思いわずらうことなく愉しく生きよ の商品レビュー
ここ最近長編を読めていなかったので、ひさしぶりにがっつり読んだな〜というかんじ。なにか納得のいく(収まりのよい)大団円があるわけでなく、物語の終わりでも登場人物たちの日常は脈々と続いていくけれど、時とともに変化を遂げていることも確かにある。だからこそ、一貫して変わらない砦のような...
ここ最近長編を読めていなかったので、ひさしぶりにがっつり読んだな〜というかんじ。なにか納得のいく(収まりのよい)大団円があるわけでなく、物語の終わりでも登場人物たちの日常は脈々と続いていくけれど、時とともに変化を遂げていることも確かにある。だからこそ、一貫して変わらない砦のようなものもみえてくる。思いわずらうことなく愉しく生きよ。いい家訓だなあ。 育ちゃんのいう「感情より意志に重きを置く」論、ちょっとわかる。 解説に三姉妹の誰に己を投影するか、という話があったが、最近のツイートを見返したところ怒りっぽいところだけ治ちゃん似かなと思った。
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この作品は途中まで読んでずっと積んでありました。 私は江國さんの詩と童話とエッセイは大好きなのですが、大人の恋愛小説がどうも苦手です。 でも、先日谷崎潤一郎の『細雪』を読んで四人姉妹の話なので、この作品も三人姉妹の話だったことを思い出し、共通点があるのかとか、江國さんのような人...
この作品は途中まで読んでずっと積んでありました。 私は江國さんの詩と童話とエッセイは大好きなのですが、大人の恋愛小説がどうも苦手です。 でも、先日谷崎潤一郎の『細雪』を読んで四人姉妹の話なので、この作品も三人姉妹の話だったことを思い出し、共通点があるのかとか、江國さんのような人気作家は谷崎の影響を受けるものなのかとか気になり、最初から読み直してみました。 犬山家の三姉妹は麻子36歳、治子34歳、育子29歳の三人です。 麻子は専業主婦で夫からDVを受けています。麻子と夫の邦一との関係は一種のお互いの愛情を確かめるための儀式のようなものの気がしました。とても哀しい儀式です。 治子は独身で性に奔放な男勝りの女性で、今は一人の男性熊木と一緒に仕事をバリバリこなしながら暮らしていますが、時々体だけは浮気をしています。 育子は自動車教習所の事務員で、高校生の時不特定多数のおじさん(50代)と友だちになる度に友情の証として関係を持ってしまう。そして望みは家庭をもつこと。とても心優しく天衣無縫な女の子というような女性です。 犬山家の家訓はこの作品のタイトルの「思いわずらうことなく愉しく生きよ」。仲のよい三姉妹ですが、両親は三人が成人してから離婚しています。 江國さんは特に谷崎を意識してこの作品を書いたわけではないと私は思いました。 仲はよくてもお互いの恋路に特に過干渉ではないです。三人それぞれの物語だと思いました。その三人がとても仲の良い、昔一緒に暮らした姉妹だった。そういう話だと思いました。 私はこの作品では、おじさんと友だちになる度に関係してしまう育子に、目が点になりそうでしたが、育子のその名の通り健やかな性格のためにそうなったのだと思うと育子のやることがまるで天使のようだと大変ほほえましく思えました。 治子は、意地を張らずに生きればよいのにと思いました。 麻子はこの先どうなるのかよくわかりませんが「思いわずらうことなく愉しく生きて」ほしいです。
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犬山家には家訓があった。 人はみないずれ死ぬのだから、そして、それがいつかはわからないのだから、思いわずらうことなく愉しく生きよ。 犬山家の3姉妹、麻子、治子、育子。父、母は離婚して、別々に暮らしている。 3姉妹ともに、それぞれ異なった性格。 麻子は結婚し、邦一と暮らすが、暴力をふるわれている。どんな仕打ちを受けても、また家庭に戻っていったが、最後は自分の足をフォークで刺して、戻らない決意になった。邦一の孤独がよくわかるものの、そこへ戻る麻子の気持ちはわからなかった。だから、最後は離れることができてよかったと思う。おかしな夫婦だったのだ。でも、DVを受けている夫婦は、こんなふうにお互いに共依存になっているのだろうと思った。 治子は、自由奔放。恋人の熊木が、パソコンを盗み見てしまった気持ちも少しわかる。疑いを捨てきれなかったから。でも、人生、見ない方がよいこともあるのだ。 熊木は、自分から治子から離れる。でも、戻れば戻れると思っていた。だが、実際は違った。治子は鍵も変え、もう熊木が戻ってこれないようにしていた。まだ、愛しているのに。 熊木は、元に戻すのではなく新しく会いたいとメールする。それを見た治子。双方が望めば、できないことではないと思う。でも、おなじことが起きるだろう。一緒に暮らして、結婚を求められて、拒絶する。また熊木はメールを見て、不快なものを見つける。見つからなくても、疑いは消えない。そして、治子はまた別の男と寝る。 きみとはこれ以上一緒にいても無駄だと思う。熊木が正解をとうに出している。メールを消去する治子。本当は戻りたいのに、ここまでして拒絶する治子が強いと思った。 育子もまた自由で、様々な男性と一緒に過ごす。最後は、決まった順序で進める正彰と一緒に過ごすようになり、少し落ち着いたかなと感じた。
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タイトルが好き。 タイトルに惹かれて手にとった本。 三姉妹の日常を描いた物語。 一見、ぶっ飛んでいるように思える3人だが、読み進めていくうちに、誰しもが3人に近い感情を抱いていて、これは案外リアルかもと感じた。同時に物語にどんどん引き込まれていった。 「思いわずらうことなく愉...
タイトルが好き。 タイトルに惹かれて手にとった本。 三姉妹の日常を描いた物語。 一見、ぶっ飛んでいるように思える3人だが、読み進めていくうちに、誰しもが3人に近い感情を抱いていて、これは案外リアルかもと感じた。同時に物語にどんどん引き込まれていった。 「思いわずらうことなく愉しく生きよ」 いい言葉だな
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犬山家の三姉妹、長女の麻子は結婚七年目。DVをめぐり複雑な夫婦関係にある。次女・治子は、仕事にも恋にも意志を貫く外資系企業のキャリア。余計な幻想を抱かない三女の育子は、友情と肉体が他者との接点。三人三様問題を抱えているものの、ともに育った家での時間と記憶は、彼女たちをのびやかにす...
犬山家の三姉妹、長女の麻子は結婚七年目。DVをめぐり複雑な夫婦関係にある。次女・治子は、仕事にも恋にも意志を貫く外資系企業のキャリア。余計な幻想を抱かない三女の育子は、友情と肉体が他者との接点。三人三様問題を抱えているものの、ともに育った家での時間と記憶は、彼女たちをのびやかにする―不穏な現実の底に湧きでるすこやかさの泉。
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3姉妹の一人ひとりに共感できる部分がありました。 姉妹ってこんな感じなのか〜と思いながら読みました。
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現実の愛する形をそのまま描いた物語。 現実はどこが常に齟齬があって、いろんなことを噛み締めたりするする飲み込みながら進んでいく。 姉妹が互いを受け入れている姿勢が表紙の部屋から溢れ出る光に似ているなあ。
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姉妹が本当にのびやかに暮らしている様が、読んでいて気持ちよかった。良い言葉だな、思いわずらうことなく愉しく生きよ。女であることって、幸せなのかもしれない。
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三姉妹の生き方、それぞれに抱える問題、悩みなど独特な言葉で語られていく。両親が離婚しているけれど幼少期は裕福で幸せだったことが分かる。タイトルの『思いわずらうことなく愉しく生きよ』という家訓が姉妹それぞれの捉え方で大人になってもあるのだと思う。麻子のDV問題は深刻だけれど夫婦の問題はなかなか踏み込めない様子も現実的にあり得るな、と納得できた。映像化も何年か前にされているようだか設定等は多少違っているようだかキャストを見て納得。長女木村多江、次女真木よう子、三女夏帆。
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思いわずらうことなく愉しく生きよ なんてのびやかな言葉なんだろう。 のびやかで温かくて、それでいてどこかしら強さもあって。 大人になったら家族であっても、心の内をすべて見せられるとは限らないけど、安心できる人、最終的には自分のことを受け入れてくれる人がいるというのは、とても心強い...
思いわずらうことなく愉しく生きよ なんてのびやかな言葉なんだろう。 のびやかで温かくて、それでいてどこかしら強さもあって。 大人になったら家族であっても、心の内をすべて見せられるとは限らないけど、安心できる人、最終的には自分のことを受け入れてくれる人がいるというのは、とても心強い。
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