未亡人家庭教師と未亡人兄嫁 の商品レビュー
シンプルに要点をしっかり押さえた良作
別の弓月作品に対してストーリー展開の唐突さやヒロインが誘惑に至る動機の弱さなどで苦言を呈したことがあるが、それへの回答のような抜群の内容である。脱帽です。未亡人となった兄嫁への長年の想いと、いつしか義弟の主人公を男として意識していた兄嫁の想いが交錯、きちんと兄嫁からストレートに主...
別の弓月作品に対してストーリー展開の唐突さやヒロインが誘惑に至る動機の弱さなどで苦言を呈したことがあるが、それへの回答のような抜群の内容である。脱帽です。未亡人となった兄嫁への長年の想いと、いつしか義弟の主人公を男として意識していた兄嫁の想いが交錯、きちんと兄嫁からストレートに主人公を誘惑する基本に忠実な演出で始まる。当初は困惑と葛藤があったものの、主人公を想う気持ちに正直になる覚悟を決め、積極的に振る舞い始める兄嫁との蜜月の最中に隣の未亡人との関係も始まる。これまた王道展開なのだが、かつて家庭教師として主人公の高校入学に貢献した隣の未亡人は、親の取り決めで結婚する以前より主人公に好意を寄せていたことを告白、これからは自分の意志で生きることを決意して主人公を誘惑したのである。この2人のヒロインの、立場と境遇こそ違えど、主人公を想う気持ちに嘘偽り無く、深い深い愛情で主人公に迫る姿に好感が持てる。また、その想いが双方相譲らず甲乙付けがたい真摯なものだからこそ主人公も悩む。己の下半身はともかく気持ちだけは誠実であろうとする主人公もイイ奴なのである。隣の未亡人との関係に気付いた兄嫁が嫉妬心を押し殺して主人公と交わる野外のシーンが印象的。大人の対応を心掛けながらもついつい隣の未亡人と自分とを比べ、自分を選んでくれたと素直に喜ぶ姿が可愛い。対抗意識からか大胆に振る舞ういやらしいシーンである。そして主人公はある決意を固めるのだが事態は思わぬ方向へ。弓月作品には珍しくハッピーハーレムエンドを迎えるのである。あれだけ頑張ったヒロイン達なのだからこの結末でないと可哀想である。すっきり収まって読後感も申し分無しの良い作品である。
DSK
- 1