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フラニーとゾーイー の商品レビュー

4.1

170件のお客様レビュー

  1. 5つ

    59

  2. 4つ

    45

  3. 3つ

    38

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

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2018/12/07

難しい けれど血は水よりも濃く、海よりも深い 藻屑に消えていきそうなフラニーをゾーイーはしっかりと繋ぎ止めたのでは

Posted byブクログ

2019/06/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

この作品は何度も何度も読み返した私の中で希有な作品である。フラニーとゾーイーがお互いに、というか主にゾーイーが喋り続けている場面は、こんなお兄さんが欲しかったな、と稀に思わせられる。キリストについて、祈りとは、フラニーの部屋の中には死人の霊が充満している。その中でフラニーは神経衰弱に陥っている。 最も神聖な事とは何か、エゴとエゴではない境界線とは何か。ゾーイーの言ってる髑髏ように私もなって死を迎えたい。 結局のところ、私にはシーモアの言う"太っちょのオバサマ"についてはわからなかった。ゾーイーはキリストのことなんだよ、とフラニーの嫌う全ての人も尊敬する人も全ては"太っちょのオバサマ"なんだ、とそのようなことを語っていたが、つまりは"太っちょのオバサマ"とは大衆のことであろうか。一度高円寺の小さな公園でわかった気になったことがあるが、それも忘れてしまった。 会話口調の多いこの作品。だからこそ私は好きだ。演説を語り終えたゾーイーは電話を切った。フラニーはこれから神の為の女優になるだろう。そう願いたい。

Posted byブクログ

2017/12/03

サリンジャーのライフワークだった「グラース家」にまつわる二篇。 教育方針は各家庭によって様々です。とりわけ「神童」と呼ばれるグラース家の兄妹たちは生まれ持った資質や幼き頃からの教育の過程で、同世代の他者とは異なる視点や思想を持っていました。二篇を通し、グラース家の兄妹たちがそれぞ...

サリンジャーのライフワークだった「グラース家」にまつわる二篇。 教育方針は各家庭によって様々です。とりわけ「神童」と呼ばれるグラース家の兄妹たちは生まれ持った資質や幼き頃からの教育の過程で、同世代の他者とは異なる視点や思想を持っていました。二篇を通し、グラース家の兄妹たちがそれぞれキリスト教や仏教、史記など多種多様な哲学や思想に多大に影響を受けていることが描かれています。その結果、「周囲との考え方のギャップ」と「現実の自分」と「理想の自分」の間で板挟みになるフラニーの苦悩が見て取れます。 『フラニー』 グラース家の末っ子で次女のフラニーが主人公。自分の高い自意識に悩むフラニーは、昼食中にボーイフレンドのレーンが青年らしい年齢相応の自己顕示や見栄っ張りな態度に疑問を持たずに過ごしていることに耐えられず思わず席を立つ。 『ゾーイー』 前篇『フラニー』の数日後。フラニーは自宅に戻り寝込む。心配した母親ベシーはフラニーのすぐ上の五男ゾーイーに助けを求める。 ベシーとゾーイーとの適当過ぎるやりとりは軽快。ゾーイーは良かれと思いフラニーを励まそうと全力で話し掛けますが、上の兄弟の思想を見事に受け継ぎ頭の回転も早いゾーイーの話は右へ左へと逸れ、結局フラニーを混乱へと陥れます。ゾーイーの絡み方は最高にうっとおしいけれど、ここまで一方的だと面倒さを越えて笑っちゃいそう。 ============================= 「カタツブリ ソロソロノボレ フジノヤマ」(一茶) ============================= 「ゾーイー?どうしてる、あいつ?」 「どうしてるかっていうの?元気にしてるわよ。最高の状態ね。殺してやりたいくらいだわ、まったく」(P216) ============================= ~memo~ 『フラニーとゾーイー』 『大工よ、屋根の梁を高く上げよ』 『ナイン・ストーリーズ(バナナフィッシュにうってつけの日)』

Posted byブクログ

2017/05/07

10年以上前に買って、ずっとだらだら積読状態だったけど、ふとしたきっかけでようやく読破。 流行りの(と、言うには、もうだいぶ定着した感はありますが)こ○まり氏が聞いたら、「1か月後には捨てろよ!」ブチ切れそうな話。 でも、ずっと、憧れ(彼女の言葉を使うなら「ときめき」)はあって、...

10年以上前に買って、ずっとだらだら積読状態だったけど、ふとしたきっかけでようやく読破。 流行りの(と、言うには、もうだいぶ定着した感はありますが)こ○まり氏が聞いたら、「1か月後には捨てろよ!」ブチ切れそうな話。 でも、ずっと、憧れ(彼女の言葉を使うなら「ときめき」)はあって、絶対いつか読むと思ってたし、これからも読み返すと思う。10年の間に村上春樹さんの新訳が出てるんで、読み比べてみるのも、一興。 あ~、また本が増える。 整理術的には、無駄でしかないかもしれないけど、その無駄こそ、読書の醍醐味ではないか。 少なくとも、本についてだけは、そう簡単に捨ててしまっては、人生が貧しくなるように思います。

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2016/02/28

二度目の読破。人間関係に過敏になるフラニーの描写は、大人になった今読んでも十分心を抉られる。何度でも読み返したくなる不朽の名作。

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2015/11/27

読みたいと思ったときには絶版になっており、新品を入手するのが大変だった。 「フラニー」でフラニーと自分を重ね(年齢が近いからよけいに共感できたのかも)、「ゾーイー」で少しだけ救われる、そんな本だった。ゾーイーのように語りかけてくれる存在が羨ましい。最後はあたたかい気持ちになり、...

読みたいと思ったときには絶版になっており、新品を入手するのが大変だった。 「フラニー」でフラニーと自分を重ね(年齢が近いからよけいに共感できたのかも)、「ゾーイー」で少しだけ救われる、そんな本だった。ゾーイーのように語りかけてくれる存在が羨ましい。最後はあたたかい気持ちになり、家族とは素敵なものだと思った。

Posted byブクログ

2015/09/26

こちらも私にとっての青春の書。 フラニーの思いは「わかるわかる!」(彼女はいい意味で行き過ぎだったけど)と感じることが多かった。今にして思うと、若い時はそのくらいのエネルギーや欺瞞に対する怒りがあっていいと思うけどね(´∀`) ゾーイーの「太っちょおばさま」(母)の愛だよね、...

こちらも私にとっての青春の書。 フラニーの思いは「わかるわかる!」(彼女はいい意味で行き過ぎだったけど)と感じることが多かった。今にして思うと、若い時はそのくらいのエネルギーや欺瞞に対する怒りがあっていいと思うけどね(´∀`) ゾーイーの「太っちょおばさま」(母)の愛だよね、(※雑な要約をしていますが)はほっと安心する、ひとつの解ですね。 自分も大学生時代にこういった欺瞞に憤怒したりということがあったけど、もちろん自分にもエゴがあり、それに対してディスカッションできる人も周りにはいない(というかみんなそれを抱えててもなかなか言えないかな?)ので、こちらの書物に凄く救われたような気がしました。

Posted byブクログ

2015/09/15

「フラニー」と「ゾーイー」の2本を収録。 「フラニー」では、周囲の偽善やアカデミズムの欺瞞にがまんがならなくなり、神経を衰弱させてしまった大学生の少女フラニーが描かれ、 「ゾーイー」では、フラニーの兄のゾーイーの、彼女への真摯な語りかけが描かれる。 若い世代は、フラニーの感覚に共...

「フラニー」と「ゾーイー」の2本を収録。 「フラニー」では、周囲の偽善やアカデミズムの欺瞞にがまんがならなくなり、神経を衰弱させてしまった大学生の少女フラニーが描かれ、 「ゾーイー」では、フラニーの兄のゾーイーの、彼女への真摯な語りかけが描かれる。 若い世代は、フラニーの感覚に共感し、後半のゾーイーの言葉に真実を感じ取ることができるのではないだろうか。

Posted byブクログ

2015/08/23

「フラニー」と「ゾーイー」の2編から成る。 華麗な過去を持つグラース一家の散々な現在について描かれている。 前半は忍耐を伴いながらジリジリと読んでいたが、 後半、ゾーイーが居間でフラニーに厳しく長い語りを行う辺りから物語がまとまりを見せ始め、結末に向かって愛情が分かりやすいものに...

「フラニー」と「ゾーイー」の2編から成る。 華麗な過去を持つグラース一家の散々な現在について描かれている。 前半は忍耐を伴いながらジリジリと読んでいたが、 後半、ゾーイーが居間でフラニーに厳しく長い語りを行う辺りから物語がまとまりを見せ始め、結末に向かって愛情が分かりやすいものに変化していく感じで、引き込まれた。 キリスト教に関する記述は、クリスチャンでない私にとっては理解に苦しむものがあり、流しながら読んだ。

Posted byブクログ

2015/07/23

作品内では不合理な世の中で生きる意味を家族の愛に結論づけています。そのため、最後のキリストは太っちょのオバサマという兄ゾーイの発言は、愛すべきは母親だという意味を込めている解釈しました。きっとフラニーは起床後チキンスープをすするのでしょう。

Posted byブクログ