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用心棒日月抄 の商品レビュー

4.3

108件のお客様レビュー

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2022/08/14

以前、蝉しぐれの周辺を調べた際に、蝉しぐれの映画化の折に出版されたムック本で、作家たちが好きな藤沢作品は?ときかれて、この本を挙げるひとが多いのをみて、私も気になって読んでみた。 事情があって脱藩した青江又八郎が、江戸に出て、ちょっとわけありな仕事斡旋業者、相模屋のタヌキ親父・吉...

以前、蝉しぐれの周辺を調べた際に、蝉しぐれの映画化の折に出版されたムック本で、作家たちが好きな藤沢作品は?ときかれて、この本を挙げるひとが多いのをみて、私も気になって読んでみた。 事情があって脱藩した青江又八郎が、江戸に出て、ちょっとわけありな仕事斡旋業者、相模屋のタヌキ親父・吉蔵に頼んで、主に用心棒稼業を世話してもらいながら、そこでのアクシデントを体験していく連作集。 そのなかで、浅野家の浪人たちが吉良邸への討ち入りを計画していることと関わっていく。 同僚、細谷もユーモラス。全体にシニカルな明るさがある。 デビュー以降、暗い作風が続いた藤沢作品が、ここから転換点を迎えたと表される作品で、確かに明暗、重軽、乾湿のバランスが絶妙な作品。 奇妙な縁で、浅野の浪人たちを見知っていた又八郎が、討ち入りののち、本懐を遂げて練り歩く彼らを見た独白。 堀部にしろ、大石にしろただの男たちだったと思い返すと、命をかけて復讐ということを仕とげた男たちのけな気さが胸にせまってくるようだった。(p461) 国許に変えるも、意外にアッサリしたラストに驚き。 最後の女暗殺者はなんだろう?おりんはどうなったんだろう? 主人公が特になんの努力もなく、女にモテやすいのは藤沢作品共通のナゾ。

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2022/05/11

各話区切りが良くて、少しずつ読み進められます。先に「刺客」を読んでしまったのですが、興が削がれることはありませんでした。忠臣蔵との関わりもあって、ハラハラドキドキがとまりませんでした。

Posted byブクログ

2022/01/08

1話完結でありながら、ストーリーも少しずつ進んで仕事も大きくなっていく。 最終的には自分の藩の問題も解決して、ラストのシーンは特に何かあるわけではないけれど、きれいに終わっていてかっこいい。

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2021/04/06

 許嫁由亀の父平沼喜左衛門を斬って、祖母を残し脱藩した青江又八郎26歳の江戸での用心棒として過ごす2年。 妾宅の犬の番や大店の娘の送り迎え、そして浅野家、吉良家に関わる用心棒などを。夜鷹おさきの心意気に惚れ、おさきを殺した侍に仇を討つ男気も。国元の騒ぎを耳にし、家に帰れば、祖母の...

 許嫁由亀の父平沼喜左衛門を斬って、祖母を残し脱藩した青江又八郎26歳の江戸での用心棒として過ごす2年。 妾宅の犬の番や大店の娘の送り迎え、そして浅野家、吉良家に関わる用心棒などを。夜鷹おさきの心意気に惚れ、おさきを殺した侍に仇を討つ男気も。国元の騒ぎを耳にし、家に帰れば、祖母の面倒を見ながら自分を待っている由亀が。藤沢周平「用心棒日月抄」、1981.3発行。

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2021/03/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

用心棒日月抄(新潮文庫) 著作者:藤沢周平 発行者:新潮社 タイムライン http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698 迫力の殺陣シーンも魅力で時代劇の王道を行く仇討物語。

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2021/01/09

藩主暗殺の陰謀を知ってしまった故に許嫁の父を斬り脱藩、刺客に追われる身となった青江又八郎。 江戸の裏長屋に暮らし、用心棒稼業で糊口をしのぐが、浅野内匠頭の刃傷事件からの浅野浪士討ち入りの噂が流布するにつれ、請け負う仕事に浅野、吉良両家の争いの匂いが立ち込める。 10篇の連作は忠臣...

藩主暗殺の陰謀を知ってしまった故に許嫁の父を斬り脱藩、刺客に追われる身となった青江又八郎。 江戸の裏長屋に暮らし、用心棒稼業で糊口をしのぐが、浅野内匠頭の刃傷事件からの浅野浪士討ち入りの噂が流布するにつれ、請け負う仕事に浅野、吉良両家の争いの匂いが立ち込める。 10篇の連作は忠臣蔵に関わる浅野浪士の動きと心情をとらえている。 そして青江個人は用心棒生活を続けるうちに時として感じる堅苦しい侍暮らしからの解放感と、そんな暮らしに満足してしまいそうな堕ちていく自分を良しとしないせめぎあいに心を痛める。 許嫁の娘が自分を仇として討ちに来るならば討たれようという気持ちになる理由の一つにはそんな自分の人生を終わらせたいという思いがあるのではないかと感じた。

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2020/12/22

江戸での浪人暮らしの糊口をしのぐため、主人公・又八郎が口入屋で紹介される用心棒にまつわる連作短編。時は元禄、又八郎の身辺から遠い所で浅野内匠頭の刃傷事件が起こる。しかし、用心棒を引き受けていくうちに、だんだんと赤穂事件の核心に吸い込まれるように近付いていく様がドラマチックに描かれ...

江戸での浪人暮らしの糊口をしのぐため、主人公・又八郎が口入屋で紹介される用心棒にまつわる連作短編。時は元禄、又八郎の身辺から遠い所で浅野内匠頭の刃傷事件が起こる。しかし、用心棒を引き受けていくうちに、だんだんと赤穂事件の核心に吸い込まれるように近付いていく様がドラマチックに描かれる。口入屋で偶然会った浪人・細谷が、また名脇役としていい味を出している。続編も積読なので、2020年末に向けて楽しみたい。

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2019/04/07

藩の陰謀を偶然知ってしまったことから義父となる人を斬り、許嫁と祖母を置いて脱藩したお兄ちゃんが、江戸で用心棒をしてなんとか暮らしていくお話。 短いお話が続いていく中で、藩が送ってきた刺客との対決や、赤穂浪士の討ち入り話がからんで、なかなか面白かったです。 創作話だから歴史の勉...

藩の陰謀を偶然知ってしまったことから義父となる人を斬り、許嫁と祖母を置いて脱藩したお兄ちゃんが、江戸で用心棒をしてなんとか暮らしていくお話。 短いお話が続いていく中で、藩が送ってきた刺客との対決や、赤穂浪士の討ち入り話がからんで、なかなか面白かったです。 創作話だから歴史の勉強になるとかはないんだけれど、電車に乗っているときに読む本としては最適でした(笑)

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2019/01/04

脱力系時代小説の最高峰か、これは。(^^) 最初の数ページで江戸に連れて行く描写力と、キャラクターの力加減が絶妙なブレンド。 職業、金銭、貞操、全部ゆるめ。斬り合いだけ、真剣。 作品全体で「間」をうまく作ってるんだね。 ファンが多いのも分かる。

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2018/07/27

内容紹介 家の事情にわが身の事情、用心棒の赴くところ、ドラマがある。青江又八郎は二十六歳、故あって人を斬り脱藩、国許からの刺客に追われながらの用心棒稼業。だが、巷間を騒がす赤穂浪人の隠れた動きが活発になるにつれて、請負う仕事はなぜか、浅野・吉良両家の争いの周辺に……。江戸の庶民...

内容紹介 家の事情にわが身の事情、用心棒の赴くところ、ドラマがある。青江又八郎は二十六歳、故あって人を斬り脱藩、国許からの刺客に追われながらの用心棒稼業。だが、巷間を騒がす赤穂浪人の隠れた動きが活発になるにつれて、請負う仕事はなぜか、浅野・吉良両家の争いの周辺に……。江戸の庶民の哀歓を映しながら、同時代人から見た「忠臣蔵」の実相を鮮やかに捉えた、連作時代小説。

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