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白い黒人 の商品レビュー

3.7

7件のお客様レビュー

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2022/06/14

今から100年位前の話。ハーレムが文化交流場として機能していて、KKKとかなくて、むしろ白人が人身売買してたことに負い目を感じている時代。性処理としても奴隷を利用していて、とにかく混血児が多かったんだって。パッシンングがテーマで、黒人という生まれ持った人種を捨て、白人としての恩恵...

今から100年位前の話。ハーレムが文化交流場として機能していて、KKKとかなくて、むしろ白人が人身売買してたことに負い目を感じている時代。性処理としても奴隷を利用していて、とにかく混血児が多かったんだって。パッシンングがテーマで、黒人という生まれ持った人種を捨て、白人としての恩恵を受けながら生きること。当然黒人として誇りを持って黒人と結婚している女性も主人公の一人なんだが、この人も決して善人として描かれない。自分はほぼ白人に見えるため白人として生活しているから、自分の子供に黒人の教育をしない。この先に先祖返りで肌の色の濃い子供が生まれてくることを気にしながら結婚をしなくてはならないのだ。 なんかすっごい心理的サスペンス要素が強い作品であった。

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2022/01/26
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まずPASSINGを知らなかったので「白い黒人」という題名はわかり易かった。今もこの感覚は残っているのだろうか?  クレアとアイリーンはダメ男と貢ぐ女の関係に似ている。断ち切れない何かが幸せを遠ざけているし、そこに人種も絡んで終始緊張感が漂うので独特で印象深い。作者が3作目の盗作疑惑で筆を折ったのは残念。広く読まれてほしい本。

Posted byブクログ

2020/07/09

興味深く読んだ。 ただ、「白い黒人」のイメージがうまくできなくて、何となく消化不良感はあるかな。 映画とか、ドラマならもっと描かれている世界が掴みやすかったと思う。 ドラマとかでも、たまに題材になっているけれど、本で読んだのは初めて。

Posted byブクログ

2015/02/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

感想ツイートのまとめです。とりとめなどない ・パッシング(白人と婚姻関係を結ぶ混血児)のクレアがレイシストの夫を黒人として過ごした子供時代の友達アイリーンに紹介する行為の迸るメンヘラぶりがたまらなかった。アイリーン達は「…なぜ我々はこんな不愉快な時間を過ごさねばならなかったのか?」と訝しがりながら帰る ・クレア「お帰りなさいあなた」夫「ただいま、ニッグ(ニガーの略称)」クレア「なぜあなたが私をそう呼ぶか皆に話してあげて?」夫「ああ、それというのも彼女は出会った頃はとても色白だったのにこの頃日焼けしてきてね。このままじゃクロンボになっちまうぞって僕いつも言ってるんですよ、ハハ」 ・アイリーン(※混血なので一見白人にしか見えない)「……おほほ、面白いこと!(??)」 ・アイリーン「ご主人は黒人についてどういうスタンスでいらっしゃるの?」夫「僕は彼らを憎んでいますね。彼らはこの世の悪の体現者ですよ!もっとも僕の生活圏に黒人はいませんが、新聞を見てれば充分でしょう。奴らの犯罪率ときたら!」アイリーン「(笑いをこらえるのに苦労する)」 ・Wikipediaにも項目があった。 http://en.m.wikipedia.org/wiki/Passing_(novel) ニュー・二グロとかハーレム・ルネッサンスと呼ばれる20年代アメリカの文化的潮流の一環として書かれた作品、らしい ・「同性のメンヘラにタゲられたときはまず自分の配偶者が寝取られるから気をつけろ」って教科書に載せるべきだと思う。あとどっちかというと人種というより階級格差が題材だと思う ・白人の夫を持つ幼馴染(極貧の子供時代を過ごした。超美人)が、たまたま再会した自分(黒人のエリート家系同士で結婚。旦那は医者)に粘着して成り代わろうとしてきてこえーよ!うっかりしてたら旦那寝取られたよ!やべー!っていう話。登場人物に自覚はないけど一種の百合小説でもある ・最初「うはは、メンヘラこえー」って読んでるんだけど途中でアイリーンが彼女の夫と口論するあたりで「おっ?」となってくる。アイリーン、親が教えなきゃ誰が11歳の息子にセックスやレイシズムによるリンチのことを教えるんだい。ここはニューヨークのハーレムなんだよ? ・ネタバレしちゃうと結局クレアの夫(レイシストの白人)は自分の妻が黒人だったことに気づいちゃって、ハーレムの黒人たちのパーティに押しかけてクレアを非難してクレアはその場で六階から身投げしちゃうんだけど、アイリーンの夫が普通に「クレアの夫が突き落とした」って供述したので最高でした ・クレアにはスイスの寄宿学校で教育を受けているローティーンの娘がいたのだが、母親が黒人で父親が殺人者という地獄にいきなり叩き込まれるその娘のこととか1ミリも考えていない魅力的な供述だと思うし男と女の間にある深くて暗い河を感じる

Posted byブクログ

2012/08/25

日本という島国に生まれ育ち、日本人という人種の係累しか持たない日本人の私は、「人種」という定義がまるでわかっていない。 「パッシング」とか「血の一滴の規則」という言葉も初耳だった。 外国に行くとさまざまな人種の人がいる。別にそのことは当然のことように受け入れる。 外国にいると...

日本という島国に生まれ育ち、日本人という人種の係累しか持たない日本人の私は、「人種」という定義がまるでわかっていない。 「パッシング」とか「血の一滴の規則」という言葉も初耳だった。 外国に行くとさまざまな人種の人がいる。別にそのことは当然のことように受け入れる。 外国にいると自分が日本人だと感じる。日本人だと意識しないでいい自国から離れると日本人であることを思い出すのだろう。 白人と黒人の間に生まれた子は、単に認識として白人と黒人のハーフ(ダブル)だと思っていた。 クレオールという言葉があるが、植民地盛隆時代を終えた現在はピンとこない。 本書は、ネラ・ラーセンという1891年にアフリカ系アメリカ人とデンマーク人の間に生まれた女性作家の作品である。 「血の一滴の規則」というのは、一滴でも黒人の血が含まれていれば黒人として括られるというもので、そういう意味では、たとえば、クレオールのアレクサンドル・デュマは(父親のトマ=アレクサンドル・デュマは当時仏領だったハイチで農場主のフランス人公爵と現地の奴隷との間の子で、文豪デュマはクオーターである)フランス人であり黒人であったということのようだ。 デュマはこの書物に何の関係もないが、クオーターである彼は、黒人の特徴を備えた外見をしている。 白人との混血を繰り返し、黒人の血が混じっていても外見上、白人にしか見えない人たちが誕生する。 混血の黒人だということを隠し、白人社会で白人として振る舞い、白人として受け入れられることを「パッシング」というらしい。 「パッシング」が、本書『白い黒人』の原題である。 白人にしか見えない黒人女性二人が物語を構成してゆく。 ひとりは、パッシングして黒人への人種差別が強い金持ちの夫と結婚している女性。 もうひとりは、白人にしか見えなくとも自分を黒人だと意識し、その社会でありのままに生きている女性。 1920年代のアメリカでは人種差別が根強く、ハーレム・ルネッサンスという新しいうねりが芽生えても、白人の特権を享受して生きることは、白人から人種差別を受けて生きるよりも段違いに待遇がいいのだろう。 実業家で黒人に対する激しい人種差別主義者である夫を持つクレアは、白人のふりをして白人社会に生きていた。 ある日、10数年ぶりに幼馴染のアイリーンに会う。 アイリーンは、黒人で医師の夫との間にふたりの息子がおり、ひとりは肌の色が黒かった。 パッシングして白人社会に生きるクレアは、「本当のことを言う相手がいない」孤独に悩まされていた。 あるがままに生きているアイリーンにとって、クレアの生き方は受容しがたいものだったが、ふたりは交流を重ねていく。 短い時を経て、彼女たちの関係に終焉が訪れる。それはあまりにも唐突であったが、予期もできることだったかもしれない。 上にアレクサンドル・デュマのことを書いたのは、本書の作者のネラ・ラーセンの写真をサーチしてみると、黒人の特徴を捉えているという意味で、なんとなく類似していたからだ。 ネラ・ラーセンもデュマもパッシングするには、色が濃すぎる。 最もデュマが生きた時代は、ありのままに生きることしか出来なかっただろうが・・・・ ネラ・ラーセンの父親は死亡し、デンマーク人の母は、白人と再婚する。 要するにこの家族の中でネラ・ラーセンのみが黒人だったわけだ。父子の関係は良好でなかったらしい。 大学で科学を専攻したのち、看護学校に進み看護師の資格をとる。 本書は彼女の二作目の作品となるが、三作目の『Sanctuary』で盗作疑惑を持たれ、その疑惑は最終的には晴れたもののそれっきり筆を折ったという。 看護師を続け、1964年に死亡したらしいが、それ以後の詳しい略歴は書かれていない。

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2010/12/29

この作品は、黒人女性が白人と偽り生きること(passing)、そして黒人女性の同性愛(passing)の2つの点に重きをおき描かれている。 作者のネラ・ラーセンは1920年代にこの作品を執筆した事で、アフリカ系アメリカ人作家として先駆者的な存在となる。後のアリス・ウォーカーやト...

この作品は、黒人女性が白人と偽り生きること(passing)、そして黒人女性の同性愛(passing)の2つの点に重きをおき描かれている。 作者のネラ・ラーセンは1920年代にこの作品を執筆した事で、アフリカ系アメリカ人作家として先駆者的な存在となる。後のアリス・ウォーカーやトニ・モリスンに影響を与えたことでも有名である。 普通の黒人女性として生きる主人公アイリーンと、白い黒人として生きるクレア。 クレアのせいで自分の立場が悪くなってもなお、彼女が白い黒人だと打ち明けることに戸惑うアイリーン。同じ黒人女性として、簡単にできることではないのだろう。改めて人種問題の深さ、そして残虐さを実感した。 あぁー同じ人間なのになぁ。ページを捲るのに手が力んでしまった。

Posted byブクログ

2010/07/20

なんというか、エロティックだ(笑) パッシングとは一体?という疑問をちょいと解決してくれた。 しかし、とにかく、エロティックなのだ。

Posted byブクログ