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樅ノ木は残った(下巻) の商品レビュー

4.3

51件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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2021/12/09

あらすじ 伊達家62万石の危機を察知した仙台藩の重臣・原田甲斐(里見浩太朗)が、たった一人で謀略から守る姿を描いた娯楽時代劇。 仙台藩の重臣・原田甲斐は3代藩主・伊達綱宗の放蕩に端を発した混乱の中、綱宗の叔父・伊達兵部の藩乗っ取りの陰謀を察知する。 兵部は幕府老中首座酒井雅楽頭と...

あらすじ 伊達家62万石の危機を察知した仙台藩の重臣・原田甲斐(里見浩太朗)が、たった一人で謀略から守る姿を描いた娯楽時代劇。 仙台藩の重臣・原田甲斐は3代藩主・伊達綱宗の放蕩に端を発した混乱の中、綱宗の叔父・伊達兵部の藩乗っ取りの陰謀を察知する。 兵部は幕府老中首座酒井雅楽頭と姻戚関係を結ぶなどして藩内での勢力を徐々に拡大。 感想 昔、仕事で涌谷担当をしてたので何か親近感を感じました。惜しい人を亡くした。

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2021/08/02

下巻では黒幕的に描かれてきた伊達兵部が、冒頭から底の浅さを露呈する。兵部の悪評は広がっている。ここまで悪評が広がるならば、原田甲斐が兵部に取り入らず、正面から対抗できたのではないだろうか。逆に甲斐が兵部の与党と思われたために、前藩主に取り次いでもらえないという不利益も生じている。...

下巻では黒幕的に描かれてきた伊達兵部が、冒頭から底の浅さを露呈する。兵部の悪評は広がっている。ここまで悪評が広がるならば、原田甲斐が兵部に取り入らず、正面から対抗できたのではないだろうか。逆に甲斐が兵部の与党と思われたために、前藩主に取り次いでもらえないという不利益も生じている。「敵を欺くには味方から」はメリットばかりではない。 下巻まで読むと、脇役の人情物が印象に残る。中巻までは、どうしようもない人達を描いていると思っていたが、下巻に入って実を結ぶ。本作品は原田甲斐の人に誇らない忠義を描きながらも、藩のために自己を犠牲にする虚しさも語っている。侍の道を否定する脇役を描くことは本作品にとって大きな意味があった。 自分は他人とは異なるという意識は、自我の確立を目指した純文学のテーマである。純文学は私という殻にこもって面白くないと批判されがちであるが、そのように批判する自称社会派達こそ集団主義的でメジャーな政治的争点を取り上げても、個人の抱える個別的問題に応えられないことが往々にしてある。本作品は大衆文学に分類されるが、自我にこだわる純文学の問題意識と重なっている。私へのこだわりは現代の漫画やアニメ、ラノベにも引き継がれている。

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2021/07/09

お家騒動の発端以後、ひたすらに耐え忍ぶことを貫き通した原田甲斐。 私利私欲のためでもなく、名誉のためでもなく、ただただ伊達藩とそこに属する人々を守るために、彼は進んで悪名を被り、そうすることで黒幕の懐深くへ入り込む。 分かり合えた友人、同士、家臣たちから白眼視されたり、次々に死に...

お家騒動の発端以後、ひたすらに耐え忍ぶことを貫き通した原田甲斐。 私利私欲のためでもなく、名誉のためでもなく、ただただ伊達藩とそこに属する人々を守るために、彼は進んで悪名を被り、そうすることで黒幕の懐深くへ入り込む。 分かり合えた友人、同士、家臣たちから白眼視されたり、次々に死に別れる事態に見舞われても、哀しみを押し殺し、黙々と命の襷を拾うに止める。 全ては黒幕を追い詰めるためだった。 堪忍・辛坊が、時にもどかしく感じたけれど、凄絶な最期の瞬間にまでそれを貫徹されると、感動だけが心に残ることに。 「いつの世でも、しんじつ国家を支え護立てているのは、こういう堪忍や辛坊、──人の眼につかず名もあらわれないところに働いている力なのだ」。 この箇所、この一文に、主題が結晶しているような。 著者が一番伝えたかったのはこれだったのかと思う。

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2021/03/26

歴史上有名なお家騒動である伊達騒動を伊達家の国老原田甲斐の眼を通して描かれている。江戸幕府のお家取り潰しの陰謀に晒される伊達藩、それを防ぐ為に原田甲斐の打つ手が奥深い。昭和29年に執筆されたとは思えない程の謀略に富んだエンタテイメントの一級品

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2021/02/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

耐え難きを耐え忍んだ甲斐が、あのような結末を迎えるのは、あまりにも惨い。あまりにも口惜しい。妻と別れ、真の友の葬儀も立ち会わず、伊達藩のため、滅私で尽くした甲斐が。。。 それでも六二万石が安泰となり、安らかに逝ったのだろうか。

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2020/11/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

そうか、最後までこのままなのか。という一抹の淋しさがあった。そこまでして残した「樅の木」とは、なんだったのか。そこに命、人生を捧げられる想いのたけが凄まじい。

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2020/10/18

主人公はもちろん登場人物が皆生き生きとしていて目に浮かぶよう。3巻あっという間で読み終えるのが惜しかった。

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2020/07/09

超大作過ぎて手つかずのまま20年以上放置してしまったけど、読んでよかった。山本周五郎、改めて読んでみるか。

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2020/06/07

やっと3冊読み終わった。 たった3冊を読むのに、一ヶ月もかかってしまった。 内容はかなり面白いのだが、私がとにかく時代小説が苦手ということで、 言葉が頭の中に映像として入ってこない(-_-;) それなのにとても面白く、最後まで何とか諦めずに読むことができた。 この本は、伊達...

やっと3冊読み終わった。 たった3冊を読むのに、一ヶ月もかかってしまった。 内容はかなり面白いのだが、私がとにかく時代小説が苦手ということで、 言葉が頭の中に映像として入ってこない(-_-;) それなのにとても面白く、最後まで何とか諦めずに読むことができた。 この本は、伊達騒動と呼ばれた、江戸時代前期の仙台伊達藩で起こった御家騒動の話。 史実上では、原田甲斐宗輔は奸臣とされているようだが、 この本ではその真逆の立場で描かれていた。 この原田という人物の描写が非常に巧み。 私の文章能力では、とても形容出来ない、非常に魅力的な人物に描かれている。 主人公の原田だけでなく、伊達騒動の中に生きる多くの登場人物の個性が 非常に緻密に描かれており、時代小説嫌いの私でも、楽しく読ませていただいた。 超大作!読んでみて絶対損は無い!

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2019/12/24

伊達騒動を描いたもの。 この小説の主人公原田甲斐が逆臣であったという通説とは異なり、伊達家を守るために真意を隠し、友や家臣、自身の命、そして家までも賭して伊達家を守ったというプロット。 最後の200ページのクライマックスに向かう節は、息を飲む展開で一気に読んだが、結末は、現代...

伊達騒動を描いたもの。 この小説の主人公原田甲斐が逆臣であったという通説とは異なり、伊達家を守るために真意を隠し、友や家臣、自身の命、そして家までも賭して伊達家を守ったというプロット。 最後の200ページのクライマックスに向かう節は、息を飲む展開で一気に読んだが、結末は、現代的感性からすると「行き過ぎ」の感を持ったのが正直なところ。 しかし、「史実」の裏側にこのような「真実」があったとすれば、タイトルともなった樅の木に重ね合わせられたロマンを十分に感じられる。 武士社会の主役の男たちの周りに描かれる女たちが、その儚さに彩りを添えている。

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