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スティル・ライフ の商品レビュー

4.1

248件のお客様レビュー

  1. 5つ

    88

  2. 4つ

    67

  3. 3つ

    53

  4. 2つ

    6

  5. 1つ

    2

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2023/08/14

評価は、スティル・ライフに限ってのもの。 池澤さんは30年以上前から知っていたけれど、始めて読んだ。 スティル・ライフは、村上春樹の風の歌を聴けを彷彿させる。同じ文脈を感じるというか、我々より上の代の人達の青春といったもの。 若者特有の透明感や無機質さがよく伝わってくる。 池澤...

評価は、スティル・ライフに限ってのもの。 池澤さんは30年以上前から知っていたけれど、始めて読んだ。 スティル・ライフは、村上春樹の風の歌を聴けを彷彿させる。同じ文脈を感じるというか、我々より上の代の人達の青春といったもの。 若者特有の透明感や無機質さがよく伝わってくる。 池澤さんとと同様に、自分も物理学科出身だからかもしれない。理学部系学科で、文学や哲学が好きな人たち特有の感覚を感じる。 一方でヤー・チャイカは、全く理解できず、途中で読むのをやめてしまった。

Posted byブクログ

2023/07/01

久しぶりの投稿になった。ぼちぼち様々な本を読んではいたものの一冊を読み切るメンタルじゃなかった。新しく始めた仕事で悔し泣きの毎日で、文字が頭に入ってこなかった。恐ろしい。 この本は、何と人から好きな本として教えてもらったもの!人から好きな本を教えてもらえる!こんなに嬉しいことは...

久しぶりの投稿になった。ぼちぼち様々な本を読んではいたものの一冊を読み切るメンタルじゃなかった。新しく始めた仕事で悔し泣きの毎日で、文字が頭に入ってこなかった。恐ろしい。 この本は、何と人から好きな本として教えてもらったもの!人から好きな本を教えてもらえる!こんなに嬉しいことはない!本を人に勧めるのは私には勇気がいる。面白く思われなかったらどうしようというのはやはりあるし、自分の内面を晒すようなことだから。お勧めしてくれてとても嬉しい。ありがとうございます。あの人もここを読んだのね、とかあぁ、ここでどう思っただろうと大切な人の思考を巡るのも楽しかった。 ここから本の感想。 初めの印象はやや難解。科学的で理屈っぽい…?少しだけ疑問符を浮かべながら読むが、段々に不思議な体験に導かれていることに気がつく。ふと、自分の意識が拡がるような自分が捉われてる目先のことからふっと浮遊するような感覚を得る。漫画でいうと修業で念とかオーラとか新たな力に目覚める時のような快感があった。怪しい例えになったけれど、難しいことを言っているようで、自分の外を巡る宇宙、自分の中にある宇宙そういうことをただ教えてくれるような。 物語としては登場人物が魅力的なヤー・チャイカが私は好きだ!体操の軌道が、宇宙を巡る探査機の光景と重なってその美しさに感動した。恐竜と宇宙を考えることは何だか似ている。わたしもかつて悩みが苦しい時自分の意識を恐竜時代に飛ばしたことを思い出した。 遥か彼方、遠い昔、悠久の思考。 先にも書いたが今職場の悩みで毎日辛い。私を信頼して、辞めるかもと打ち明けてくれた同僚がいて。私が入る前から彼女が受けている仕打ち、物を投げられる、無視などを聞いて悲しくなった。今私に必要な本だった。そして解説も素晴らしかった!そうなの!この感覚!今自分の人権を否定されながら過ごしているからか、同じ気持ちになれた(解説はプロなのだから私があまりに同じ同じ!とはしゃぐのもお恥ずかしいのだが)というのがとても優しく、嬉しく感じた。

Posted byブクログ

2023/06/18

芥川賞を受賞した『スティルライフ』を含む2篇が収録されている。 2篇とも、とにかく軽い小説だ。軽いというより、浮遊、無重力が正しいのかもしれない。読み進める目が、頭が、心が空に飛んでいくような居心地の良さ。 この読み心地は、村上春樹に通ずるものがある。村上初期作品の鼠のような...

芥川賞を受賞した『スティルライフ』を含む2篇が収録されている。 2篇とも、とにかく軽い小説だ。軽いというより、浮遊、無重力が正しいのかもしれない。読み進める目が、頭が、心が空に飛んでいくような居心地の良さ。 この読み心地は、村上春樹に通ずるものがある。村上初期作品の鼠のような人物が出てくるのもそうだ。村上との違いは、論理と科学にあると思う。村上は、徹底的に村上独自の論理的思考のフィルターにかけて文字に起こしている。その結果、読者は直感的に理解できないことがある。それが魅力の1つなのだが。 しかし、池澤は科学を用いて文章を作り上げる。それは読み手に余計な思考をさせず、ストレートにメッセージを伝える。それ故に、大変読みやすい。 この2人に優劣をつけるのはナンセンス。むしろ、同時に2人の作品を読めることを非常に嬉しく思う。

Posted byブクログ

2023/06/12

ヤーチャイカ 耳に故障があり飛行機に乗れない鷹津と母がおらず父(鷹津)と2人で生活して年齢より精神が大人なカンナ。父の仕事を把握せず、追求もせず、ただ1週間の半分は家を空けている父の妻であり娘でもある人間を演じているように感じた。カンナは、干渉しない大人の関係の引き算も知っている...

ヤーチャイカ 耳に故障があり飛行機に乗れない鷹津と母がおらず父(鷹津)と2人で生活して年齢より精神が大人なカンナ。父の仕事を把握せず、追求もせず、ただ1週間の半分は家を空けている父の妻であり娘でもある人間を演じているように感じた。カンナは、干渉しない大人の関係の引き算も知っているが、年相応の無邪気さや好奇心に満ち溢れた少女のようにも感じた。 体操の限界を世界の具体例を挙げて語ったり、父に言わずに自宅に複数人の友人を招き、滑らかに父を輪に入れ会話しているところから静かで温度が低い女性を感じた。 ロシア人のクーキンが主要人物として出てくる。初対面から仲良くなり何度かご飯を共にする仲になるまでの鷹津がクーキンを呼ぶ人称が面白かった。 「鍋奉行をロシア語にすると」を鷹津が心の中で「ボルシチの代官とでも言っているのだろう」→笑った この主要人物の他にディッピーという恐竜を飼う少女視点の物語が挟まれる。最後、ディッピーとディッピーの頭の上に乗った少女が霧の中に消えていくところを俯瞰して見ている少女が 「そういう風にしてわたしは自分と別れ、そうしてわたしは新しい自分になるのだと、見ているわたしにはわかりました」がよかった。

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2023/04/30

うーん、わたしには合わない。 物語の布石の回収が分かりづらい、もしくは回収が内容に読め、なんの話?という感じ。

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2023/02/22

現実から目を逸らした 空想のような生き様が延々と綴られている。 傷つかない生き方の定義。 それが主題なのか思うと 公金横領という超現実な言葉が登場。 ようやく核心かと思うや それすらもサラリとかわされて・・ 妙に爽やかな読後感だけ残りました。

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2022/09/14

観念的な話がたくさん出てきて読んでるとボーッとしてくる。宇宙空間とかにトリップしているような感覚になる。チェレンコフ光の話が好き。

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2022/08/26

初めて池澤夏樹を読んだがすごく好きな作家になった。 会話や情景や思念のひとつひとつをとっても魅力的で惹き込まれる、非常に好みの文体。話の展開も先が気になる意外性が散りばめられていた。 スティル・ライフ と ヤー・チャイカ の2作入りで、自分は前者がより好きかな。 雪の中で佇んでい...

初めて池澤夏樹を読んだがすごく好きな作家になった。 会話や情景や思念のひとつひとつをとっても魅力的で惹き込まれる、非常に好みの文体。話の展開も先が気になる意外性が散りばめられていた。 スティル・ライフ と ヤー・チャイカ の2作入りで、自分は前者がより好きかな。 雪の中で佇んでいる主人公の気持の描写されるシーンは確かに素晴らしくて、すごく印象に残った。 ヤー・チャイカ の文彦が運転疲れで入ったSAで蛍光灯を見てぼんやりと思念をめぐらすシーンのような、このなんとも表現し難い、ぼんやりと空想を巡らす感じを書けるのすごいと思った。経験ある。 「外はもう暗くなっていた。大きな窓ガラスに天井のライトが点々と遠くまで映っている。ずらりと並んだライトは屋外の空に整列した宇宙船のように見えた。今にも一機また一機と、遠方の一点に向けて滑らかに飛翔をはじめそうだ。窓ガラスの外は真空、ブラウン管の中の偽の真空ではなくて、本当に何もない無限の真空。」

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2022/07/31

2ページ弱のプロローグの文章を、一時期、コピーして常に持ち歩いていた。他人に同意見や見返りを求めすぎてしまったり、周りに合わせ過ぎて自分を見失ったり、そんな時の軌道修正として読めるように。このプロローグは本当に素敵だし、的を得ているし、これが全てと言っても良いくらいだ。本編は不思...

2ページ弱のプロローグの文章を、一時期、コピーして常に持ち歩いていた。他人に同意見や見返りを求めすぎてしまったり、周りに合わせ過ぎて自分を見失ったり、そんな時の軌道修正として読めるように。このプロローグは本当に素敵だし、的を得ているし、これが全てと言っても良いくらいだ。本編は不思議な小説だった。理系の知的さが漂いつつも、曖昧な雰囲気を楽しむような。冒頭のチェレンコフ光の話や、ラストのプロジェクターのシーンが素敵。

Posted byブクログ

2022/06/04

1988年の本だけど文章も内容も古くない。結局どんな話なのか全体像がつかめないけど、登場人物や会話の内容、雰囲気が好き。

Posted byブクログ