第九軍団のワシ の商品レビュー
ローマ帝国がブリテン島(イギリス)を支配していた時代。 ブリテンに百人隊長として赴任した青年マーカス・アクイラ。 かって父親が所属した第九軍団が消息を絶っていた事も気にかかり、出来るなら謎を解明し、名誉を回復したいと願っていた。 が、暴動を鎮圧する際に脚に大けがをして軍人としての...
ローマ帝国がブリテン島(イギリス)を支配していた時代。 ブリテンに百人隊長として赴任した青年マーカス・アクイラ。 かって父親が所属した第九軍団が消息を絶っていた事も気にかかり、出来るなら謎を解明し、名誉を回復したいと願っていた。 が、暴動を鎮圧する際に脚に大けがをして軍人としての生命を絶たれてしまう。 元軍人でブリテンに住み着いた叔父のもとで、療養生活を送ることに。 闘技場でエスカという奴隷が試合で殺されかかっていたとき、親指を上に上げて助命を主張する。 慈悲をかけられた後は試合しても人気が出ないので、奴隷として譲り受ける。 ローマに反乱を起こして一家を殺されたエスカ。 どことなく通じ合う物があり、しだいに身分の壁を越えた友情が培われていく。 奴隷身分から解放した後も、従者に。 第九軍団の旗印であるワシが、北方の部族の神殿にまつられているという噂を聞く。 旅回りの目医者にばけることを思い立ち、エスカと共に旅立つことに。 ハドリアヌス城壁を越えれば、そこはローマの力の及ばない土地。情報を集めながら、ゆっくり地方を回って、ついに‥ 懐いた狼の子が待ちわびているのがずっと気になっていました。 再会できて、良かった~! 若々しさと共に、悠揚迫らざる風格。 ドラマチックな緊迫感だけでなく、詩情があり、すばらしい作品です。
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歴史は俯瞰で観る視点が大切だが、より主観的で個人的な視点を知るとさらに面白くなる。 最近、塩野七生の『ローマ人の物語』を読んでいて、別の視点からローマを見てみたいと思い、この本を選んだ。 フィクションではあるが、「紀元前117年頃に突如消息を絶った第九軍団」と「翼のないローマ軍...
歴史は俯瞰で観る視点が大切だが、より主観的で個人的な視点を知るとさらに面白くなる。 最近、塩野七生の『ローマ人の物語』を読んでいて、別の視点からローマを見てみたいと思い、この本を選んだ。 フィクションではあるが、「紀元前117年頃に突如消息を絶った第九軍団」と「翼のないローマ軍の鷲」という二つの事実が元になっているという。 舞台は、ローマ帝国時代のブリテン(イギリス)、心身に大きな傷を受け絶望に打ちひしがれる青年マーカスが失われた鷲を求め旅立つ物語。 児童文学とジャンル分けされている割に、渋い内容。イギリスの子供はこういう本を読んで育つのかと思うと、少し驚きだ。 ローマ軍人、奴隷、氏族、当時の様々な人々の視点を見ることができ、また知識欲が湧いてきた。
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友情や冒険といった児童書の王道をいく筋立てを、しっかりした時代考証でまとめた作品。さすがはサトクリフ。ローマ時代の辺境、ブリテン島がいきいきと甦る。
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この本は15年位前、一度途中まで(というよりは最初の方)を読みかけたのです。 でも、当時の KiKi は「落ちこぼれながらも会計人」として、かなりお仕事に邁進していた時期で、深夜残業・休日出勤は当たり前という生活をしており、そんな中で夜中に眠い目をこすりながら読書をするのは睡魔...
この本は15年位前、一度途中まで(というよりは最初の方)を読みかけたのです。 でも、当時の KiKi は「落ちこぼれながらも会計人」として、かなりお仕事に邁進していた時期で、深夜残業・休日出勤は当たり前という生活をしており、そんな中で夜中に眠い目をこすりながら読書をするのは睡魔との闘いという側面もあったのです。 で、冒頭部分ではちょっと物語に乗り切れないものを感じ、結果、常に睡魔には負けてしまい読み通すことができない・・・・・ということを数回繰り返し、読了するのを諦めたという前科がありました。 今回は睡魔との闘いはないし、サトクリフ作品に嵌り始めているという自覚も手伝って、何とか冒頭のダラケを乗り切り、後はマーカス & エスカとあたかも共に冒険しているような気分のままラストまで突っ走ることができました。 北イングランドからスコットランドにかけての、どことなく荒涼とした、そして厳しい自然の中の描写が思わずため息をついちゃうほど美しく、そんな厳しい自然の中で生きる人たちの鍛え上げられた自尊心には心を打たれ、征服するもの vs. 征服に抗うものの関係性も克明に描かれた素晴らしい作品だと思いました。 うん、できればこの作品は中学生のころに読みたかったなぁ・・・・。 そう考えると KiKi が中学生だった頃の岩波少年文庫のラインナップにこの作品が含まれていたかどうかは定かじゃないんだけど、「岩波少年文庫 ≒ 小学生のための読み物」と勝手に決めつけていた自分が情けなくなります。 (全文はブログにて)
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ジブリの宮崎駿監督が勧めていたので買ってみた。 名前だけ知ってアマゾンで注文したのだが少し読んでみて驚いた。 これはローマ帝国時代の話ではないか。 私は勝手にドイツ第三帝国の話かと思いこんでいた。 ジャック ヒギンズの「鷲は舞い降りた」 http://amzn.to/9qEe...
ジブリの宮崎駿監督が勧めていたので買ってみた。 名前だけ知ってアマゾンで注文したのだが少し読んでみて驚いた。 これはローマ帝国時代の話ではないか。 私は勝手にドイツ第三帝国の話かと思いこんでいた。 ジャック ヒギンズの「鷲は舞い降りた」 http://amzn.to/9qEet7 と混同していたのだ。 だから最初はなんでローマ時代から始まるんだろう、 いつになったら戦前のドイツの話になって戦争が始まるんだろう、 と思っていたのだけれどずっとそのままローマの話のまま 私は話の中にのめり込んでしまって昼も夜も無く 一日で読み通してしまった。 自然に溢れた北ブリテンが目に迫ってくるようだった。 草の匂いが、穏やかな風が、雨の音が聴こえるようだった。 子供のうちにこの本に触れることが出来た人は誉なり。 大人になってから出会えた人は幸福なり。 児童小説とは思えないしっかりした厚みのある物語である。 一人の青年の成長の物語である。 海外版時代小説を読む楽しみもある。 あらゆる楽しみ方を許してくれる度量の深い本。 少年少女だけのためではもったいない! この本に触れる機会のあった人はすべからく手に取って、読んでみてほしい。
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これぞ骨のある児童文学。大人が読んでも十二分に楽しめます。 指輪物語と同時期に出版されているようです。
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ローマ帝国の支配下にあるブリテン島の話です。 こういうのってどうーしても私はローマ人よりブリトン人に親密さを覚えるので、マーカスに感情移入できなくて読み進める途中途中で逐一無駄な葛藤があり、ほんとにくたびれました(笑)。 それはそれとして、奴隷の、というか人間の尊厳についてだとか...
ローマ帝国の支配下にあるブリテン島の話です。 こういうのってどうーしても私はローマ人よりブリトン人に親密さを覚えるので、マーカスに感情移入できなくて読み進める途中途中で逐一無駄な葛藤があり、ほんとにくたびれました(笑)。 それはそれとして、奴隷の、というか人間の尊厳についてだとか、マーカスが散々苦労した旅で結局得ることの叶わなかった名誉とか、深い内容がシンプルな文章の中にてんこ盛りです。 『ワシ』奪還の話をしに行く前にマーカスがエスカに言うセリフがいいです。 自由になった意味は、たとえ傷があってもそれを気にしないで暮らすことだよ。ていうような感じ。無理矢理過ぎるまとめ方ですけど(笑)。 怪我で満足に動かなくなった足と、奴隷として扱われた記憶とを同列に話すのはそれは違うだろう、とは思うのですが、それでもいいセリフだなあと思います。
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12年前、第九軍団のワシとともに消えた父の痕跡を訪ねて旅をするマーカスとエスカ。人生最初の挫折、ブリトンの美しい自然、旅人たちのもてなし、友を持つということ。人生に必要なこと、だいたい書いてあるのかも。
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