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東京夜話 の商品レビュー

3.8

103件のお客様レビュー

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    25

  2. 4つ

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2024/10/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

目次 ・真夜中の生ゴミ 下北沢 ・ベガ星人はアップルパイが得意なの 原宿 ・お墓アンダーグラウンド 上野・谷中 ・魚のおろし方を学ぶ速度で 新宿西口新都心 ・老将軍のオセロゲーム 神保町 ・クロマグロとシロザケ 築地 ・そこにいるの? 大久保 ・クリスマス追跡 渋谷 ・『クラブ化する日本―その中心部をめぐる一考察』 銀座 ・うつぼかずらの夜 田町 ・すごい虎 柴又 ・正直袋の神経衰弱 池袋 ・アメーバ横丁の女 上野・アメ横 ・もんすら様 巣鴨 ・お面法廷 霞ヶ関 ・天使はジェット気流に乗って 新宿ゴールデン街 ・吾妻橋の下、イヌは流れる 浅草 ・二月二十日 産卵。 東京湾 デビュー作でこれか、と思うほど、いしいしんじらしい、読んでいて居心地の悪くなるような、世界のバランスが少しずれた話ばかりの短編集。 最初から完成している人っているんだよなあ。 なぜだろう、彼の作品を読んでいると、否応なく自分はその他大勢の多数派であり、それがなんとも申し訳ないような、劣等感を感じてしまうような気がする。 それはたぶん彼の、他者、特に弱者への温かいまなざしの所以だろう。 私はそのように他者を見えているのか?という強い指摘。 一番好きなのは『クロマグロとシロザケ』。 なんで生きているの?なんで死んではいけないの? と考えるのは多分脳だけで、体はきっと生き続けること、命をつなぐことを当たり前に願っている。 そして、頭でも体でもないどこかで、自分ではない他者を、唯一の存在としての他者を求めてしまうのだろう。 そんなことを、マグロとサケから教えてもらった。

Posted byブクログ

2022/03/26

巻末の解説にあった、境界を消しにいく人、という話。 すごくしっくりきた。 世の中にあるあらゆるものを、自分のもってる目で等価に眺めることができるひと。周囲が作り上げた括りに囚われるのではなく、自分が感じたまま、思ったままに向き合いそれを表すことができるひと。 自分の中に入っ...

巻末の解説にあった、境界を消しにいく人、という話。 すごくしっくりきた。 世の中にあるあらゆるものを、自分のもってる目で等価に眺めることができるひと。周囲が作り上げた括りに囚われるのではなく、自分が感じたまま、思ったままに向き合いそれを表すことができるひと。 自分の中に入ってくるあらゆるもの。あるがままでいようとして、ヘンテコでこっけいなもの。そんな存在に素直に寄り添い、紡がれる言葉という表現。 不器用なものたちにそそがれるやさしさに惹かれて、ぼくもこのひとの物語を読んでるんだと思った。 吾妻橋の下、イヌは流れる。 川は、人に似ている、と。 隅田川という川はそこにあっても、水はいつだって絶え間なく、ずっと流れていく。 私という人がここにいても、こころ、というか、いのちというか、そういうものはずっと流れていくんだなあ。 川はそこにある。水は流れていく。そして、すべての水は、合流する。いや、合流する以前から、ひとつの流れとして、すべての流れがある。

Posted byブクログ

2020/01/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

真夜中の生ゴミ なんの話かわからないうちにどんどん進んでいき、生ゴミやその回収の実態がわかっていく。シュールな現代版SFショートショート。ブラックジョークとなぜかほっこりする感じが奇妙。 ベガ星人はアップルパイが得意なの その後何が起こるか気になりつつ、いつのまにか終わる。原宿という街を上手く表現できている。クスッと笑えるところがあってポップでオシャレなかんじ。バシャールの宇宙人会議(?)が本当なら、これがSFファンタジーではなく、本当に現実世界である可能性があるのだが。。 お墓アンダーグラウンド 奇妙なアンダーグラウンドを見たのは、墓地という特殊な環境のせいか酔いのせいか。常識を覆す面白い発想。暑さと冷たいビールの爽快感、夏の暑い日にぞくっとするかんじが良い。 魚のおろし方を学ぶ速度で ここで普通の短編。いしいしんじ氏の過去の思い出の一片のようだが。 老将軍のオセロゲーム 決定的に不思議な事が起こるわけではないが、とても不思議な気分にさせる。深く考えるうちに余計に意味が分からなくなる。まず、老人は「ぼく」が出まかせで言った古書が予め分かっていたのか。その値段を変えた理由はなんだったのだろうか。老人の意味不明な言動に微妙な違和感を感じる。 クロマグロとシロザケ 出だしはクロマグロとシロザケの行動範囲と生息地の説明で、また変な物語が始まるのかと覚悟をする。次のページから少しずつ主人公はマグロであることが分かり、その独特な世界観に引き込まれて行く。自分が人(他マグロ)よりでかいのは、親マグロの死体の塊を多く食べていたからだ、ということが分かると彼はショックを受け自己嫌悪に悩む。そんな彼がある時出会った異種のサケと恋に落ち、異種間のそれがとても自然で切なく、ラストで不意を突かれることになる。 愛するモノ同士その行為を成し遂げようとした純粋さに、心を強く打たれた。最後は悲しいや可哀想ではなくて、子供を作るという行為がこんなにも無垢な愛の形であるかということに、ただただ感動した。うかつにも、涙腺が崩壊した。 estas ahí? そこにいるの? 短いが未来とか希望とか笑いとか、なにかちょっと気持ちが良い。少しだけ感傷的になっても明日を思うと悲しくは無い。日常に潜むメランコリー。 クリスマス追跡 クリスマスのエッセイ。 特に書き留めたいこと無し。 クラブ化する日本 うーん、途中まで信じてしまった。それから飛ばし読み。昔に実際にあったような外人の可笑しい勘違いエッセイ。 うつぼかずらの夜 いしい氏の実際の体験記だと思うけど、青春時代の一幕のような物語。本当に飲むことが好きなんだな。 すごい虎 犬の主人公を中心に下町らしさを感じる。 その虎って、、 正直袋の神経衰弱 池袋の西口公園って一世風靡?した小説(ドラマ)のあそこじゃん、そう思いながら読んだ。池袋に田舎があったり妙な話だけど、そこには池袋に対する筆者の情が垣間見れる。 アメーバ横丁の女 不思議な街上野のアメ横だからこそのゾクゾクするような奇妙な物語。古典的な展開で現代の現実から昔の異次元に引き込まれるかんじ。その甘く無い不思議なアメがどんな味がするか食べてみたい。 もんすら様 おばあちゃんの描写が面白おかしい。巣鴨の街ショートエッセイ。 お面法廷 何がなんだか分からないかんじがどんどん大きくなり終わっていく。 天使はジェット気流に乗って ビニールのダッチワイフに、ここまで優しく感情を抱いたり色々想像できるのがすごい。新宿で終電を逃したのは、あの女学生さんと飲んだ日かな? 吾橋の下、イヌは流れる 大便をするときは涙を流す、、柴又の犬だ。 浅草はわたしの好きな場所。夜の店が閉店した中での散歩に惹かれる。飯の配給で変わったヤジが飛ばされるのが面白かった。 ところでこれは実際の体験記だったのか。先生のエピソードに溢れていて、最後もなにかあったかくなるお話だった。川のエピソードがとても深い。二番目に好きな作品。 二月二十日 産卵 東京を鳥(カラス?)の目線で俯瞰して見る、ラストにふさわしいエピソードだ。話題はほとんど(生)ゴミなのに汚いと思わない。むしろ美しいと思えるのはなぜだろう。

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2018/11/17

いしいしんじが詰まった作品。 いしいしんじが上手につく嘘と本当を、たっぷり堪能できた。 さっきまで日常にいたのに、気がついたらフィクションの中にいる、みたいな不思議な感覚が味わえる一冊。 なんていうか、境目が滑らか。 個人的には巣鴨のおばあちゃんの話と先生の話がよかった。 おば...

いしいしんじが詰まった作品。 いしいしんじが上手につく嘘と本当を、たっぷり堪能できた。 さっきまで日常にいたのに、気がついたらフィクションの中にいる、みたいな不思議な感覚が味わえる一冊。 なんていうか、境目が滑らか。 個人的には巣鴨のおばあちゃんの話と先生の話がよかった。 おばあさんの群れを「濃密なブラウン運動」と表現したのが笑った。 「人生の入り口と出口において、人間の風貌はユニセックス化するのだ。」も、なるほど。 先生のおでんの話や、「川はそこにある。水は流れていく。そして、すべての水は、合流する。いや、合流する以前から、ひとつの流れとして、すべての流れがある。」 なんだか錬金術みたいだなーと思った。 ぶらんこのりの、指の音もでてきて嬉しい。 でも正直、読むのに時間がかかった。笑

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2017/04/02

いしいしんじさんの小説を読んでいると、いしいさんって普段はどんな人なんだろう?といつも気になる。普通の人は気にしないようなことを面白おかしく書かれていて普段も楽しい人なんだろうなと思う。

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2016/03/31

村上春樹の『東京奇譚』とセットで読みたい「東京小説」集。 ちょっと怖い話もあり、不思議な話もあり。 クロマグロの一人称視点で、シラサケとの種を越えた恋が語られたかと思えば、「池袋」の町が擬人化された池袋くんが、池袋の町で酔いつぶれるとか、なにか頭の中が捩じれていくような不思議な感...

村上春樹の『東京奇譚』とセットで読みたい「東京小説」集。 ちょっと怖い話もあり、不思議な話もあり。 クロマグロの一人称視点で、シラサケとの種を越えた恋が語られたかと思えば、「池袋」の町が擬人化された池袋くんが、池袋の町で酔いつぶれるとか、なにか頭の中が捩じれていくような不思議な感覚。 毛皮に落書きをされた、情けない老犬が、柴又の章にもほかの章にも出ていた。 「ぶらんこ乗り」でもそういう話が出ていたっけ。 野良犬やホームレスの人々など、町と一体化して生きる存在が登場する。捨てられたダッチワイフも。 恥ずかしながら、私は実生活でそういう存在に対し、見て見ないふりをしてしまう。 彼ら、彼女らは間違いなく町の一部。 実にいろいろな関係の取り方があるんだなあ、と思う。 どれだけ懐の広い人なんだろう。

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2016/01/31

1話目のシュールさに若干引いて、読むの止めようかと思ったのですが、読み切りました。 中には心地よい感動をくれる話もあったけど、気持ち悪いという印象の方が強く残ったかな・・・

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2015/12/12

凄い。 現実から非現実へとひょいと飛び越えていく物語が沢山ある短編集です。 あまりに自然に、唐突に非現実的な世界観が始まるので、逆に自然にすっと頭に入ってきます。 きっと、作者は現実のちょっとした風景から、 一気に想像力を膨らませるのだろうなぁ。 とても、面白い小説でした。

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2014/11/23

読み始めは ん?んん?となるけども 次の場所へ移るごとにじわじわきます。 一番のお気に入りは銀座。 大阪版も書いてほしい!

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2014/08/04

解説にもあったように、いしいさんは本当にあらゆる境界線をふらふら行ったり来たりしている人なのだなぁということがよくわかる一冊。 色んなことがらは、紙一重なんだな。 そう、改めて思うのだ。 生と死とか、正と誤とか、光と闇とか。 ぶらんこ乗りの時もこんな感想を抱いた気がする。

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