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スティル・ライフ の商品レビュー

4.1

248件のお客様レビュー

  1. 5つ

    88

  2. 4つ

    67

  3. 3つ

    53

  4. 2つ

    6

  5. 1つ

    2

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2022/03/15

「スティル・ライフ」と「ヤー・チャイカ」の2本とも理論的なんだけどふわふわした小説。いろんな人のレビューにあるように詩のようでした。 こんな時期に偶然にもヤー・チャイカはロシア人スパイが出てくる話でした。

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2022/03/09

小説というより詩集と言ってもいいかもしれない。何かに疲れたときに読みたくなる。 自然や子どもへの著者の愛情ある描写を通して、少し世界の見え方が広くなるような、俯瞰の視点が得られるような本。

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2022/03/07

作者の表現方法が、自分の感性を超越してて圧倒された。 ふわふわとした物語の展開、まるで適温のお風呂に浸かっているような快適さで読み進められた。 しかし、突然に芯を食う描写もあり、味わい深い 特にアメリカとロシアの二項対立の話はタイムリーすぎて、特に読んだ。

Posted byブクログ

2022/03/05

海を見ているような気持ちになる本。 浮世離れした男と株を転がす話と、 偶然出会ったロシア人に 情報リークをもちかけられる話なんだけど、 この本の真の魅力はストーリーではない。 例えば、 詩を読んでいるような感覚におちいる文章。 事実を伝えるための道具としての言葉じゃなくて、...

海を見ているような気持ちになる本。 浮世離れした男と株を転がす話と、 偶然出会ったロシア人に 情報リークをもちかけられる話なんだけど、 この本の真の魅力はストーリーではない。 例えば、 詩を読んでいるような感覚におちいる文章。 事実を伝えるための道具としての言葉じゃなくて、 言葉自体に価値が感じられるくらい 磨き抜かれた言葉たちが、 読者を高次元の精神世界みたいなところに 優しく導く。 例えば、驚くような、それでいて 既知の懐かしさを感じるような世界の捉え方。 “雪が降るのではない。 雪片に満たされた宇宙を、 ぼくを乗せたこの世界の方が 上へ上へと昇っているのだ。” なんて、なかなか突拍子もない発想だけど、 不思議なくらいすんなりと受け入れられる。 実は自分たちも、低解像度で似たようなことを 感じているからかもしれない。 斬新な見方にも「?」とならないのは、 美しくて正確な言葉で 解像度高く描写されているおかげだろう。 例えば、地べたの日常に疲れた精神を ふっと軽くしてくれる哲学。 自分と、自分が今煩わされているすべての事柄が、 取るに足らないちっぽけなものに思えてきて、 深く、本質的に、安心する。 それがちょうど、宇宙とか海とかについて 思いを馳せている時と同じような感じなのだ。 自分個人としては、 宇宙について考えることより、 海をぼんやり眺めることの方が日常的で、 回数を多くこなしており、身近なので、 この本を『海を見るような本』と位置づけたい。 手に収まるサイズの紙束に、 1センチにも満たないインクの模様が並んだものが 雄大な宇宙とか海とかと 同じような効力を持つのって 本当にすごい、信じられないようなことだと思う。 本、ひいては言葉の無限のパワーを 感じずにはいられない本だった。

Posted byブクログ

2024/03/27

Still Life静かで抒情的な世界と,染色工場,株売買等の現実世界が程よく交錯している。達観している佐々井に対し,迷走するぼくの人間らさに共感できる。ya chaika 宇宙に憧れても飛行機に乗れない父,ディプロドクスを飼う生活を夢想する少女,ロシア人クーキン,出会いと...

Still Life静かで抒情的な世界と,染色工場,株売買等の現実世界が程よく交錯している。達観している佐々井に対し,迷走するぼくの人間らさに共感できる。ya chaika 宇宙に憧れても飛行機に乗れない父,ディプロドクスを飼う生活を夢想する少女,ロシア人クーキン,出会いと別れの物語。

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2021/12/16

著者、池澤夏樹さん、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。 池澤 夏樹(いけざわ なつき、1945年7月7日 - )は、日本の小説家、詩人。翻訳、書評も手がける。日本芸術院会員。 文明や日本についての考察を基調にした小説や随筆を発表している。翻訳...

著者、池澤夏樹さん、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。 池澤 夏樹(いけざわ なつき、1945年7月7日 - )は、日本の小説家、詩人。翻訳、書評も手がける。日本芸術院会員。 文明や日本についての考察を基調にした小説や随筆を発表している。翻訳は、ギリシア現代詩からアメリカ現代小説など幅広く手がけている。 各地へ旅をしたことが大学時代に専攻した物理学と併せて、池澤の作品の特徴となる。また、詩が小説に先行していることも、その文章に大きな影響を与えている。 で、今回手にした作品、『スティル・ライフ』。 この本の内容は、次のとおり。 しなやかな感性と端正な成熟が生み出した唯一無二の世界。 生きることにほんの少し惑うとき、 何度でもひもときたい永遠の青春小説。 芥川賞受賞作品 シングルファーザーと巣立ちゆく娘の物語「ヤー・チャイカ」伴録

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2021/12/04

ふんわりした穏やかな感じで物語は進むのですが、登場人物は浮世離れした感じの二人(スティルライフ)。日常と非日常が交ざってるのが不思議。

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2021/09/14

風景画を何枚も見て、その「核」たるものを見た時、一枚一枚異なるように見える写真が全て同じ骨格を有していると気づく。あるいは雪を見て、雪が降っている、ではなく世界が無限に上昇を続けていると解釈する。今まで自明としてきた目の前の世界が自明ではないんだよと新しい解釈を通じて教えてくれて...

風景画を何枚も見て、その「核」たるものを見た時、一枚一枚異なるように見える写真が全て同じ骨格を有していると気づく。あるいは雪を見て、雪が降っている、ではなく世界が無限に上昇を続けていると解釈する。今まで自明としてきた目の前の世界が自明ではないんだよと新しい解釈を通じて教えてくれている気がした。 自分の頭の中で文中の風景描写を映像として浮かび上がらせる能力がまだまだ足りないなと勉強になった一作。

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2021/08/31

芥川賞受賞作でセンター試験にも取り上げられた表題作と「ヤー・チャイカ」の2作構成。 いずれも話としてそんなに面白いとは思わなかったが、心が洗われるような不思議な読後感。ストーリーよりも、瞑想的な雰囲気や文体を楽しむという感じであった。

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2021/08/29

冒頭のチェレンコフ光の話から、宇宙の話、天候や地理の話など理系的で、どこかニヒルな世界の捉え方。いたって普通な主人公がどこか不思議な秘密のある人物の行動に巻き込まれていくストーリー。 処女作は、アーティストがこれから表現していきたいものが、一つの濃縮された粗々しい結晶として具現...

冒頭のチェレンコフ光の話から、宇宙の話、天候や地理の話など理系的で、どこかニヒルな世界の捉え方。いたって普通な主人公がどこか不思議な秘密のある人物の行動に巻き込まれていくストーリー。 処女作は、アーティストがこれから表現していきたいものが、一つの濃縮された粗々しい結晶として具現化することを再認識させられた作品です。 村上春樹の世界観が好きな人には是非お勧めしたい作品です。

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