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知識人の時代 の商品レビュー

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2012/06/15

文学と政治をテーマに第三共和政から、ヴィシー政権を経つつ、戦後に至るまでのフランス史を語る一大絵巻。各世代の中心的知識人としてバレス、ジッド、サルトルを挙げるが、ここに忘れられた右翼作家モーリス・バレスを入れたのが本書の味噌。他にもかなり大勢の作家や思想家たちが登場し、歴史書・文...

文学と政治をテーマに第三共和政から、ヴィシー政権を経つつ、戦後に至るまでのフランス史を語る一大絵巻。各世代の中心的知識人としてバレス、ジッド、サルトルを挙げるが、ここに忘れられた右翼作家モーリス・バレスを入れたのが本書の味噌。他にもかなり大勢の作家や思想家たちが登場し、歴史書・文学研究書としてはもちろん、大河小説としても楽しく読める。特に、右でいながら左寄り、左でいながら右寄り、あるいはわざと時局や党派に逆らうKY発言をした作家たちにスポットを当てているのが面白く、例を挙げれば、「知識人の裏切り」を批判したジュリアン・バンダ、遠いブラジルからアクション・フランセーズを批判したジョルジュ・ベルナノス、ソビエト訪問の後公然とスターリンを批判したアンドレ・ジッドなどである。戦後のサルトル登場のコンテクストが本書を読むと凄くよく理解でき、これまた目から鱗である。流行り廃り関係なくこういうテーマの研究書はもっと翻訳されて然るべき。

Posted byブクログ