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グレート・ギャツビー(華麗なるギャツビー) の商品レビュー

3.6

200件のお客様レビュー

  1. 5つ

    38

  2. 4つ

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  3. 3つ

    69

  4. 2つ

    13

  5. 1つ

    4

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2021/11/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

【感想】 いわゆる男性チックな考え方の方であると、登場するニックとギャッツビーに深く共感でき彼らの中に自分を見出すことができる点に、作品の素晴らしさがあるように思った。そのうえで、特に本編の最後の締めくくり方が美しく、名作たる所以であるように思われた。私は野崎孝訳で読んだのだが、解説の洞察に非常に読み応えがあり、本書の半分ぐらいの価値はそこにあるように思えた。 【おすすめの鑑賞の仕方】 個人的なおすすめの楽しみ方は、この小説を読んだ後にレオナルドディカプリオ主演の映画、『華麗なるギャッツビー』を鑑賞することである。この本を読んでいると、自分が集中して読めているのかどうか不安に思う事があると思う。(少なくとも私にはよくあった。)これには、フィッツジェラルドの表現もあるが1920年代のアメリカで書かれたということ、あまりにも非日常な状況が描かれていることが由来していると思う。そのために、文字に書いてあることを信頼し、ストレートにそれらを受け入れ、頭の中で映像化することが難しいように思われる。 ただ、全て読み終えたあとに映画を観てみることで、本当にその文字に書いてあったような異常な世界感が映像として登場するために、『グレート・ギャッツビー』という作品がこの世に存在しているということを、噛みしめることができると思う。 【本編】:フィッツジェラルド 〇以下好きなシーン 108p ギャッツビーという人間が、その無意味な栄華の雲につつまれた神秘から急に抜け出して、一個の生きた人間としてぼくの眼に映ってきた。 (主人公ニックの、謎に包まれた紳士ギャッツビーに対する印象が変わった描写。) →身近な人であるかそうでないかを問わず、ある特定の人に抱いていた神秘性が消える時は、往々にしてその人の行動原理に超合理性が存在するという事に自分自身が気づいた時のように感じる。 212p 町を去る彼の胸には、もっと熱心に探したら彼女がみつかったかもしれぬような感じが去来し、なんだか彼女をあとに残して去って行くような気がしてならなかった。 →ただただ表現が気に入り、かつ共感もできる箇所。 253p こうしてぼくたちは、絶えず過去へ過去へと運び去られながらも、流れにさからう舟のように、力のかぎり漕ぎ進んでゆく。 →私の感じていることが、割りと普遍的なことであるということを、この分を持って理解できた。勿論人によるが、人間の頑張る原動力には多かれ少なかれ、この側面があると思う。 【解説】:野崎孝(訳者) 〇以下心に残っている解説文 258p こうして作者が、分裂しながら互いに牽引し競合し反応し合う内面の二要素を、それぞれ二人の分身に仮託し、一方を語り手として設定したところにこの小説の成功の要因があることは、多くの評者が一様に言っている通りである。これによって作者は、ギャッツビーの生涯を一つ屈折した視点から描く自由を獲得できたばかりでなく、ギャッツビーのドラマに参加するニック自身の行動や、そのときどきの感じ方や考え方、要するにニックという存在全体を通して、この作品に複雑で微妙な陰影を与え、重層的な意味を盛り込むことに成功した。 259p ニックが、東部社会での経験を重ねるにつれて、ビュキャナン夫妻の生活やギャッツビーのパーティーに典型的に表れているような、絢爛豪奢に見える外面の、その裏にひそむ空虚なソフィスティケーションや腐敗に気づくようになり、同時にそれらと対照的な西部の社会が反射的に思い浮かんで、その価値を次第に確認してゆくわけだ。 260p 都会的ソフィスティケーションと文化と腐敗を代表する東部、それに素朴な道徳を代表する中西部、この二つを対比した一種の悲劇的パストラル 【所信表明】 私が今まさに田舎から都会の煌びやかな世界に漕ぎ出し、一旗揚げてやろうと思っている中で、仮に揚げたところで、ニック・キャラウェイとギャッツビー、そして著者フィッツジェラルドが経験したことと似た感情を抱くかもしれないことは、本書を読む中で理解できるが。ただ、分かっていても、確かめてみたい気持ちは尚強い。

Posted byブクログ

2021/11/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

以下ネタバレ。 この作品を理解するカギは最後の数段落にある。ここで作品の要点が作者自身の手でまとめられている。 この作品の主要登場人物たちは西部(田舎)から東部(都会)に出てきた者たちである。作品のラストでは、語り手ニックは、アメリカ建国の父祖たちに思いを馳せる。アメリカ建国はヨーロッパという過去から離れて新しい社会アメリカを作る試みだった。つまり東部-都会-未来/西部-田舎-過去という対照が明らかに見てとれる。 アメリカの夢は都会の夢・資本主義の夢だと言える。作者フィッツジェラルド本人も一時期そういう雰囲気の中で生きた。「つねに過去に押し戻されながら、未来の夢をつかもうとして、前へ前へと進んでいく」のはアメリカン・ドリームに象徴されるアメリカ人の典型的イメージである。新大陸に新国家を創設しようとした建国の父祖たちもおそらくそういう思いだっただろう。 しかしこの作品の本当の主役である、ギャッツビーという奇人の場合は、これが屈折しているのだ。彼は過去の恋愛を成就させるために巨万の富を築いた。彼にとっては、富はロマンチシズム(いわば西部の夢)のための手段にすぎない。彼が盛大なパーティを開くのも、富をひけらかすためではなく、ひとりの女性を誘い出すため。彼にとっては未来は過去の夢を実現するための手段なのである。多くの人が彼を誤解する。彼は誰にも(東部の人間にも西部の人間にも)理解されずに死んでいく。偉大で滑稽なギャッツビーだが、彼を唯一理解したのはこの物語の語り手ニックだけだった。 最後の幕引きも、単純にアメリカン・ドリームを肯定したものというよりは、作者のアンビヴァレントな思いが表れているとみるべきだろう。

Posted byブクログ

2021/09/29

一人の女に全てを捧げた男の栄華と破滅の物語。ギャツビーという男はアメリカを体現する人物であり、そこに優雅さと儚さを感じる。非常に美しい文章と表現で、実際に20世紀前半のアメリカにいるような、そんな気分にさせられた。

Posted byブクログ

2021/07/10

#英語 The Great Gatsby by Francis Scott Key Fitzgerald ディカプリオ主演の #映画 もよかったが、小説もよい 小説の展開のほうが救いがあると思いました

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2021/06/28

ギャッツビーの一途さと純粋さ、周りの人間の薄情さが対比されていると感じた。 「正直者が馬鹿を見る」という諺を体現したような作品。 生々しいリアルな人間観が、描写されている点がとても魅力的で引き込まれるものだった。 読み終わると、少し切ないような、寂しくなるような感じがした。 ...

ギャッツビーの一途さと純粋さ、周りの人間の薄情さが対比されていると感じた。 「正直者が馬鹿を見る」という諺を体現したような作品。 生々しいリアルな人間観が、描写されている点がとても魅力的で引き込まれるものだった。 読み終わると、少し切ないような、寂しくなるような感じがした。 個人的に少し読みづらいと感じ、読み終わるのに時間がかかってしまった。 しかし、先に映画を見ていたこともあり、ストーリーはすんなりと理解出来た。

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2021/06/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

最初から最後まで、夏の終わりの夜というイメージ。 開放的で、寂しくて、終わりがくることがわかっている。 解説に書かれているような、西部と東部の違い…都市部の富裕層と地方との対立、価値観の差みたいなものは、現代でも日本でも無縁ではないな、と思い切なくなった。

Posted byブクログ

2021/06/11

1925年 F・スコット・フィッツジェラルド (野崎孝 訳) 久しぶりに文学作品を読んだ。アメリカ文学界でも「20世紀最高の小説」とまで言われている今作品。 読む前にデカプリオ版の映画を観たのでストーリーは何となく覚えてる(何となくってとこがミソ!) 余りにも有名なお話。主人...

1925年 F・スコット・フィッツジェラルド (野崎孝 訳) 久しぶりに文学作品を読んだ。アメリカ文学界でも「20世紀最高の小説」とまで言われている今作品。 読む前にデカプリオ版の映画を観たのでストーリーは何となく覚えてる(何となくってとこがミソ!) 余りにも有名なお話。主人公ギャッツビーが大好きなデイジーと一緒になるためにとにかくお金が必要で汚い仕事をして成金となり、お金を手には入れたけど一足遅くデイジーは他のお金持ちトムと一緒になってしまう。 ギャッツビー曲線ともいわれるくらいにアメリカはアメリカンドリームと言いながらどんなにお金持ちになっても出自を問われる。 なかなか幸せにはなれない。 とは言え、とにかくギャッツビーは一途で健気でそして、涙の最後。 そんなギャッツビーにフィッツジェラルドは自信を投影してニックの目線で冷静に描いたのでしょうか? 翻訳は村上春樹もしてたのでそちらを読もうかと思ったのだけど、少しググっみると野崎孝版の方がお勧めって複数の方のレビューがあったので野崎孝版を読みました。 家の本棚にあったのだけど、一体いつのんやって思うくらいに黄ばんでた。 言い回しとかも古くて、そして難しくて意味が分からない部分とかがあり、その部分を調べるとやはり、同じように同じ部分で躓いてる方々がいてほっとした(なんでや!!) ギャッツビーがニックやトムに「親友」って呼びかけるところが、、ううううん、オリジナルにはなんて書いてたんだろう?見てもわかんないと思うけど(笑

Posted byブクログ

2021/04/12

学生時代に初めて読んだ時は全く良さが分からず途中で挫折したんですが、社会に出てしばらくしてから読んだらまぁ、どハマりまして。解説本とかまで読みました。訳は村上春樹よりこの野崎孝訳が私は好きです。 初読では冗長に感じた比喩比喩比喩のオンパレードも、経験を積んで想像力にも幅が出たのか...

学生時代に初めて読んだ時は全く良さが分からず途中で挫折したんですが、社会に出てしばらくしてから読んだらまぁ、どハマりまして。解説本とかまで読みました。訳は村上春樹よりこの野崎孝訳が私は好きです。 初読では冗長に感じた比喩比喩比喩のオンパレードも、経験を積んで想像力にも幅が出たのか、再読時は、なんと豊かな情景や心情を詩的に描くのだフィッツジェラルドは!表現力やば!となりました。私が比喩表現で感動したのは三島由紀夫とフィッツジェラルドです。 ギャツビーのある意味無垢で純粋な思いの行く末、人生のままならなさ、そして絢爛豪華なひと時の無常さ。米文学の中では一番好きな小説です。 映画もロバートレッドフォード版、ディカプリオ版両方見ました!映画はフラッパー時代の可愛いビジュアルも堪能できるのでオシャレムービーとしてもおすすめ。

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2021/03/05

冒頭のニックの語りと、夏の日の(初夏のイメージ)気怠く爽やかな部屋、その部屋での魅惑的なデイズィの叙述に、胸が躍った。私は主観的な感覚描写が好きなんだな。 前半はふわふわと心地良く読んでいたけれど、後半スピードを増して読み進めてしまった。 ギャツビーが哀しく愛しく哀しい。読後感は...

冒頭のニックの語りと、夏の日の(初夏のイメージ)気怠く爽やかな部屋、その部屋での魅惑的なデイズィの叙述に、胸が躍った。私は主観的な感覚描写が好きなんだな。 前半はふわふわと心地良く読んでいたけれど、後半スピードを増して読み進めてしまった。 ギャツビーが哀しく愛しく哀しい。読後感は爽やか。 村上春樹が好きでこの本を探したけれど本屋に野崎訳しかなくてとりあえず購入したのだが、とても良かった。村上訳も続けて読みたい。 ニックとギャツビーと同世代ということもあり、過去がある程度の重層感を帯びてきたこと、鮮やかな記憶のように若くはないこと、でも確たる未来を進めているわけでもないこと等に思いを巡らされた。 もやもやも増したがそれでも前へ進まなければという思いも生まれた。 緑の光の描写が好き。 次はじっくりと読みたい。

Posted byブクログ

2021/02/05

外国文学は苦手な私でも割と読みやすかったです。 訳(特に女性のセリフ)は「何で?!」と感じる箇所がチラホラ。 村上春樹訳のも読んでみたいと思います。

Posted byブクログ