罪と罰(上) の商品レビュー
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めっちゃ面白かった。「老婆を殺した主人公が罪の意識に苛まれる話」だと聞いていたので、序盤に老婆が死んだ時には「あちぁ〜もう死んじゃうのか、今後一体どう展開するんだ?」と思ったが、いや面白い。人物の内面とか情景、寝ている間にみた夢などの深層心理を見せる描写に加えて、会話や個性的な登場人物の見せ場も置いている。言い換えれば、テンポがいい会話劇を見ているような気分にさせたと思いきや、小説ならではの深くて尺をふんだんに使った内面の描写でも魅せてくる。そんな複合的な見せ方を心得た作品だという印象が強い。上巻の最後がとてもいいところで終わったので、続きが気になる。
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人類は天才と凡人でできている 天才は法律を犯してもいい、それ以上に世界に貢献できるのなら。 天才だと勘違いしている凡人が法を犯す。 天才だから何してもいいわけない。偉くなったら態度悪くてもいいんじゃないって言う人いたけどそんなわけないと思う。地位が上がっても周りの人とか部下のために、お手本になるべき。 あなたがずっと苦しんでいるのはなんでですか。人の罰からは逃れられても、罪を犯したという苦しみからは逃れるのことはできないんです。 自分自身の良心の呵責のために自供するなんてすごく深い話だと思った。 神は信じないはずのラスコリニコフだが、服役している時に聖書を読む。 ラスコリニコフは金貸しの老婆を殺す。最初は罪悪感はなかった。証拠も消し、完全な犯罪を犯したため捕まらない。ポルフィーリというキレ者の刑事に諭され、自分の罪を犯してしまったという苦しみのために自白する話。
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殺人を犯してから、 精神が病的に蝕まれていく様が生々しい。 気分が躁鬱のようにころころ変わり、 開き直ったり、怯えたり、自嘲したり、 一貫性がないのが逆に現実的に思える。 人間に対する、各人の様々な主張が物語に厚みを出す。
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ラスコーリニコフの心の中の葛藤や独り言が長くて、個人的にはそのうじうじした感じが好き。彼は根っからの悪人ではなく、マルメラードフ一家や行きずりの少女になけなしのお金をあげたり、心優しい面もあって、ただプライドが高いのだと思う。いろんな人が語るラスコーリニコフ評はさんざんだが、この...
ラスコーリニコフの心の中の葛藤や独り言が長くて、個人的にはそのうじうじした感じが好き。彼は根っからの悪人ではなく、マルメラードフ一家や行きずりの少女になけなしのお金をあげたり、心優しい面もあって、ただプライドが高いのだと思う。いろんな人が語るラスコーリニコフ評はさんざんだが、このラスコーリニコフの内面が長々語られる小説にあってその客観評は効いてる。ポルフィーリイとの犯罪についてのやりとりが面白い。結局ラスコーリニコフは、自分が「ふみこえる」側の非凡人だと思って血をふみこえたものの、器が小さくて自分の罪に耐えられない罰を受けている。
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5年前、高校2年の時にはじめて読みました。そして現在、大学を退学し、今読まなければと実家に取りに帰りました。よくよく考えると主人公は「元学生」なわけで、半年前まで法学部にいたのですね。奇しくも境遇が重なり随分と感情移入できたように感じます。特に母親が重要で、これに関しては下巻のレ...
5年前、高校2年の時にはじめて読みました。そして現在、大学を退学し、今読まなければと実家に取りに帰りました。よくよく考えると主人公は「元学生」なわけで、半年前まで法学部にいたのですね。奇しくも境遇が重なり随分と感情移入できたように感じます。特に母親が重要で、これに関しては下巻のレビューに書こうと思います。 よろしければ動画もご覧ください https://youtu.be/uc9NRTEcAPY
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貧乏な元大学生が金貸しの老婆姉妹(妹は義理でまだ若い)を殺した後で様々な人たちと邂逅し心的変化を遂げていく文豪の代表作の1つ。 主人公であるラスコーリニコフは頭脳明晰ながらも傲岸不遜というか選民思想的な悪党で恐らくは「デスノート」の夜神月や「心理試験」の蕗屋清一郎の原型。 後の創...
貧乏な元大学生が金貸しの老婆姉妹(妹は義理でまだ若い)を殺した後で様々な人たちと邂逅し心的変化を遂げていく文豪の代表作の1つ。 主人公であるラスコーリニコフは頭脳明晰ながらも傲岸不遜というか選民思想的な悪党で恐らくは「デスノート」の夜神月や「心理試験」の蕗屋清一郎の原型。 後の創作人物に比すると斧であっさりと連続殺人を犯すほどの非情さと知り合いになったアル中貧乏人の家族に有り金(自分で稼いだわけではない)を差し出す熱情さが入り混じった病的さが特徴的。 そんな彼の非凡人による権利主張の論文からプロファイリングしていく予審判事ポルフィーリーもかなり凄い。 ロシア人名に馴染みがないせいもあるが名前が分かりにくいのが難点。メインのラスコーリニコフにしてもロージャなのかロジオン・ロマヌーイチなのかごっちゃになる。(ロシアでは名+父称+姓で更に愛称もある)
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ラスコーリニコフが殺人をした後で罪の意識に怯える不安な心理状態が詳細に描かれている。ドストエフスキーは人間に対する観察眼が鋭いと思う。イワーノブナ、ソーニャ、ラズミーヒン、アレクサンドロヴナ、ソーネチカ、ナスターシャ等多くの庶民の生活がよく分かった。ロシア人の考え方も含めて。
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世界で有名な名作と呼ばれる作品を、人生で一度は読んでおくべきだ…という気持ちで読み始めた。 なかなか難しい。とにかく登場人物の名前が複雑すぎて相関関係を曖昧にしたまま進んじゃったし、台詞は長いし、主人公はずっと情緒不安定だし、読み進めてるうちに少々気が滅入った。 普通の神経を持っ...
世界で有名な名作と呼ばれる作品を、人生で一度は読んでおくべきだ…という気持ちで読み始めた。 なかなか難しい。とにかく登場人物の名前が複雑すぎて相関関係を曖昧にしたまま進んじゃったし、台詞は長いし、主人公はずっと情緒不安定だし、読み進めてるうちに少々気が滅入った。 普通の神経を持った人間が人殺しをしてしまったら、こんな風になってしまうのか…という物語ならではの楽しみはあった。 続きが気にならないわけではないけど、下巻を読み進められる気力は自分にはなさそう。。
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字も小さいし、名前もコロコロ変わるし、分厚いしで三重苦でなかなか読み進められなかったけれどどうしても読むのをやめられなかった一冊。面白い、、、。 「上の層」の人間だからこそ、殺人を正当化する権利がある。とはいいつつも発作的に襲う罪の意識に全身が戦慄くほど追い詰められる。行為として...
字も小さいし、名前もコロコロ変わるし、分厚いしで三重苦でなかなか読み進められなかったけれどどうしても読むのをやめられなかった一冊。面白い、、、。 「上の層」の人間だからこそ、殺人を正当化する権利がある。とはいいつつも発作的に襲う罪の意識に全身が戦慄くほど追い詰められる。行為としては残虐だが殺人の正当性と良心の呵責の相剋に思い悩むラスコーリニコフは非常に人間味に満ちた共感しやすいキャラクターだったように感じた。
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◯時代背景:推察 「隣人を愛せよ」共助→「功利性」個人利益追求へ 困ったら自分の上衣を脱いでかけてあげる、お互いに貧しいままだったよね。だけど農奴解放など社会変化に伴い、個人の利益を追求することが社会全体の利益に繋がるよねっていう時代に。「経済学」という正しい考え方をできるように...
◯時代背景:推察 「隣人を愛せよ」共助→「功利性」個人利益追求へ 困ったら自分の上衣を脱いでかけてあげる、お互いに貧しいままだったよね。だけど農奴解放など社会変化に伴い、個人の利益を追求することが社会全体の利益に繋がるよねっていう時代に。「経済学」という正しい考え方をできるようになった万歳!ただ「社会の文化的階級の退廃」も問題に。昔は社会主義だったけど、それに懐疑的な人たちが若者を中心に生まれてきている状態? ◯犯罪に関する思想 「世の中には凡人(服従する側、世の中の大半)と非凡な人間(新しいことを発信する未来の支配者、ごく少数)がいる。非凡な人間には、自分の思想を叶えるためには人殺しの権利さえも与えられる」という過激な思想の持ち主。 ◯金遣いの荒さ 妹や母が身を削って稼いだお金を他の貧しい人に施すのは、自分で自分を責めることで一種の安心感を覚えようとしているからだと思う。また、どうしようもない自分を変えるほどの努力もできないから。 と思っていたけれど、金の隠し場所を見つけて気が大きくなっていたから。自分は大丈夫だろうとたかをくくっていたから。 ◯マルメラードフの死 自分の罪を告白し全てを終わらせようと社会的な死を覚悟したタイミングで、マルメラードフが死ぬ。その一方で自分は生きていると強く感じ、図々しくも生きていくことにする、自分の力を感じる。
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