津軽 の商品レビュー
ふ〜、読み終わった。 太宰が委嘱を受けて書いたとされるらしく 津軽地方の地理と歴史が詳しく載っているのだが、この部分を理解するのに手間取りなかなか読み進むのが難しかった。 太宰の文体の方は読み慣れていたせいか、スムーズに読めた。 最後の章にあたる、五 西海岸は幼年時代の乳母「た...
ふ〜、読み終わった。 太宰が委嘱を受けて書いたとされるらしく 津軽地方の地理と歴史が詳しく載っているのだが、この部分を理解するのに手間取りなかなか読み進むのが難しかった。 太宰の文体の方は読み慣れていたせいか、スムーズに読めた。 最後の章にあたる、五 西海岸は幼年時代の乳母「たけ」とのことを書いたもので、じんわり温まるものを感じた。 最後の解説者は「亀井 勝一郎」氏。 『津軽』は彼の解説を読んでから本文を読んだほうがよかったのかも... 太宰の津軽地方のウンチクを頭の中に叩き込んでもう一度読んでみると太宰の新たな一面を発見できるのかな?とも思った。 「解説」大事だなぁ〜と感じた一冊。
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わたしは太宰治の一読者にすぎず知り合いでもなんでもないが、この小説にあらわれているのは最も素に近い太宰ではないかと思う。不躾に他者を容赦なく批評するかと思ったら急に弱気になって自分を卑下したり、酒を飲みまくったり、だらしがないかと思えばしっかり土地のことを知っている。いつも一緒に...
わたしは太宰治の一読者にすぎず知り合いでもなんでもないが、この小説にあらわれているのは最も素に近い太宰ではないかと思う。不躾に他者を容赦なく批評するかと思ったら急に弱気になって自分を卑下したり、酒を飲みまくったり、だらしがないかと思えばしっかり土地のことを知っている。いつも一緒にいたくはないけどたまに旅行に行ったら楽しいだろう。しかもいく先々で暖かく迎えられるのである。 自分という存在を書くことに関しては太宰治の右に出るものはいないということがわかる。とくにたけと会うまでの気持ちのはやりや実際あったのちのなんとも言えない雰囲気には目頭が熱くなった。 この小説を読むと後ろに故郷を残してきた人間を羨ましく思う。
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梅雨明けに東北を回ろうと思っている。津軽も行くので、本棚にあった文庫本を読み始めた。太宰治ってこんな紀行文も書いていたんだな。改めて楽しく読んだ。解説を亀井勝一郎が書いているのも懐かしかった。
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太宰治の人間くさいボヤキが好きだけど この作品はけっこう笑える 旅の終わりがじんわりエモくて 太宰作品ではわりとレアかもしれない
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
故郷の風土の話。自分の生い立ちを語った話。 津島家に生まれ、出入りしていた女中・タケに育てられ、自分はどんな子供だったか、当時どんな思いをしていたか等、津島修治から太宰治に成る過程が垣間見える。 そして終盤は、太宰治から一個の津島修治に還る。 このシーンが実に好い! 太宰治が好きな方や太宰治を研究したい方は、是非読んで欲しい一冊。 …にしても、巻頭の太宰が描いたタケの似顔絵には(失礼だが)笑えた。
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太宰文学は延々と自虐が続いていくイメージがある。しかし本作『津軽』は中々に軽快に読み進めていくことができた(それでも時折り自己卑下の部分も見られるが…)読んでいる時、幾度も、「これはかの太宰が書いた文章か…?」と思った。平易な語彙と文から組み合わさる本作は絶妙なリズムを奏で、津軽...
太宰文学は延々と自虐が続いていくイメージがある。しかし本作『津軽』は中々に軽快に読み進めていくことができた(それでも時折り自己卑下の部分も見られるが…)読んでいる時、幾度も、「これはかの太宰が書いた文章か…?」と思った。平易な語彙と文から組み合わさる本作は絶妙なリズムを奏で、津軽の鮮やかな景色を浮かび上がらせる。優しく角のない丸い文体は、読み手を落ち着かせ、その心を穏やかにし、束の間の平穏をもたらす。まるで、それはまるで、ほんのりと温かみが残っているホッカイロで掌を包み込んでいるみたいだ。 是非とも、今度、津軽に足を運んでみたいものだ。太宰が見た津軽の景色を、私も、また、見ることができるのだろうか。
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青森出張時に鞄に本を入れ忘れ、八戸の本屋さんを覗いた際、「津軽」の文字に惹かれて購入。 これまでの太宰さんの作品からは全体的にマイナーなベールを纏った印象を受けていたけれど、「津軽」では別人・・・?と疑いたくなるほど印象が一変した。この時の出張先は下北方面だったけれど、津軽地方の...
青森出張時に鞄に本を入れ忘れ、八戸の本屋さんを覗いた際、「津軽」の文字に惹かれて購入。 これまでの太宰さんの作品からは全体的にマイナーなベールを纏った印象を受けていたけれど、「津軽」では別人・・・?と疑いたくなるほど印象が一変した。この時の出張先は下北方面だったけれど、津軽地方の旅行記に自叙伝と風土記が織り交ぜられた内容に津軽地方を同時に訪ねた気分に浸らせていただいた。太宰さんの新たな一面を知るとともに、たっぷりと青森を旅することができる本だった。
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太宰の作品の中でダントツで好き 脳内で映像が再生できるようなコミカルな人の行動の描写が読んでいて楽しい
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昭和19年、太宰が36歳の頃、約3週間をかけて津軽地方を旅行した時の話。もうじき青森へ行き、金木町の斜陽館にも寄ろうと考えていることから、折角なので読むことにした。表紙の津軽富士見湖から岩木山を臨む景色を、私も見ることができるだろうか。 当時の津軽地方を描く様もさることなが...
昭和19年、太宰が36歳の頃、約3週間をかけて津軽地方を旅行した時の話。もうじき青森へ行き、金木町の斜陽館にも寄ろうと考えていることから、折角なので読むことにした。表紙の津軽富士見湖から岩木山を臨む景色を、私も見ることができるだろうか。 当時の津軽地方を描く様もさることながら、太宰の家族や使用人との関わり、そして津軽の風土がどのように太宰治という作家を作り上げたかの方に目が行ってしまう。 田舎の富豪の期待の掛けられない子どもとして、使用人を友と意識して、田舎の繊細さと反骨精神をその身に育んだ太宰のこの作品は、『斜陽』のような昏さのなかに際立つ明るさがあり、絶望より希望の色が濃い印象を受ける。 それだけに、こうした作品を書き上げながら太宰が自死を遂げてしまったという事実に抱く気持ちに、なんという言葉を当て嵌めればよいのか思いつかない。 風土記として読むのであれば、話の中で、青森各所から見た岩木山の山容に関するコメントが気になっている。 曰く、弘前からはいかにもどっしりとしてやはり岩木山は弘前のものかも知れないと思う。だが、金木等から眺めた端正で華奢な姿も忘れられない。そして西海岸からみた山容は崩れてしまって美人の面影も無いのだとか(p.151)。 西海岸のとあるホテル、山側に面した部屋に泊まる。太宰が「まるで駄目」といった岩木山の姿――実際にそう見えたのかも知れないし、思い出の詰まった金木を贔屓したかっただけかも知れない――を、楽しみにしている。
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まだまだ自分の読解力と昔の文体に慣れていないため、読みこなすのが大変だった。また、日本語の本でも地理的な情報が頭に入っていないと理解することが難しいこともわかった。
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