千年樹 の商品レビュー
自分が人の名前を覚えながら読むのが苦手なので、この人は以前にも?と考えながらでした。 いわくつきというか、おどろおどろしい樹だと思わされました。 個人的には、梢の呼ぶ声、の最後がびっくりでした。
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東下りの国司が襲われ、妻子と山中を逃げる。そこへ、くすの実が落ちてきて……ここから始まる8つの連作短編集。 いじめに遭う中学生の雅也。 木の下にタイムカプセルを埋めようとしてガラス瓶を見つける園児たち。 若くして遊郭に売られた娘、きよが好きになった男との顛末。 城勤めの台所組であ...
東下りの国司が襲われ、妻子と山中を逃げる。そこへ、くすの実が落ちてきて……ここから始まる8つの連作短編集。 いじめに遭う中学生の雅也。 木の下にタイムカプセルを埋めようとしてガラス瓶を見つける園児たち。 若くして遊郭に売られた娘、きよが好きになった男との顛末。 城勤めの台所組でありながら、切腹を迫られる武士の忠乃介。 産まれた子供が女の子だったからと、舅や姑からなじられるトミ。 祖母が戦時中に受け取った手紙を見つけた孫娘。 どの短編も、現代と昔を行き来する2つのエピソードで語られます。いつの時代も、大きな大きな、樹齢千年と言われるくすの木は、ただそこにあり、寿命の短い人間のささやかな人生を見つめています。 特に昔の時代のものは、辛く悲しいお話が多かったなぁ。 こんな時代に生まれていたら辛いなぁ…と思いつつ…もし、生まれ変わりというものがあるのなら、忘れているだけで、自分もその時代にいたのかもしれない?そんな風にも感じます。 何か解決や結論があるというのではなく、ただただ交錯してゆく人々の、長い長い時代を超えたお話たちでした。 植物に比べたら、こんなに短いちっぽけな私たちの人生…でも、必死なのになぁ…なんて思いました。 私としては「バァバの石段」が、荻原さんらしいホッコリ感があり、ちょっと自分のなかではホッとして涙が出ました。
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千年の寿命を持つクスノキと人をめぐる8章の連作短編集。 1章それぞれの話の中に過去と現在、時代を超えて交錯する2つの話があるので、1冊で16話を読んだよう。 千年前クスノキ誕生の物語から、昔の人たちの話、クスノキの傍らのことり幼稚園の園児たちの話、その園児の成長した話と、話は次々...
千年の寿命を持つクスノキと人をめぐる8章の連作短編集。 1章それぞれの話の中に過去と現在、時代を超えて交錯する2つの話があるので、1冊で16話を読んだよう。 千年前クスノキ誕生の物語から、昔の人たちの話、クスノキの傍らのことり幼稚園の園児たちの話、その園児の成長した話と、話は次々繋がっていく。 変わらない千年樹と変わっていく人の営み。けれど昔も今も人の心は変わらない。 怖い話も、哀しい話、厳しい話が多かったが、千年を生きるクスノキからしたら、人の喜びも哀しみも業も禍も一瞬の出来事だろう。 クスノキが導いた訳ではないのに、人は千年樹に引き付けられるように、物語は形を変えて繰り返される。 それもクスノキの誕生の因果がその後の物語を導く力を持ってしまったのか。 余りにつらい話を淡々と描いたのは、クスノキの目線だったのだろうか。 つらい読後感なのに、なぜか心に残る。
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そのくすの木はいつもじっと見下ろしていた。 千年もの間、くすの木の下に集まってくる人々をただ静かに見守る。 数多ある時代を越えても、そのくすの木だけは変わらずに。 大きく枝を広げて悩める人々を抱きかかえるように。 世の無情と人々の悲痛な叫びを飲み込むかのように。 黒くて丸い小さなくすの実は、鳥によって新たな土地にもたらされ新たな歴史を刻むのだろう。 これからもきっと。 ちょっとぞわりとなりつつ、時代を越えた人々の巡り合わせを切なく思う連作短編集だった。 特に『バァバの石段』が好き。 かえるの王子様とのロマンスがとても素敵。 「女学生の恋に焦がれる恋ではなく、いまの時代、どれだけ続くかわからないけれど、一緒に人生を歩むための恋」 昭子バァバの秘密の恋文にキュンとなった。
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人間の世をずっと見つめ続けてきた、大きなくすのき。 そのまわりで、いろんな時代の人たちのエピソードが交錯する。 小さな種から芽を出し千年もそびえ立ち続け、枯れてもまた、小さな種から再生する樹の前では、たかだか数十年の人間の人生も、ほんのひとときなのだろう。 各話が少しずつ繋がって...
人間の世をずっと見つめ続けてきた、大きなくすのき。 そのまわりで、いろんな時代の人たちのエピソードが交錯する。 小さな種から芽を出し千年もそびえ立ち続け、枯れてもまた、小さな種から再生する樹の前では、たかだか数十年の人間の人生も、ほんのひとときなのだろう。 各話が少しずつ繋がっていて、先を読みたくてどんどんページを繰ってしまった。
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怖いミステリー好きには、ピピピッとくると思います。 大雑把なストーリーは 1000年ほど前、 地方の統治に派遣された都人。 部下の地方武士に、計られ親子三人の逃亡。 浅子季兼の郎党にかかとの腱を切られた公惟、 幼子をおぶい、妻と5日も野山を逃げる。 都育の3人に食物をとるすべもなく、 妻はいつしか狂い、公惟も、土を掘り、地面に這い、 木の実やら、名も知らぬ草やら口に運ぶも 命が尽きる。 残された幼子は出ない母の乳を吸い、 父親の口からこぼれた木の実を食べるが やはり命が尽きる。 こぼれ落ちた木の実から育ったのが巨木のクスノキ。 そのクスノキに、呼ばれるように各時代の 傷ついた魂が吸い寄せられる。 時に哀しく、時に暴力的な事件の数々。 数え切れない事件と事件が時空を超えて一つの点に。 不思議で怖い作品です。
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いくつもの短編の中に同じ人物が何人も出てくるのでページを前後しつつ読み進めました。私にとってはホラー小説。後味も悪かった。でも引き込まれて一気読みです。
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たまにはいつも読んでいない人の作品も読もう、 と思って借りたが、 三人称なのか一人称なのかよくわからない書き方が気になり、 また、よくある登場人物にも、中途半端なファンタジーにも共感が持てず、残念な結果に…。
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さびれた神社の境内にそびえ立つ樹齢1000年といわれる1本のくすの木。ある意味、この木が主人公です。 この木の周りで起こった出来事の短編。1つの短編に2つの時代の話が交互に進行し、そして、すべての短編がリンクしてます。 「ことりの木」と呼ばれている木。「ことり」は可愛らしい小鳥...
さびれた神社の境内にそびえ立つ樹齢1000年といわれる1本のくすの木。ある意味、この木が主人公です。 この木の周りで起こった出来事の短編。1つの短編に2つの時代の話が交互に進行し、そして、すべての短編がリンクしてます。 「ことりの木」と呼ばれている木。「ことり」は可愛らしい小鳥ではなく子盗りのこと。ご神木という荘厳なイメージはなく、物語全体に不気味さが漂っています。 人間より遥かに永く生きてきた樹が見てきた人間の営みは愚かで、残酷で、人間なんて卑小な存在なんだと感じさせます。後味がよくない悲劇が多かったです。
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謀反にあい、追われた国司の親子が森をさまよう冒頭が秀逸。このままの流れで長編を期待したが、本作は巨樹を巡る短編集。著者は話を綺麗にまとめるのが上手だが、それだけでなく普通の人々の人物造形が魅力的。短編だと本来の味より「綺麗」のほうが勝ってしまう。 ホラーチックな後味の「郭公の巣」...
謀反にあい、追われた国司の親子が森をさまよう冒頭が秀逸。このままの流れで長編を期待したが、本作は巨樹を巡る短編集。著者は話を綺麗にまとめるのが上手だが、それだけでなく普通の人々の人物造形が魅力的。短編だと本来の味より「綺麗」のほうが勝ってしまう。 ホラーチックな後味の「郭公の巣」が好き。
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