貧しき人びと の商品レビュー
処女作にしてこの内容は、さすが世界の大文豪だと思った。 マカール・ジェーブシキンとワルワーラの貧しい暮らしぶりが痛いほどに伝わってくる。 「たとえどんな寒い日でも、わたしなら外套も着ず、靴もはかないで歩いても、平気です。わたしはなんでも我慢し、辛抱します。わたしは平ちゃらです...
処女作にしてこの内容は、さすが世界の大文豪だと思った。 マカール・ジェーブシキンとワルワーラの貧しい暮らしぶりが痛いほどに伝わってくる。 「たとえどんな寒い日でも、わたしなら外套も着ず、靴もはかないで歩いても、平気です。わたしはなんでも我慢し、辛抱します。わたしは平ちゃらです。どうせわたしは平凡でつまらない人間ですから。でも、世間の人はなんというでしょう?…靴というものは、わたしの名誉と体面を保つために必要なものであって、穴だらけの靴をはいていれば、そのどちらも失ってしまうわけです」 毎日パンを買うだけのほんの少しのお金があればこの2人なら必ず幸せになれるのに…と思うと、彼らの境遇にいたたまれない思いがする。 互いを思いやる気持ちがとても美しい。 他のドストエフスキー作品に比べてかなり読みやすいと思う。
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今まで読んだドストエフスキーの作品の中で一番読みやすかったです。 親しい友人という設定でしたが、ジェーヴシキンとワーレンカは完全にお互いを愛し合い、信頼し合っているけど、日常の様々な不幸や遣り切れない思いを手紙で報告し合い、慰め合い、励まし合い、でもそれがとても悲しい風向きへ向か...
今まで読んだドストエフスキーの作品の中で一番読みやすかったです。 親しい友人という設定でしたが、ジェーヴシキンとワーレンカは完全にお互いを愛し合い、信頼し合っているけど、日常の様々な不幸や遣り切れない思いを手紙で報告し合い、慰め合い、励まし合い、でもそれがとても悲しい風向きへ向かう度に胸がキュッとなります。 とても切ないやり取りです。
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滑稽なほどに悲しい。こんな現実は(少なくともブクログにアクセスできるような我々には)ほど遠いもの。 テンポのよさもあり、さっとよめる快作。
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結末の悲劇ぶり、圧倒的悲哀が見事。女性の立場と老人の立場が交錯する中で、喜びと社会的貧しさが描かれ、あまりに呆気ない終わりを迎える。
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ドストエフスキー!って言ったら難解で何言ってるか分からんていうか、謎の哲学的なコメントをまき散らしてるのかと思ってたけど、もうちっとというか、全然庶民的で、ていうかむしろ頭悪すぎて何言ってるか分からんわ、こいつ、って感じでびびった。もしかして貧乏でお金もないから頭おかしくなってる...
ドストエフスキー!って言ったら難解で何言ってるか分からんていうか、謎の哲学的なコメントをまき散らしてるのかと思ってたけど、もうちっとというか、全然庶民的で、ていうかむしろ頭悪すぎて何言ってるか分からんわ、こいつ、って感じでびびった。もしかして貧乏でお金もないから頭おかしくなってるよ、みたいに見下してんのか、このドスおっさんは。まぁ違うか。ていうか翻訳古すぎるのか。後は昔の小説では大概皆がシェイクスピアばりに語りまくるんだけど、昔の人は皆こうだったのか。ただ語っている内容が概ねどうでも良いのには好感が持てるわけで。そして貧乏なおっさんが普通に金持ちのおっさんに負けるのは今も昔も変わらずで、うむ、やっぱこうでなくっちゃな、という水戸黄門的な安心感があって。やっぱ金だな。
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【印象】 高齢男性と若年女性の、貧困に圧しつぶされる愛情の行方。 【類別】 小説。 書簡体。 【脚本構成】 頁211-212の情景が好みです。他の部分との対照で栄えている部分もあるかもしれません。 【表現】 書簡体、つまり手紙のやりとりが全てである作品です。そのため、口語的...
【印象】 高齢男性と若年女性の、貧困に圧しつぶされる愛情の行方。 【類別】 小説。 書簡体。 【脚本構成】 頁211-212の情景が好みです。他の部分との対照で栄えている部分もあるかもしれません。 【表現】 書簡体、つまり手紙のやりとりが全てである作品です。そのため、口語的で平易です。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
若き日に読んだ恋愛小説。貧困が招く不幸。それでも、その中にある希望。貧困に打ち克つ想いの深さ。現実だけがすべてではないと教えてくれた貴重な一冊。
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どの登場人物も貧しく、過酷な運命に見舞われ続け、限りなく暗い。が、全編を通じて魂が叫び続け、生きるとはこういうことだ、これくらいの思いがなければ生きる意味はない、と語っているかのよう。本棚の断捨離中にこの本を見つけ(おそらく母が学生時代に読んでいたもの?)、一度読んで手放すつもり...
どの登場人物も貧しく、過酷な運命に見舞われ続け、限りなく暗い。が、全編を通じて魂が叫び続け、生きるとはこういうことだ、これくらいの思いがなければ生きる意味はない、と語っているかのよう。本棚の断捨離中にこの本を見つけ(おそらく母が学生時代に読んでいたもの?)、一度読んで手放すつもりだったが、処分するのが惜しくなったので本棚にcome back。
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往復書簡という形で,中年の小役人と薄幸の少女のやり取りを描いたドストエフスキーの処女作.訳がいいのか書簡という形式だからなのかすっと頭に入ってくる読みやすさがある.後半のいよいよお金に困ってからなんとか目処がつくまでの二人の心の動きやありさまが,貧しさの普遍性のようなものを感じさ...
往復書簡という形で,中年の小役人と薄幸の少女のやり取りを描いたドストエフスキーの処女作.訳がいいのか書簡という形式だからなのかすっと頭に入ってくる読みやすさがある.後半のいよいよお金に困ってからなんとか目処がつくまでの二人の心の動きやありさまが,貧しさの普遍性のようなものを感じさせる.人間というものはどれだけ善良で清らかだろうが,所詮は人間なのである.
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ずいぶん前に、ドストエフスキーについて研究されている方とお会いしまして。そのとき何もしゃべれなかったのが悔しいのでデビュー作から読んでみました。下級官史と娘のお手紙のやりとりを中心にくりひろげられる、簡単に言えば恋愛ものでした。むずがゆくなる台詞も古典だと思えばなんとか持ちこたえ...
ずいぶん前に、ドストエフスキーについて研究されている方とお会いしまして。そのとき何もしゃべれなかったのが悔しいのでデビュー作から読んでみました。下級官史と娘のお手紙のやりとりを中心にくりひろげられる、簡単に言えば恋愛ものでした。むずがゆくなる台詞も古典だと思えばなんとか持ちこたえました。カラマーゾフの兄弟も読んでみたいと思います。
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