オクターヴ の商品レビュー
田口ランディさんの小説は久しぶりに読んだけれど、シャーマンだとか幽体離脱だとかのスピリチュアル要素は変わらずで(とは言え10年以上前の小説ではあるのだけど)とても読み手を選ぶと感じるのが正直なところ。 私はそういうのは嫌いではないから読むのだけど、この作品は精神世界的な要素がとり...
田口ランディさんの小説は久しぶりに読んだけれど、シャーマンだとか幽体離脱だとかのスピリチュアル要素は変わらずで(とは言え10年以上前の小説ではあるのだけど)とても読み手を選ぶと感じるのが正直なところ。 私はそういうのは嫌いではないから読むのだけど、この作品は精神世界的な要素がとりわけ強めで、読み終えたときには程よくぐったりしていた。 ドレミと始まって、シは有限の極み。そしてその上のドは神の世界。上のドの世界には、ほんの一部の人間しか到り着けない。 物語の基本にあるのは上記のようなもので、主人公のマホは、行方不明になった大事な友人であるミツコを探してバリに向かい、そこでたくさんの不思議な体験を通して上記の世界に触れる。 とても感想が書きづらい。理解できたと自分では思っているけれど、もしかしたら理解しきれていないかもしれない。いまひとつ自信が持てない。 ただ個人的に思うのは、私の周りにも不思議な力を持った人が少なからずいて、そういう人たちはおそらく「上のド」の境地にいる人たちなのだろう、ということ。 その人たちは行方不明にはならずきちんと置かれた場所にいるのだけど、どことなく浮世離れしていて、すべてを達観しているように見える。 この物語のマホは、その境地に行ってしまったミツコを探して、見えない力に導かれるようにしてバリを訪れた。 バリには行ったことはないものの、こういうスピリチュアル要素がある物語の舞台になりやすいように思う。シャーマン文化のある南の島だからなのだろうか。強いエネルギーを感じる場所だというイメージがある。 「考えるな、感じろ」的な、独特な世界を楽しめた読書体験だった。
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突然バリへ向かい、そのまま消息を絶った天才ピアニスト、ミツコを追い、バリへ向かった主人公。そこで出会ったオダというガイドとなる男とともに、ミツコに会うための手段を探すが、ニュピという特別な日まで待たなければならない…。 またあらすじなど無視して読み始め、ははあ、なんか事件が起こ...
突然バリへ向かい、そのまま消息を絶った天才ピアニスト、ミツコを追い、バリへ向かった主人公。そこで出会ったオダというガイドとなる男とともに、ミツコに会うための手段を探すが、ニュピという特別な日まで待たなければならない…。 またあらすじなど無視して読み始め、ははあ、なんか事件が起こるのかしらん?と思ってたら、毛穴から植物の芽が生える…?夢の話か。安部公房の「カンガルーノート」やないか。 事あるごとに夢なのか、本人曰く「解離」なのかはともかく、なんともトリッピーでスピリチュアルな雰囲気が全体を占めている。これが曲者。 途中で「ミツコって誰?」という友達やミツコの両親の話が出てきて、あれ?そっち方面?という気分に。これは純文学な方に持っていきたいのだなと。 最終的に思った通りの展開となるが、主人公があっちこっちに移動したり、体験したりということで飽きずに読むことはできたが、途中で感じた不安のとおり、不思議体験なのか比喩なのか、曖昧なまま展開したのはあまり印象は良くなかった。 短編が合う人なのか、長編が合う人なのか、もう少し読んでみないとなんとも言えないな。
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田口ランディの作品て読んだことなかったな。 舞台のバリ、ガムランの音楽、もともと興味がある分野だったので設定が興味を引いた。 バリの雰囲気、独特の世界観を描き出す田口さんの文脈はすっとその空気に引き込んでくれ、読み進めるうちにガムラン音階が頭の中をぐわんぐわんしていく感じ。 ...
田口ランディの作品て読んだことなかったな。 舞台のバリ、ガムランの音楽、もともと興味がある分野だったので設定が興味を引いた。 バリの雰囲気、独特の世界観を描き出す田口さんの文脈はすっとその空気に引き込んでくれ、読み進めるうちにガムラン音階が頭の中をぐわんぐわんしていく感じ。 特にニュピのピーク時のシーンは、その音がマックスになってたかと。 とても感覚的でその空気感が好きでした。
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読んでる間、 正直なところすんごい辛かった。 でも教わるものがめちゃくちゃ多かった。 前見たもの勝ちだなって。 わたしはわたしだと、思える。 そして バリに絶対行かなきゃと誓った本。 ますます勢い加速するー
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田口ランディの世界全開。 行方不明になった友人を追って、バリで覚醒する話。 覚醒という言葉でいいかな? 最近風に言うならアセンションかな? タイトル通り、絶対音感という社会に縛られ、 ニュピを経て、解放されてゆく。 すごくよく分かる。 言葉とか音階とか、そういうものでない...
田口ランディの世界全開。 行方不明になった友人を追って、バリで覚醒する話。 覚醒という言葉でいいかな? 最近風に言うならアセンションかな? タイトル通り、絶対音感という社会に縛られ、 ニュピを経て、解放されてゆく。 すごくよく分かる。 言葉とか音階とか、そういうものでない、 震えみたいな波みたいなもの。 それを上手に言葉に置き換えている。 「世界を一つの価値の中に組み込もうとする強い意思」 という表現をしていた。 ラーマという画家とマホの話はとても興味深い。
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バリのにおいがしてくる。 花のような、果物が腐ったような、あのにおいだ。 平均律にしばられた西洋音楽と違い、 民族音楽には、土着の宗教や思想がしみ込んでいる。 ガムランに魅力があるのは、 人間のものじゃない力が働いているからかもしれない。
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『シは有限の極み。上のドは神の世界。 知覚できないものの世界をガムランが開く。』 なんて謎めいた言い回しなんだろう・・・ 裏表紙に書かれたこの言葉の意味がとにかく知りたかった♪ 音階の「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」 7の上にも下にも無数の7が存在している...
『シは有限の極み。上のドは神の世界。 知覚できないものの世界をガムランが開く。』 なんて謎めいた言い回しなんだろう・・・ 裏表紙に書かれたこの言葉の意味がとにかく知りたかった♪ 音階の「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」 7の上にも下にも無数の7が存在している。 8に移行する時、それは新しい7の始まり。 でも、所詮、人間が決めたルールでしかない。 NOWHERE。。。 本文中で何度も出てくるこの言葉。 これは「NO WHERE」であり、 また、「NOW HERE 」でもある。 どこでもない場所が、今ここにある。 不思議な言葉だな♪ バリ島を描写した力強い精神世界には圧倒される。。。
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バリの湿度を確かめられる本。 特に美術館のところ。 田口ランディの作品にしては、まだスピリチュアル感うすめ。 強いのは読んでられない。
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圧倒的なバリの空気。自然というか生命がとぐろを巻いているような雰囲気を感じました。自分に知覚できない世界がある。わかった!と思うが、何がわかったのか説明できない。 バリの旅物語のようで、主人公の女性が自分の心の奥深くに降りていく物語です。 バリに行ってみたくなりました。
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久々に読んだ田口ランディ。描いていることは面白いのに、どうも文体が馴染めない。たぶん作者の思いが強く込められていそうな登場人物の言葉に、〜た、とか、〜なんだ、とかが多用され、文のリズムがのっぺりと、単調な印象になるからだろう。読んでて、そういう部分が出てくると一気に興ざめしてしま...
久々に読んだ田口ランディ。描いていることは面白いのに、どうも文体が馴染めない。たぶん作者の思いが強く込められていそうな登場人物の言葉に、〜た、とか、〜なんだ、とかが多用され、文のリズムがのっぺりと、単調な印象になるからだろう。読んでて、そういう部分が出てくると一気に興ざめしてしまう。書いてることが面白いだけに残念。それでも舞台となったバリの土着的な精神世界は面白かった。
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