愛の渇き の商品レビュー
女としての業の深さ
激しい嫉妬と独占欲、プライドと虚栄心によって格段に増幅された、愛し愛されたいという強い欲望を抑えきれない主人公・悦子の執拗な言動が、著者の卓抜した語彙力と表現力によって描写されていく。物語は、悦子の感情が一方的に空転し爆発的に憎悪に転換した挙句、衝撃的な結末を迎えるが、ラストシー...
激しい嫉妬と独占欲、プライドと虚栄心によって格段に増幅された、愛し愛されたいという強い欲望を抑えきれない主人公・悦子の執拗な言動が、著者の卓抜した語彙力と表現力によって描写されていく。物語は、悦子の感情が一方的に空転し爆発的に憎悪に転換した挙句、衝撃的な結末を迎えるが、ラストシーンでは悦子の女としての業の深さに心底戦慄する。
fugyogyo
いかにも三島由紀夫ら…
いかにも三島由紀夫らしい複雑な設定の人間関係。衝撃のラストにびっくりしました。
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フランス古典演劇のま…
フランス古典演劇のまま、物語は最後まで進んでいきます。彼女が焦がれた愛欲の究極が一番ラストで姿を見せます。
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小説の面白さというも…
小説の面白さというものを堪能した気がします。他では見られないドラマでした。未亡人が陥っていく世界、高貴な婦人が田舎で変わっていく流れが、ものすごく説得力のある展開と描写で語られます。三島の天才的作風にうなります。
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気位の高い未亡人が下…
気位の高い未亡人が下男に片想いをします。下女へ嫉妬するところや、下男の動物的なところが、面白かったです。ラストにも驚きました。
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三島の好みが反映され…
三島の好みが反映されたロマンチックな恋愛心理小説です。「クレーブの奥方」とか…
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亡夫の舅との情事を続…
亡夫の舅との情事を続ける主人公は、庭師の若い青年に惹かれる。しかし、彼には恋人が……。ひょっとしたら元ネタはフランス文学科も知れない、そう感じさせる一編でした。
文庫OFF
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
最後の方は恐ろしいと思ったけど、それまでは共感できる点が多すぎて、そのことに気づいた時は自分の将来を不安に感じた。特に女や愛する人の不幸を望んでいるはずなのに、実際にそうなると本当は望んでいなかった、と感じるやりきれない気持ちに共感した。 悦子が抱く感情の中には、ごく一般的な恋する女性の感情もありながら、凶悪な行為に繋がる感情が奥底に根ざしている。愛していたために結末を迎えたのではなく、ただ手に負えない、コントロールしきれない感情を抱いてしまった自分との闘いの行く末であったと思う。ある種閉鎖的な環境が彼女をそのような考えに陥れたのであろう。
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先日、「夫婦善哉」を読んだのを機に昭和初期の小説をもう少し読みたいなと思って三島由紀夫。ちょっと違ったか…。三島は高校時代にあらかた読んだか(ものの、潮騒の焚き火のシーンくらいしか記憶にない)と思っていたが、この「愛の渇き」は未読。時代がかった技法が目立って現代小説ほどのテンポは...
先日、「夫婦善哉」を読んだのを機に昭和初期の小説をもう少し読みたいなと思って三島由紀夫。ちょっと違ったか…。三島は高校時代にあらかた読んだか(ものの、潮騒の焚き火のシーンくらいしか記憶にない)と思っていたが、この「愛の渇き」は未読。時代がかった技法が目立って現代小説ほどのテンポはないが、寡婦の満たされない愛と、愛をまだ充分に理解しない少年との擦れ違いは充分に読ませる。
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解説を読むと、物語の登場人物全てに計算し尽くされた配役が与えられているのが分かる。三島の作品に対する全力の姿勢がここに強く現れている。それはやがて遺作「豊饒の海」へと繋がっていく。。。
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