氷点(上) の商品レビュー
完成度は高い
正の上下・続の上下読了。完成度の高い小説と評価。罪の存在とそれをに対する赦し(※許しではない)、そして再生(新たな命)がテーマですが、人間によるそれの限界を示し、或る存在(=キリスト教のイエス=神)によってのみがなしえることを新聞小説として広く掲載たらしめ成功したのは、ひとえに作...
正の上下・続の上下読了。完成度の高い小説と評価。罪の存在とそれをに対する赦し(※許しではない)、そして再生(新たな命)がテーマですが、人間によるそれの限界を示し、或る存在(=キリスト教のイエス=神)によってのみがなしえることを新聞小説として広く掲載たらしめ成功したのは、ひとえに作者の読ませる力量に負うところでしょう。舞台となる北海道の自然、そして料理などの描写がリァリティを与え興味深い。賛否両論あるかと思いますが、「続」は不要。「正」に比べ、読者に、考え、創造(※想像でない)させることが貧弱になっている(読者がそれぞれ自由にいだく思いや裁量の立ち入る余白が小さく狭い)。まぁそれだけ作者が精緻に微細に描いたことの証左と言えますか。メディア(掲載新聞・出版社・TVドラマ化による放送局)を通じ、読者・視聴者の強いリクエスト故の執筆事情(執筆された時代や社会環境の風も含めて)もあったのかな感じます。
HYO
泣けます。とにかく…
泣けます。とにかく泣けます(;___;)そしてこころが綺麗になる。絶対にお薦めの一冊。
文庫OFF
「原罪」という重苦し…
「原罪」という重苦しいテーマを扱っていますが、全く飽きさせません。人間の業について深く考えさせる上に、読んでいて非常に面白い作品です。
文庫OFF
自分の娘を殺した犯人…
自分の娘を殺した犯人の娘を育てるという物語に、とてもおどろいた。私ではとても出来ないと思う。
文庫OFF
40年以上前の作品だ…
40年以上前の作品だけに、読み始めは文体に違和感を感じたが、劇的なストーリーにすっかりはまってしまいました。含みを持たせた終わり方で「この先いったいどうなるのっ?」と下刊を読まずにはいられません!
文庫OFF
内容はかなりどろどろ…
内容はかなりどろどろしています。でも、三浦綾子さんらしく、やはりキリスト教の「隣人愛」や「原罪」などがテーマになっている作品です。登場人物たちの、自らの心内を明かさない姿に結構いらいらしてくることもあります。とても面白い本で、一気に読めてしまいますが、総じて、重たい本です。
文庫OFF
幼い娘の扼殺の事実を…
幼い娘の扼殺の事実を以って、必死で取り繕った「家族」は少しずつ綻びていく。父親の二転三転する思考に嫌悪を覚えながらも、それがまた人間臭くて目が離せません。陽子を中心とした辻口家を縦糸に、全体を貫くテーマである「原罪」を横糸に織り上げた大布、そんな印象を受けました。
文庫OFF
登場人物の心理描写が分かりやすく描かれている。同じ屋根の下で生活しながらお互いに復讐しようと思いながら過ごしているところが、怖いと感じた。 啓造は夏枝と村井に怒りながら、夏枝に復讐しようとルリ子を殺害した佐石の娘を養女にして夏枝に育てさせる、一方で事情を知らない夏枝は陽子と名付...
登場人物の心理描写が分かりやすく描かれている。同じ屋根の下で生活しながらお互いに復讐しようと思いながら過ごしているところが、怖いと感じた。 啓造は夏枝と村井に怒りながら、夏枝に復讐しようとルリ子を殺害した佐石の娘を養女にして夏枝に育てさせる、一方で事情を知らない夏枝は陽子と名付け自分の子供のように大切に育てるが、ある日事情を知ってしまう…もちろん夏枝は激しく怒り陽子へ嫌がらせや首をしめて殺そうとしたり、啓造への復讐として村井と関係を持とうとする。 啓造も夏枝も、どっちもどっちだなと思いながらも下巻の内容が気になる。
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「原罪とはなにか」をテーマにした戦後の旭川の裕福な医師一家の話。 度々登場する北海道の冬の情景の描写が登場人物たちの心情と重なり、悲しさや強さの感情が伝わってくる。 読みにくい作品なのかと思いきや、ドラマチックで全く飽きることなく最後まで読み進めた。
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名作の誉れ高い小説である。長らく一度読んでみたいと思いながらようやく読めた。 著者はクリスチャンでもあると聞いていたから、哲学的で崇高な思いを呼ぶ小説かと思いきや、まるで大映ドラマのような、次から次へと強烈な出来事が起こるお話だった。 夏枝の描かれ方のひどさにびっくり。陽子は申し...
名作の誉れ高い小説である。長らく一度読んでみたいと思いながらようやく読めた。 著者はクリスチャンでもあると聞いていたから、哲学的で崇高な思いを呼ぶ小説かと思いきや、まるで大映ドラマのような、次から次へと強烈な出来事が起こるお話だった。 夏枝の描かれ方のひどさにびっくり。陽子は申し分なく完璧すぎるほど完璧に描かれていてその対比なのかもしれないけど、同じ穴のムジナともいうべき夫の啓造に比して男尊女卑的も思えるほど愚かに描かれる。これが時代のせいなのか。 あわせて、完璧な陽子をしてそう思うものなのかと思ったのが、陽子が自身が殺人者の娘であることを知り、罪を背負った意識に深く苛まれたということ。陽子のような賢い人であれば、親は親、自分は自分と考えそうなものだけど、そうはいかなかった。これもまた時代の空気なのか。悪しき家族主義とでもいうもの。結局、陽子は殺人者の娘ではなかったんだけど、それもまた、作者のなかに罪人の子どもは罪を背負うものという意識があったからではなかろうか。
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