グレート・ギャツビー(華麗なるギャツビー) の商品レビュー
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村上春樹の「ノルウェイの森」の主人公が一番好きな本として紹介されていたので、以前挑戦したが、野崎訳は最初の方で挫折してしまった。その後村上春樹訳で読み(多分10年ほど前)、その時は読了したのだけれど、ああ面白かったなという印象だけで、ストーリーをよく覚えていなかった。そして、今回野崎訳を再トライしてみたが、こんなに素晴らしい話だったのかと感動してしまった。 以前野崎訳を挫折したのは、じっくりと本に向き合うという気持ちがなかったため(ストーリーを追うことに主眼を置いていた)、この小説における詩的な表現が、どこか甘ったるい上にまどろっこしく感じたのだった。しかし、今回再読をしてみて、その文章一つ一つが洗練されていることに気づき、心の奥底の泉に石が投げられ、その波紋が体中に広がっていくように感じた。 ストーリーとしてはバッドエンドと呼べる部類なのだけれど、どうしてもギャツビーの悲惨な運命について考えると涙を禁じ得ない。この話を最初に読んだ時、自分はまだ20代で、未来にはまだまだ希望があり、世界には素晴らしいものが満ち溢れていると信じていた。しかし、語り手であるキャラウェイの年齢を超えてしまえば、それは幻想だったというか、若者特有の熱に浮かされていた状態だったのだとも気づいてしまう。もちろん、まだまだ世界の素晴らしいものを目にしたいし、手に入れたいとも思っているが、ギャツビーが海峡の先の緑の光に感じていたことが、デイズィと出会ってから失ってしまったように、熱に浮かされていて、手に入らないものを渇望しているときの気持ちというのは、手に入らないからこそのものなのだと思う。つまり、やはり齢を経て現実を知るとともに失われる、あるいは変わってしまうものなのだ。そして、その熱に浮かされている状態は、その時には気づくことができず、後から気がつくものではないだろうか。昔の自分はギャツビーの悲惨さについては心を動かされるというよりも、なんでこんな結果になってしまったのだろう、ある意味自業自得ではないかと、冷めた視線で眺めてしまったのだけれど、人生経験をある程度積み、今この歳になって、こんなに真っすぐに人を愛すること、つまりは人生を過ごすことの素晴らしさについて、そておそらく自分も持っていたその熱について、心が動かされるようになった。 村上春樹訳ももう一度読んでみたいと思う。何度でも読み返したい、生涯の一冊と思える小説。 追記: 文庫版解説を読んで。この物語においてギャツビーが求めたもの、それは「虚栄」としかい言いようがなく、東部に存在したものは、結局のところ何もなく、トムやデイズィは空っぽと言っても良いのだろう。ギャツビーの破滅はある意味で必然であったのだ。
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自分も歳か青春のやわらかな景色をほほえましく思う一方で徒そこへたゆたうに苛立たしくもなる どんな時代も文化も主義も宗教もそれが人間のものである以上暮れて移って変わっていくのに気付くときは 諦めと周知である前途への安堵でもある
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フィッツジェラルドの代表作。アメリカ文学の有名な作品。少し古い本なので、書き言葉的に少し読みにくい。でも繰り返し読むとわかってくる。 映画でもあるので、どのメディアでもいいのですが、おすすめする作品です。少し前の成り上がっているアメリカの内情がそのまま書かれているのでその点でも面白いですし、ギャッツビーの爽やかな生き方を読み解くのも面白いです。 本を書く人の技量が現れる点であると思うのですが、風景描写や人々の行動の描写であったりするところが、とても深みがあり、映画化もうなずける一品
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きらびやかな世界で繰り広げられる甘い夢。 人気と孤独。 過去の世界に浸りながら今を生きることは果たして幸福なのだろうか?
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はじめは文章の言い回しに苦戦したけれど、最終的にはたたみかけるように読めてしまった。 実現しかけた夢が一瞬で崩れ去る虚しさや脆さを感じた。 財だけでは人は判断できないが、財がないとその女性に近づけなかったギャツビー。それにかけた彼の人生は、彼にとってどうだったのだろう。
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30歳をまたぐ主人公たちのの青臭さが絶妙。 最後の数ページの余韻が残っているうちに、最初に戻って読んでみるのを勧めます。
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アメリカの富豪の生活やニューヨークのきらびやかさの裏に潜む空虚,偽善がテーマ.人生における幸せとは一体何だろう,ということを描いた話といえよう. 狂言回し的役割のトムとデイジィの世界(=当然読者からはかけ離れており理解不能),実はそこに近づこうとしていただけだったギャッツビー(=冒頭ではトムとデイジィ以上に浮世離れしているように描かれるが,徐々に背景が明らかになる),そこに巻き込まれて俯瞰的な立場から眺めるニック(作者や読者の分身)の3種類のキャラクターがバランス良く対比して書かれているところが,この小説が支持され続け何時までも輝きを失わない理由だろう.
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いつか読まねばと思っていたのでようやく読めたとひと安心。わざとなのかもしれないが「その人」というのが誰を指しているのか分かりにくい部分が多いのがしんどかった。 純愛ではあるが、過去や手に入らないものは美化される、幻想は幻想のままが一番よいのかもしれない。トムは自己愛の強い嫌なやつ...
いつか読まねばと思っていたのでようやく読めたとひと安心。わざとなのかもしれないが「その人」というのが誰を指しているのか分かりにくい部分が多いのがしんどかった。 純愛ではあるが、過去や手に入らないものは美化される、幻想は幻想のままが一番よいのかもしれない。トムは自己愛の強い嫌なやつだが、ディズィのしたたかさの方が鼻につく。
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高校生の頃、宝塚の舞台放送を観たことで原作が気になったので読みました。 宝塚だからまぁ美化されているだろうと思ってはいましたが、原作のギャツビーの執念深さ執拗さは想像以上で読みながらかなり引きました… 少し大人になった今読んだらまた違った受け取り方になるだろう思います。 村上春樹...
高校生の頃、宝塚の舞台放送を観たことで原作が気になったので読みました。 宝塚だからまぁ美化されているだろうと思ってはいましたが、原作のギャツビーの執念深さ執拗さは想像以上で読みながらかなり引きました… 少し大人になった今読んだらまた違った受け取り方になるだろう思います。 村上春樹訳も気になることだし、また読みたい。
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正直難しく感じた。ふんわり理解した程度でしか読めなかったが、初めて触れられたアメリカ文学がこれで良かった。 なぜギャツビーは偉大なのだろうか。彼の偉業なのか、執念なのか、クレバーさなのか。もやもやしてしいるので、しばらく時間を空けてもう一度読みたい。
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