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ブラフマンの埋葬 の商品レビュー

3.6

266件のお客様レビュー

  1. 5つ

    42

  2. 4つ

    89

  3. 3つ

    76

  4. 2つ

    20

  5. 1つ

    4

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2021/08/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

作中に登場するブラフマンがなんの動物なのか、ヒントは書いてありますが最後まで明かされず。ヒントの内容にはあわないが、頭のなかではタヌキがずっと浮かんでいた。ネットで調べたところ、カワウソじゃないかという意見が多く出ていた。なるほど。

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2021/07/29

 登場人物は第一人称もしくは職業名で呼ばれ、わざと「個」を掴みづらい感じにしているように感じた。それが作品を貫く少し不思議な雰囲気に良く合っていた。唯一、名前が割り当てられている「僕」が飼っているペットの「ブラフマン」もなんの動物なのかが具体的に書かれているわけでもなく、不思議な...

 登場人物は第一人称もしくは職業名で呼ばれ、わざと「個」を掴みづらい感じにしているように感じた。それが作品を貫く少し不思議な雰囲気に良く合っていた。唯一、名前が割り当てられている「僕」が飼っているペットの「ブラフマン」もなんの動物なのかが具体的に書かれているわけでもなく、不思議な生物としての印象が与えられていた。  作品や登場人物のもつ「不思議さ」や「不可解さ」は決して解き明かされるべきものではなくただそこにあるものとして肯定的に描かれていて、これがほんの少しの寂しさを含みながら作品全体を柔らかい優しい印象にしていた。

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2021/06/25

最初はおぼろげなブラフマンのイメージだったけど、読んでいるうちに、ブラフマンの姿が浮かぶようになってくる。遠い国で、本当にあった話のような気がする。絵本みたいな感覚の物語。解説読んで、南仏イメージなのかと納得。

Posted byブクログ

2021/06/20

森から迷い込んだ不思議な小動物を飼うことになった青年のお話。不思議な生き物がいじらしくて可愛くてたまらない。幻想的な、静謐な雰囲気のあるお話。

Posted byブクログ

2021/06/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

タイトルで答えは出てしまっているとは言え、最後が唐突過ぎてひどく寂しい気持ちで終わりました。 結末以外で、強く印象に残っているのはブラフマンを紹介したあとの、雑貨店の女の子の冷たい反応ですね。 私は本を読み進めていく中でブラフマンに対して愛着を持っていたので、当然女の子もブラフマンを愛でてくれるものだと思い込んでいました。 しかし、女の子は「勝手に動物を育てるなんて犯罪だ」「保健所に連れて行った方がいい」という正論を伝えてきます。 少し抽象化すると、 温度感の違いや前提の違いによって、意図していたものとは異なる反応が出てくることはよくあって、それの期待が大きいとひどく落胆してしまうことがあるということかなと勝手に解釈しています。 (しかも、それは双方向的に起こる)

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2021/06/17

タイトルから結末はわかってたけど、あまりにも最後が突然すぎて悲しかった。 別れというのは突然にやってくるんだなと。

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2021/06/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 引き込まれるように読んでしまった。ページを手繰ること数時間、日をまたぐことなく読み終えました。その誘いは至って優雅であり、決して推理小説のように貪るように本へ向かわせるのではなく、寧ろ私をそそのかすかのように優しく誘うようでありました。  としゃれ込んだ書き出しをしたくなるほど、本作の文章は美しく、帯に書いてある通り、静謐という形容が一番しっくりくる書きぶりでした。  文体が綺麗といっても、感覚とは相対的であり、人によって当然違います。異性の好みで例えると(ごめんなさい)、ちゃきちゃきした子がかわいいと思う人や、お嬢様系の人をかわいいと思う人、所謂グラマラスな方がいいとか、それはもう好みの問題とおんなじで千差万別です。  私が文章が綺麗と言うとき、真っ先に思い立つの西加奈子さんです。なんというか、個性的な美しさ、あるいは横溢する生命力のような力強さに惹かれます。一方小川洋子さんの作品もこれはもう美しいという以外の形容ができない文章でして、非常になめらかでおしとやかと言うのでしょうか。深窓の令嬢というか正統派美人というかのごとく、生まれや育ちが雰囲気から違うのを感じてしまうかのごとき美しさ。でもその雰囲気は、自然でいてかつ押しつけがましくない、寧ろ控えめといった体です。  と、書いた後で本作の文体の美しさが伝わったかやや不安になりましたが。。。  さて、本作の内容ですが、先ずタイトルからして予想がつきませんでした。冒頭で主人公の住処の窓を叩き、助けを求める存在。それが何らかの小動物だとわかりますが、ん?タイトル何だっけと肩に目をやりますと、ブラフマンの埋葬、とあります。ああ、何かしらの動物がブラフマンという名前で、これとの絆が構築され、そしてそれが途切れる、系の哀しい話なのかな、と当初は想定しました。  ところが実際には手に汗を握るような展開などなく、展開はいたって淡々と進みます。そしてあっけないばかりの突然の終了。  また、主人公以外にも数人の登場人物が出てくるものの、それらの背景や主人公との関係が騒がしく語られることもなく、その意味でも「静謐」。文脈や行間を想像しながら味わう作品であると思いました。 ・・・  実は小川氏の作品は遅ればせながら、私にとっては今回が初めてでありました。いくつかのブログで書評を拝見しておりとても気になっており購入に至ったものです。  ドラマチックな展開や大胆な構成が取られているわけではありません。ドラマ好きやアッと驚く系が好きな人にはお勧めできかねます。文章そのものの書きぶりを味わえる方にはおすすめできます。その点ではちょっと難易度高めだと思います。

Posted byブクログ

2021/05/22

和製純文気分で、ブラフマンの埋葬読了。 ブラフマンは、主人公と暮らしはじめた何かの哺乳類に付けられた名前。 ブラフマン以外の者に名前のない物語の中で、ブラフマンと共に送る日々日々、その喪失が静かに語られる。

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2021/03/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

タイトルが「ブラフマンの埋葬」なのだもの、ブラフマンの最期について読まなければいけなくなるだろうことは最初からわかっていた筈なのに。 たった180ページの作品の中で、ブラフマンは確かにその愛くるしい姿で生を謳歌していたのだ。 ブラフマンが何という動物なのかは作中で明らかにされてはいないけれど、私の脳内ではすっかりそれはカワウソとなって、せわしなく動き回り、水と戯れ、満ち足りて眠りについた。 ブラフマンの姿を見守ることは、私にとって、子どもを見守るときのような幸福を与えてくれた。 だからその瞬間、最初からわかっていたはずのその瞬間が来た時、私は全く無防備だった。 僕とブラフマンの間にある、言葉すら必要としない全きな信頼と愛情。 子どもが親を慕うように、無条件で僕を信じ、求め、僕に何かあったら全力で守ろうとするブラフマン。 こんなに美しい感情のやり取りがあるだろうか。 だからこそ、警戒しなければならなかったその瞬間、脳内でブラフマンの姿を追っていた私は、ただ涙を流しながら立ち尽くすことしかできなかった。 たった180ページ読む間に、ブラフマンは私の心の中にしっかりと住みついてしまっていた。 そしてその瞬間、その場所がパリンと乾いた音を立てて壊れたことを、感じた。

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2021/01/30

ある出版社の社長の遺言によって、あらゆる種類の創作活動に励む芸術家に仕事場を提供している“創作者の家”。その家の世話をする僕の元にブラフマンはやってきた―。サンスクリット語で「謎」を意味する名前を与えられた、愛すべき生き物と触れ合い、見守りつづけたひと夏の物語。第32回泉鏡花賞受...

ある出版社の社長の遺言によって、あらゆる種類の創作活動に励む芸術家に仕事場を提供している“創作者の家”。その家の世話をする僕の元にブラフマンはやってきた―。サンスクリット語で「謎」を意味する名前を与えられた、愛すべき生き物と触れ合い、見守りつづけたひと夏の物語。第32回泉鏡花賞受賞作。

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