分身 の商品レビュー
傑作! おすすめ。 小林双葉は東京の大学に通う20歳の大学生。母親との約束でテレビに出ることをきつく禁じられていたが、禁を破ってテレビのバンドコンテストに出演。すると、直後に母親がひき逃げに遭い即死、その後も奇妙な出来事が続く。 氏家鞠子は北海道に住む18歳の学生。子供の頃か...
傑作! おすすめ。 小林双葉は東京の大学に通う20歳の大学生。母親との約束でテレビに出ることをきつく禁じられていたが、禁を破ってテレビのバンドコンテストに出演。すると、直後に母親がひき逃げに遭い即死、その後も奇妙な出来事が続く。 氏家鞠子は北海道に住む18歳の学生。子供の頃から自分が母親に全く似ていないことに悩んでいたが、中学生の時、自宅の火災で母親が焼死。いくつかのきっかけで母親の死が自殺ではないか、そして自分の出生には秘密があるのではないかと思い当たる。父親が隠す秘密とは何か、鞠子は東京へと向かう。だが、上京後、見間違えるほど瓜二つの女性がテレビに出演したことを幾たびと聞かされる。 双子以上にそっくりな双葉と鞠子を結びつけるものとは何なのか。二人の女の子が自分の出生の謎を解き明かす旅が、交互に綴られていき最終章ですべての謎が解き明かされ、二人はついに出会う。 先日の真保裕一『奇跡の人』に続いて文庫本にして450ページを越える大作。しかも自分の過去の謎を探るという点でも共通しているか。それを言い出すと、最近の日本文学はみな「宝探し」だと強引に論じる蓮実さんの『物語から遠く離れて』を思い出すが、この2作に関しては読後感が全然別種のものだ。 『分身』はすべての謎は解き明かされた後、ドラマティックなエンディングを迎えるが、その先の物語は読者に開かれたままブツリと幕は落とされる。ネタがばれてしまうので詳しくは書けないが、終幕が訪れても双葉と鞠子には残された問いは信じられないほど重い。そして彼女たちが抱える問いは、現実の世界の問題として現代医学が、そして(間接的にではあるが)僕たちが直面しつつある問題でもある。その問題の一面をセンセイショナルに描き出している。社会派というほど重い物語でもないが、爽快な読了感が得られる訳でもない。 僕はこの手のものの方が本格ものより肌に合うのかもしれないな。なにしろ『砂の器』だもんね。最初に読んだ大人向けミステリ。
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函館市生まれの氏家鞠子は18歳。札幌の大学に通っている。最近、自分にそっくりな女性がテレビ出演していたと聞いた――。小林双葉は東京の女子大生で20歳。アマチュアバンドの歌手だが、なぜか母親からテレビ出演を禁止される。「変身」に負けず劣らずドンドン引き込まれていく作品でした。読み出...
函館市生まれの氏家鞠子は18歳。札幌の大学に通っている。最近、自分にそっくりな女性がテレビ出演していたと聞いた――。小林双葉は東京の女子大生で20歳。アマチュアバンドの歌手だが、なぜか母親からテレビ出演を禁止される。「変身」に負けず劣らずドンドン引き込まれていく作品でした。読み出すと、だんだん続きが気になってきて、スラスラと読めてしまう。
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函館に住む氏家鞠子は小学生の頃から母に嫌われているのではという思いを抱いていた。そんな母を火事で無くしたのは今から5年前だった。事故として処理されるも鞠子の中では自殺という思いが拭えない。母の不可解な自殺の原因を探るため、鞠子は上京した。 バンドを組みプロになる夢を持つ小林双葉。...
函館に住む氏家鞠子は小学生の頃から母に嫌われているのではという思いを抱いていた。そんな母を火事で無くしたのは今から5年前だった。事故として処理されるも鞠子の中では自殺という思いが拭えない。母の不可解な自殺の原因を探るため、鞠子は上京した。 バンドを組みプロになる夢を持つ小林双葉。看護婦の母は頑なに彼女のテレビ出演に反対し続けていた。その反対を押し切ってテレビ出演した数日後、双葉の母は交通事故に会い帰らぬ人となる。 鞠子の章と双葉の章に分かれてそれぞれの立場から謎を解き明かして行きます。フィールドを逆転させて進めて行くので、偶に混乱した(笑) この小説は一気読みがお勧めですね。時間を置くとどっちがどこまで辿り着いたのかという辺りを忘れて混乱比率が高まる気がするので。 色々と解決しない部分があって尻切れ蜻蛉感はかなりあるし、論点を摩り替えてる気もするのだが、この話の〆はこれしかない、と思わせる。この辺りは東野マジックだなぁ(笑)
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