々にした名著。生物・植物と環境を切り離して論じてはいけないことを、この時代に発信した先見性にただただ頭が下がる。改めて出所の分からないものの見極めと、成分の分からないものを口に入れないなど、情報リテラシーと判断基準の質的向上...
人間のエゴによる無差別テロとも呼ぶべき環境破壊活動を赤裸々にした名著。生物・植物と環境を切り離して論じてはいけないことを、この時代に発信した先見性にただただ頭が下がる。改めて出所の分からないものの見極めと、成分の分からないものを口に入れないなど、情報リテラシーと判断基準の質的向上が必要なのだと実感できた。
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人間が自らの被害から守るために、化学的コントロールを試みることの恐ろしさ、愚かさを実証的に訴える。原著の発行が1962年、日本語訳が1964年に初版となったが、日本の高度経済成長とともに蔓延した公害に対して警鐘とはなり得なかった。死を伴う病気でもって慌てだしたのだ。企業は勝ち残り...
人間が自らの被害から守るために、化学的コントロールを試みることの恐ろしさ、愚かさを実証的に訴える。原著の発行が1962年、日本語訳が1964年に初版となったが、日本の高度経済成長とともに蔓延した公害に対して警鐘とはなり得なかった。死を伴う病気でもって慌てだしたのだ。企業は勝ち残り競争にあり、規制を行うには国の力がどうしても必要である。政治家までが自己の利益を優先していては、こういった課題への対応は遅れる。2019.4.30
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当時を生きていないから衝撃のほどがきっとわかっていいが、人間には殺虫剤かけていたくらいなので、当時の常識を大きく覆したんだと思う。にしても、沈黙の春というタイトルがすごく良いと思う。 全てをコントロールできると思うことは錯覚に過ぎなかった。
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レイチェルカーソンの環境問題を題材にした一冊でした。環境問題を勉強している立場の人間からするとこの一冊のように問題提起をしていくことがどれだけ大事かがわかる本でした。
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定番としてであったり、名著/名文としてであったり取り上げられることが多いけれども、よく取り上げられる冒頭部分以外を読んだことがなく、たまたま見つけたので読んだ。 いまはこの本から数十年経ているので、生態系を壊さないようにしつつの害虫駆除の方法も恐らくかなり広まって改良もされている...
定番としてであったり、名著/名文としてであったり取り上げられることが多いけれども、よく取り上げられる冒頭部分以外を読んだことがなく、たまたま見つけたので読んだ。 いまはこの本から数十年経ているので、生態系を壊さないようにしつつの害虫駆除の方法も恐らくかなり広まって改良もされているだろうけれども、こんな惨事があったとは。そして著者はアメリカの人だけど、小笠原諸島とか、日本でも起こっていたことだったのね。 利害関係が色々と絡み合ってしまって、どうしてもお金とか、目先の損得に捕らわれて考えがちだけれども、数年後、数十年後を見据えて考え、動いた方が良いという教訓。スローライフ系の話題を最近よく見るけど、あれも考え方の根っことしては同じかな、という感じがする。
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自然の脆さ 自然的適合が自然にとってベスト 今自分たちの身体には様々な自分で分からないものが入ってきている。 人出は実験不可能なものが多く、そういったものは怖い。
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環境問題を考える上でのもととなった書籍ということで拝読。 内容としては殺虫剤など、いろいろな化学物質が人間に害を及ぼしているという話。 沈黙の春の意味は、春は花が咲き、虫が出てくる季節だが、汚染によってそのような音がない沈黙という意味だとわかった。
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