沈黙の春 の商品レビュー
人間の都合に合わせて製造・散布された化学物質による生態系への被害を取り上げ「分別なき化学物質利用の恐ろしさ」を世界に広く啓蒙した書籍。 有名なのでタイトルを聞いたことがある方は多いと思われます。 数多くの事例が紹介されており分量は多め。読み切るのに時間がかかりましたが、環境保...
人間の都合に合わせて製造・散布された化学物質による生態系への被害を取り上げ「分別なき化学物質利用の恐ろしさ」を世界に広く啓蒙した書籍。 有名なのでタイトルを聞いたことがある方は多いと思われます。 数多くの事例が紹介されており分量は多め。読み切るのに時間がかかりましたが、環境保護思想の先駆けといえる書籍だと思うので頑張ってチャレンジしてみました。 個人的な学びとしては ・生態系の「網」は非常に繊細かつ複雑で、外的要因によって簡単に破壊されること ・その破壊はほぼ不可逆的に起こること ・人為的に生態系へ導入された化学物質がもたらす害によって、それまでは意識されなかった生命の関係性が顕在化すること ・特定の病原体、害虫の駆除に関しては、化学防除ではなく生物防除が有効であること(日本原産マメコガネ駆除に用いられた病原菌) ・数多くの事例を調査・収集されたカーソン女史のすごさ
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今さらながら。 化学薬品の恐ろしさ。 マメコガネ駆除に、乳化病の胞子を使うやり方はいいよね。 初期投資かかっても、どうしてそうしないんだろう。 殺虫剤は手軽だけど刹那的。 ほかの生態系にも影響するのに。
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彼女が研究して、この本を出したことで 世の中は変わったのかしら。 わからないからわかる人教えてください。
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「医学において、防ぐことより治すことが重視されすぎている」 ビジネスにおいても、治療することだけでなく、予防することにまで広げられれば、顧客は倍以上に拡大する。
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主に、農薬や殺虫剤、除草薬が自然界にもたらす影響について書かれている。 人間が気軽な気持ちで手にするこれらの薬により、簡単に生態系を壊し、自然を破壊してしまう。 これらの薬の危険性について知ったことはもちろん、生態系のバランスを保つことの大切さにとても興味をそそられた。 また、気になったのは、例えば何かの昆虫を駆除したいときに、その昆虫を殺す化学薬品をつくる研究には国から予算がたくさん出されるが、生態系を利用した駆除方法の研究には予算がつかないこと。 生態系、自然界を守ることは、非常に重要な一方で、これらを守ることで何かお金が生み出されることはあまり想定されないと思うから、それがこの分野に予算がつかない理由でもあるからもしれないし、活動を広げることへの難しさなのかもしれない。 農薬の詳細について 生態系、自然と経済 について調べたいと思った。
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人はどこまでも愚かになれる 科学の発展と環境とのせめぎ合い。 どう折り合いをつけていくべきなのかを考えさせられます。 きっと解説から読んだ方がいいと思う。
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殺虫剤による化学的コントロールは環境破壊に繋がるという、農薬による殺虫は結果として人間の健康被害も引き起こす可能性があるという。
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出版された当時でこれだけのことを研究分析しているのはすごい。結局、人類は地球における生態系において必要なのか不必要なのかということも考えさせられる。人類に害を与えるからとその種だけを絶滅させて良いということは無い。僅かな不均衡が、取り返しのつかないものになってしまう。環境に対する...
出版された当時でこれだけのことを研究分析しているのはすごい。結局、人類は地球における生態系において必要なのか不必要なのかということも考えさせられる。人類に害を与えるからとその種だけを絶滅させて良いということは無い。僅かな不均衡が、取り返しのつかないものになってしまう。環境に対する技術は進んでいるが、本来の地球の姿へ戻すことは不可能だろう。地球温暖化防止や、環境保護を叫ぶことは簡単であるが、どのような状態が良いのか深く考える必要がある。環境関係の勉強をしていたのにまだ読んでいなかったことを恥じます。
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SDG, ESGへの取り組み、気候変動や環境保護を訴えるグレタさん等、今日では環境保護、気候変動への対処といったテーマが耳目を引いていることは疑いがありません。 一方、本書が著された今から60年近く前には、経済や企業活動の発展に焦点があり、環境に対する意識が今日ほど世界的な話題で...
SDG, ESGへの取り組み、気候変動や環境保護を訴えるグレタさん等、今日では環境保護、気候変動への対処といったテーマが耳目を引いていることは疑いがありません。 一方、本書が著された今から60年近く前には、経済や企業活動の発展に焦点があり、環境に対する意識が今日ほど世界的な話題ではなかったことでしょう。 カーソンはこの本で主にアメリカでの化学農薬の大規模な散布が、自然に破壊的影響を与えている実例数多く紹介し、警鐘を鳴らしています。商務省、内務省での勤務で彼女自身が環境問題に関与したことから、実例は具体的な数値や、人間以外の動物、野鳥、昆虫、魚類と多岐に亘る生物への影響の具体例に裏打ちされており、大変説得力があります。 アルベルト・シュヴァイツァーの言葉が、カーソンにより引用されています。「人間の作り出した悪魔が、いつか手に負えないべつのものに姿を変えてしまった」 化学と放射能の利用により、人類は大きな利便性を手にしますが、地球規模の環境の破壊を招き入れることとなり、まさにプロメテウスの火となってしまっている感があります。 カーソンは、害虫に対して化学農薬の大規模散布ではなく、より自然の枠組みでの対処法としての、雄の不妊化や天敵の導入による対処を提唱しています。 「沈黙の春」から60年近くたった今日、化学農薬の使用は先進国で低減または横這いにあるようですが、中国など農地の拡大もあり急伸している国もまだあります。プロメテウスの火をうまく管理できる日が訪れるのでしょうか? 燎原の火のようになる前に人々の意識を高める必要性があることからも、本書は今後も読み継がれていくのではないかと思いました。
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今から60年近く前に書かれ、人類の環境への暴力に警鐘を鳴らし、環境運動のさきがけともなった一冊。 《ポイント》 ·化学物質、とりわけ農薬が生物、環境、人体に与える悪影響を膨大な数のエビデンスをもとに示している ·人間が自然をコントロールすることがいかに愚かか 《感想》 「自然は、人間の生活に役立つために存在する、などと思い上がっていたのだ。」 著者レイチェル・カーソンの主張は最終章の最後に端的に示されているこの一行に集約されていると思う。 この『沈黙の春』が環境問題に対して鳴らした警鐘は、多くの環境保護運動を生み、世界を変えたのは間違いないし、そのような意味においてもこの本はとても素晴らしいものだと思う。 しかし、約60年たった現在、人間は自然との向き合い方は良い方向へと向かっているのだろうか? 本書では安価な殺虫剤DDTが生物、環境、人体に与える悪影響を様々な観点から書かれているけれど、現代は加えてプラスチックゴミや温室効果ガスなど、地球に対して様々な悪影響をもたらすものが分かってきている。 そこに対して、人間はどれだけ真剣に取り組むようになっているのだろう? 近年SDGsを達成するために、様々な動きがでてきたように思える一方、今のスピード感・人々の環境への認識では2030年までに果たして達成できるのか不安も大きい。 今の人類を見たら、レイチェル・カーソンは何を思い、何を伝えるのだろうか。
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