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楼蘭 の商品レビュー

3.5

31件のお客様レビュー

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2024/06/20

中国歴史小説集かと思いきや、全12編中、中国関連は6編、インド2編、日本4編であった。インドはいいとして日本ものが光秀から現代ものまで一体どういう基準で選んでいるのか。しかも2編はすでに読んだ小説集とダブっている。 表題作、楼蘭は、なかなか読ませるだけに、悲しい。

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2024/06/09

大国である漢と匈奴に挟まれた西域の弱小国家楼蘭の運命を描いた「楼蘭」や後漢の末期に軍事植民地を建設するため西域入りした男たちに襲いかかる自然の脅威を描く「洪水」など西域ものと説話的な「狼災記」など12編の作品集。「狼災記」「羅刹女国」「倶利伽羅国縁起」「宦者中行説」が寓話的な話で...

大国である漢と匈奴に挟まれた西域の弱小国家楼蘭の運命を描いた「楼蘭」や後漢の末期に軍事植民地を建設するため西域入りした男たちに襲いかかる自然の脅威を描く「洪水」など西域ものと説話的な「狼災記」など12編の作品集。「狼災記」「羅刹女国」「倶利伽羅国縁起」「宦者中行説」が寓話的な話で面白かった。 2024年6月9日読了。

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2024/01/18

古の桜蘭という国の状況が偲ばれ、古代人の想いも時を超えて伝わっ手きます 他の短編も興味深く知識を広げる意味でいい本かもね

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2023/05/17

楼蘭のことを知ったのは子どもの頃でした。砂と風とタリム川が湖をゆっくりと動かしているなんて! 砂漠の中で、二つの強国・漢と匈奴に翻弄され、湖にまで去られて、力尽きて砂に埋もれた楼蘭には、幾人の亡霊が彷徨っていることでしょう。

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2022/12/01

匈奴などの西狄の話は歴史でもなかなか出てこないので面白かったが、後半の日本の話はいらなかったな…。もっと騎馬民族や砂漠の民の歴史が読みたいなぁ。

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2022/08/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

目次 ・楼蘭 ・洪水 ・異域の人 ・狼災記(ろうさいき) ・羅刹女国(らせつにょこく) ・僧伽羅国縁起(そうからこくえんぎ) ・宦者中行説(かんじゃちゅうこうえつ) ・褒姒(ほうじ)の笑い ・幽鬼 ・補陀落(ほだらく)渡海記 ・小磐梯(こばんだい) ・北の駅路 表題作を読みたいと、ずっと思っていた。 中学校の国語の教科書にスウェン・ヘディンの『さまよえる湖』が載っていて、それに関してこの作品を先生から紹介されたので。 大きくなったら探検家になりたい!と熱い思いを抱かせるヘディンの行動を読んで、この『楼蘭』もさぞや熱い思いがあふれているのだろうと思っていたら、ノンフィクションのルポルタージュかってくらい冷静な筆致に、逆にのけ反る。 事実を淡々と連ねる文章は、ともすれば歴史の専門書を読んでいるようで、これが小説であることを忘れてしまう。 何百年にもわたる、ロブ湖のほとりの楼蘭という国の歴史。 しかし、これはヘディンが発掘した楼蘭の遺跡からインスパイアされた、れっきとした小説なのだ。 誰がこのような想いを持って行動したかなどと、どんな歴史書にも書いてはいない。 特定の主人公がいなくても、語り手の心情が声高に言われなくても、これはあくまでも作者が創作したものがありなのだ。 だけど、司馬遼太郎の小説でさえ、事実のように受け止めてしまう人が多い昨今、これを史実ととらえる人が多いのだろうと思う。 次の『洪水』なども、歴史書から引っ張ってきたのかと思われるほど、具体的な記述が続く。 でも、よく読んでみると、『洪水』に似たようなエピソードはヤマトタケルとオトタチバナヒメにもある。 そういえば 『羅刹女国』などはセイレーンのようでもあるし。 『狼災記』も、『山月記』の変奏曲のようである。 『三国志』よりも古い時代の歴史。 もう神話に片足を突っ込んでいると言っていい。 日本の神話、インドの神話、西洋の神話。 『宦者中行説』と『補陀落渡海記』は、年をとればとるほど沁みてくるのではないだろうか。 『狼災記』は、『山月記』よりもなお容赦ない。 『幽鬼』以降は日本を舞台にした作品。 光秀を主役とした『幽鬼』を読んで、三成を主役とした尾崎士郎の『篝火』を思い出す。 どちらも敗戦の将だが、光秀の謀反に対する腹の座らなさが際立つ。 次は『天平の甍』を読みたい。 時間が許せば『おろしや国粋夢譚』も。

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2022/06/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 楼蘭の1つの国の趨勢、異域の人の班超の生涯、宦者中行説の匈奴で得た夢、何れも真に迫っていて、そこに西域や匈奴の風土を感じるかの様でした。班超が歿する前、故国に西域との繋がりを見、彼が「胡人」と呼ばれた描写には、彼の一生の軌跡が表れている様に思います。  狼へと変わった陸沈康とカレ族の女が出る狼災記、羅刹の棲む島を書いた羅刹女国では、言い伝えや伝承を基にした不可思議な出来事が現実味を帯びて書かれていて惹かれました。狼災記で狼となった2人が、獣の掟に従い獣として生きる様が、人の姿を喪い人で無くなった彼等が、既に人としての生き方が出来ないのだと訴えかけて来ている様に思われました。

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2021/01/22

12の短編集。多くが古代中国の歴史物語。著者の作品はジャンル幅広く、文章もしっかりして、読んでる最中でもじっくり熟読したくなる、本棚にずっと取っておきたくなる。「浪災記」、「山月記」に似ている。2021.1.22

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2021/01/22

短編集。 井上靖に対しては、同じようなテイストの小説を多産する流行作家のようなイメージを持っているが、氏の「西域もの」はその限りではない。 明らかに他の量産作品群と「西域もの」との間には、クオリティの差が存在している。このテーマに対する著者の没入度の深さが、おそらく異なる。 ...

短編集。 井上靖に対しては、同じようなテイストの小説を多産する流行作家のようなイメージを持っているが、氏の「西域もの」はその限りではない。 明らかに他の量産作品群と「西域もの」との間には、クオリティの差が存在している。このテーマに対する著者の没入度の深さが、おそらく異なる。 本編を離れた話だが、山本健吉が解説で次のように書いている。 「人間の行為の意義、無意義を分つものは、人間の意志を超えている。人間の歴史は、結局人間行為の無数の捨石の上に築かれているのだから」。 井上靖の「西域もの」の解説として、これ以上のものはないのではないかと思える。

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2018/03/03

『タクラマカン砂漠』という響きが好きです。 生まれ変わるならタクラマカン砂漠に吹く風になりたいと思います。 12編の短編 表題作の楼蘭は中央アジア、中国の西域を舞台とした古代弱小国の興亡の物語 立地的に大国の漢と匈奴の両方から支配と搾取が繰り返されるなか、細々と暮らしていかな...

『タクラマカン砂漠』という響きが好きです。 生まれ変わるならタクラマカン砂漠に吹く風になりたいと思います。 12編の短編 表題作の楼蘭は中央アジア、中国の西域を舞台とした古代弱小国の興亡の物語 立地的に大国の漢と匈奴の両方から支配と搾取が繰り返されるなか、細々と暮らしていかなければならない楼蘭の人々に無常さを感じます。 他にも人間になる事と夫の浮気に制裁を加える事が出来なくなる葛藤を描いた羅刹女国!? 即身仏に強制的に祭り上げられる側の内面を描く補陀落渡海記など心に何かが引っ掛かりずり落ちていくような短編集です。

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