最後の生贄 の商品レビュー

ケヴィン・オブライエン(著者),矢沢聖子(訳者)

2009/10/04

読めば読むほど加速するスピード感に圧倒された作品。文章も癖がなく読みやすいのだが、一番の魅力はそのストーリー展開。六百ページ以上の分量を気にする暇を与えないくらい様変わりしていく。正体不明の敵から狙われるヒロイン──設定はごくありふれているのだが、一歩足を踏み入れた途端、普通レベルの謎にすっかり支配されていた。あまりにさくさく進みすぎて、かえって物足りないと感じる読者もいるかもしれないが、ある程度先読みできる謎をベースにこってり描かれると、結局は退屈してしまうのだ。次回作が楽しみな作者。よほどの駄作でない限りリピートは確実だろう。

2011/08/03

双子の兄ブラッドがオレゴン州選出の上院議員選挙に出馬しているブリジット。離婚したばかりの彼女は、二人の子どもを育てつつも、選挙戦の手伝いを続けていた。そんな折に、二人の周囲に不可解な死が続けざまに起こる。どうやら、彼女らの高校時代に起きたある事件と結びついているらしい。リーダビリティ抜群です。とにかくページをめくるスピードがどんどん速くなっていきました。ストーリーの割には陰惨な描写はそれほどありません。でも、アメリカの選挙ってとことん中傷合戦なんだなということが、この本でよく分かりました。日本でもそうなのでしょうかね。