サイード自身が語るサイード の商品レビュー
エドワード・サイードに関心を持ち、『オリエンタリズム』を読むのと同時にこの本にも手を伸ばしてみた。サイードの思考の性格は二面性/矛盾をはらんでいると思った。確かに彼は状況に果敢に物申してきた「戦う知識人」だったが、同時に簡単な整理に収斂されることのない極めて繊細な理論を編み出した...
エドワード・サイードに関心を持ち、『オリエンタリズム』を読むのと同時にこの本にも手を伸ばしてみた。サイードの思考の性格は二面性/矛盾をはらんでいると思った。確かに彼は状況に果敢に物申してきた「戦う知識人」だったが、同時に簡単な整理に収斂されることのない極めて繊細な理論を編み出した人でもあった(その産物として私たちは例えば『オリエンタリズム』を、粗暴なイスラム擁護や西洋批判としてレッテル貼りできない書物として受け取ることとなる)。サイードが読まれるべきなのは、むしろ「これから」なのかなという予感が感じられる
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サイードについては、昔、「オリエンタリズム」を読んで、その社会と文学を読む目の鋭さに驚き、その後、パレスチナ問題に関する政治的なエッセイや政治活動へのコミットメントに、現代における行動する知識人のあり方を見て、尊敬し、自伝の「遠い場所の記憶」での、プルースト的な回想と「どこにも属...
サイードについては、昔、「オリエンタリズム」を読んで、その社会と文学を読む目の鋭さに驚き、その後、パレスチナ問題に関する政治的なエッセイや政治活動へのコミットメントに、現代における行動する知識人のあり方を見て、尊敬し、自伝の「遠い場所の記憶」での、プルースト的な回想と「どこにも属さない」ことへの覚悟に共感した。 ということで、サイードは、ものすごく、多面的な、複雑な人で、この専門化が進む今の社会のなかで、奇跡的にルネサンス的人文主義を体現した人なんじゃないかなー。 ということが、改めて、実感できるインタビュー。 サイードと言う人は、その活動の広さと政治性から、意図的にせよ、無理解からにせよ、ものすごく誤解されやすい人なのだが、ここでは、実に、平易に、分かりやすく、ストレートに、リラックスして、「人とその思想」が語られている。 自身によるサイード入門というところである。 が、この本がほんとうにサイードを読む1冊目で良いのかどうかは、分からない。つまり、サイードのストレートであれ、間接的であれ、政治的な熱を含んだ文章を読んだ後に、この本を読んだほうが、イメージのギャップみたいなのがあって、面白いのではないか、と思った。 つまり、サイードに興味のない人が読んで、面白い本か、というと、リラックスしていて、分かりやすい分、物足りなさも残る、かなと。 いずれにせよ、こういうルネサンス的な知識人は、そして、体制に対して批判を続ける知識人は、もうそんなに出てこないだろうなー、と思う。 そして、サイードという人を生んだのは、パレスチナというまさにポストコロニアルな状況で、しかも、「どこにも属さない」不思議な家庭環境であることを考えると、ますます、彼のような人文主義的知識人が、通常の体制のなかからが出てこない事の証明になっているような気もした。
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この人の言い分、思想をきちんと読み解くには、パレスチナにかんする議論や、それを含めた、サイードの人生背景を十分知っておくことが不可欠なのだろう。 逆に言えば、それらをわからずに、なんとなくサイードに同調したりするようでは、実の所表面的なのだろうな。
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「サイードに関する入門書」という触れ書きを見たので読んでみたのだが、初めて読むサイードに関する本としては物足りないと感じた。 サイードはなかなかに挑発的な人なので、彼の断言するような語りの根拠となるものを他の著作などを読んで知っていないと、この本の内容が入ってきづらいと思う。 ...
「サイードに関する入門書」という触れ書きを見たので読んでみたのだが、初めて読むサイードに関する本としては物足りないと感じた。 サイードはなかなかに挑発的な人なので、彼の断言するような語りの根拠となるものを他の著作などを読んで知っていないと、この本の内容が入ってきづらいと思う。 ただ、高校時代に世界史で習ったイスラエルとパレスチナの状況とは異なる視点での意見を知ることができたのは面白かった。また、サイードのアイデンティティに対する考え方は非常に興味深かった。
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サイード、衝撃的。もっと早く知っておくべきだった。オリエンタリズムを読める情報量に私が追いつくまで一体どれ位の時間がいるんだ~!知識人は凡人を待ってくれない。
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生い立ち、音楽、文学研究、パレスチナなど、様々なことに関して、インタビュー形式でサイード自身がサイードを語る。
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‘「オリエンタリズム」という用語の意味を、「東洋趣味」から「西洋による非西洋の一元的表象と言語操作」へと様変わりさせた’エドワード・サイードの入門となる本。対談を活字化しており、内容が非常に平易。読みやすいばかりでなく、サイードの言葉がそのまま収められているので、歪みがない。ただ...
‘「オリエンタリズム」という用語の意味を、「東洋趣味」から「西洋による非西洋の一元的表象と言語操作」へと様変わりさせた’エドワード・サイードの入門となる本。対談を活字化しており、内容が非常に平易。読みやすいばかりでなく、サイードの言葉がそのまま収められているので、歪みがない。ただし物足りない。その物足りなさが次のサイードの著書へ向かうエネルギーになるに違いない。かなり、おすすめ。
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