父さんの銃 の商品レビュー
著者は亡命したクルド人映画監督で、本書は自伝的要素が強いとされる。時代の波に翻弄されるクルド人社会を、少年の目線で描いた小説。 シリア・トルコ・イラン・イラクの4国に土地を切り刻まれ、著者の一族も百年の間に、オスマントルコ、トルコ、イギリス、イラクという4つの支配者の移り変わりを...
著者は亡命したクルド人映画監督で、本書は自伝的要素が強いとされる。時代の波に翻弄されるクルド人社会を、少年の目線で描いた小説。 シリア・トルコ・イラン・イラクの4国に土地を切り刻まれ、著者の一族も百年の間に、オスマントルコ、トルコ、イギリス、イラクという4つの支配者の移り変わりを見る。 本書はそれら苛烈な歴史を、少年の眼という装置をかますことにより、政治史的叙述になることなく、温もりをもった人間の物語として描いている。 よい作品に出会うことが出来た。かれら民族の安息の日を願わずにいられない。
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クルド人である作者がいかに少年時代を過ごしたか、を振り返った自伝に近い小説。 アラブ系イラク人が勢力を増す中、大変な時代を過ごしたのに、ユーモアも交えて書かれている。読みやすいけれど、やはり思い現実。大国の都合で国を4つに分断され、国を失ったクルド人。トルコに虐殺されたアルメニア...
クルド人である作者がいかに少年時代を過ごしたか、を振り返った自伝に近い小説。 アラブ系イラク人が勢力を増す中、大変な時代を過ごしたのに、ユーモアも交えて書かれている。読みやすいけれど、やはり思い現実。大国の都合で国を4つに分断され、国を失ったクルド人。トルコに虐殺されたアルメニア人や、古くから差別され続けているユダヤ人にも通じる。
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クルド人というと、どうしてもゲリラ活動、テロ組織という面でとらわれがちだが、その背景を知ることはあまりなかった。ユダヤ人のイスラエル問題にも似て、祖国をなくした民族の永遠と続く闘争に巻き込まれる少年の物語。映画監督である著者の政治的ではなく、子供の目から見たクルド問題を描きたかっ...
クルド人というと、どうしてもゲリラ活動、テロ組織という面でとらわれがちだが、その背景を知ることはあまりなかった。ユダヤ人のイスラエル問題にも似て、祖国をなくした民族の永遠と続く闘争に巻き込まれる少年の物語。映画監督である著者の政治的ではなく、子供の目から見たクルド問題を描きたかった。という意図は十二分に表現されていると思う。
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