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ブラフマンの埋葬 の商品レビュー

3.6

266件のお客様レビュー

  1. 5つ

    42

  2. 4つ

    89

  3. 3つ

    76

  4. 2つ

    20

  5. 1つ

    4

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2022/09/01

小川洋子の小説を読む時の、少し背筋が伸びる感覚が気に入っている。 ただし、それは作品自体のエッジとは全く関係ないしていないところでもあり、今作はタイトルからいきなり不穏だったりする。

Posted byブクログ

2022/03/23

初めて読む作家さん。南仏でインスピレーションを受けて出来た作品らしい。確かに、風景描写はヨーロッパの田舎村という感じ。 全編通して不思議で静かな時間が流れる。ブラフマンが何の動物か分からなくて途中までイライラしてしまったけど(短気…)、カワウソを思い描いてからはすんなりと読めた...

初めて読む作家さん。南仏でインスピレーションを受けて出来た作品らしい。確かに、風景描写はヨーロッパの田舎村という感じ。 全編通して不思議で静かな時間が流れる。ブラフマンが何の動物か分からなくて途中までイライラしてしまったけど(短気…)、カワウソを思い描いてからはすんなりと読めた。

Posted byブクログ

2022/02/07

結局最後までブラフマンがなんなのか判明しなかったけど、なんとなくカワウソっぽい動物をイメージした。 そして最後があっけなくて驚いた。娘への主人公の怒りも感じなくて、消化不良。 でもこの人間味の無さが小川洋子氏の作品らしいと思う。 タイトルにあるブラフマンの埋葬は最後にようやく行わ...

結局最後までブラフマンがなんなのか判明しなかったけど、なんとなくカワウソっぽい動物をイメージした。 そして最後があっけなくて驚いた。娘への主人公の怒りも感じなくて、消化不良。 でもこの人間味の無さが小川洋子氏の作品らしいと思う。 タイトルにあるブラフマンの埋葬は最後にようやく行われるシーンなんだけど、この物語自体が埋葬の儀式的なものなのかも知れない。ブラフマンが生きた時を記すことが弔いの儀式にあたるのかなと。

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2021/12/30

小川洋子さんの作品は、生物の生と死を連続的なものとして、日常の延長線上に捉えているように感じることが多い。最後、ブラフマンは突然の死を迎えるような印象だが、生の次の形としての死として作者としては自然の成り行きと捉えているのかもしれない。また、ブラフマンの死の直前に青年と娘の関係性...

小川洋子さんの作品は、生物の生と死を連続的なものとして、日常の延長線上に捉えているように感じることが多い。最後、ブラフマンは突然の死を迎えるような印象だが、生の次の形としての死として作者としては自然の成り行きと捉えているのかもしれない。また、ブラフマンの死の直前に青年と娘の関係性に変化が現れるような含みを持たせていて、ブラフマンの喪失が娘との関係性の発展を暗示しているのかも。穿ちすぎ?

Posted byブクログ

2021/12/03

淡々と過ぎて行く孤独な日々で、いつも傍らにいたブラフマン。あまりにも唐突な事件に言葉を失ってしまった。読みながら涙が止まらなくなった。ずっと大事にしたい作品。

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2021/11/07

率直に思ったのは村上春樹の文体や雰囲気に似ている、と思った。それが良いか悪いかは置いておいて、僕とサンスクリット語で謎といわれるブラフマンと名付けられた不思議な生き物とのひと夏の思い出。 個人的にストーリー的には特に秀でたわけでもないように感じた。しかし、文体のひとつひとつに小川...

率直に思ったのは村上春樹の文体や雰囲気に似ている、と思った。それが良いか悪いかは置いておいて、僕とサンスクリット語で謎といわれるブラフマンと名付けられた不思議な生き物とのひと夏の思い出。 個人的にストーリー的には特に秀でたわけでもないように感じた。しかし、文体のひとつひとつに小川洋子さんのカケラが見えたのでよかった。

Posted byブクログ

2021/10/01

ブラフマンの足音の描写が好きだった。ブラフマンがどういう生き物なのかわからない部分もあるけど、足音を思い浮かべるだけで愛おしい気持ちで胸がいっぱいになる。足音だけじゃなく、食事を催促するために尻尾で床を打つ音、ひまわりの種を両手で持って齧る音、彼が生きている音がまるで耳元で聞こえ...

ブラフマンの足音の描写が好きだった。ブラフマンがどういう生き物なのかわからない部分もあるけど、足音を思い浮かべるだけで愛おしい気持ちで胸がいっぱいになる。足音だけじゃなく、食事を催促するために尻尾で床を打つ音、ひまわりの種を両手で持って齧る音、彼が生きている音がまるで耳元で聞こえてくるかのような描写が多くて、ブラフマンの気配を感じる小説だった。

Posted byブクログ

2021/09/16

淡い雰囲気が漂う作品でした。 「現実感」が妙に薄く、どこか遠い国の生活を見ているようでした。 そして何より、ブラフマンがかわいい。どんな動物なのか想像しながら読み進めることはとても楽しく、可愛い姿を想像しては和みました。

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2021/09/01

ブラフマンがなんなのか、動物だと思うが最後までわからなかった。 ただ、読んでるうちにタイトルの通り嫌な予感があって、やっぱりってなってしまった。 ただ、静かな世界観は心地よかった。

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2021/08/26

久しぶりに小川洋子の小説を読んだ。連続して読んでいると、その世界に浸り過ぎてしまって、よくないなという気がなぜかするので、時々読むようにしている。 怪我をしている正体不明の動物を見つけ、自分の部屋で世話をすることにする。どんな動物なんだろうと想像するが、具体的に何なのか、または...

久しぶりに小川洋子の小説を読んだ。連続して読んでいると、その世界に浸り過ぎてしまって、よくないなという気がなぜかするので、時々読むようにしている。 怪我をしている正体不明の動物を見つけ、自分の部屋で世話をすることにする。どんな動物なんだろうと想像するが、具体的に何なのか、または何に近い生き物なのかはイメージしないまま読み進めることに決めた。だからブラフマンと名付けられたこの愛すべき生き物は、わたしの頭の中でその姿は映像として浮かんでこない。 主人公は、芸術家が集まる寮(のようなもの)の管理人をしている。そこはモノを作る人であればだれでも訪れることができ、好きなだけ滞在することが出来る。彼はその人たちのお世話をしている。 生活に必要なものを買いに行く小さな雑貨屋には、お店の手伝いをしているオーナーの娘がいて、おそらく彼はこの娘のことを好きなのだろう。だけど娘には他に好きな人がいて、その人は列車に乗って定期的に彼女を訪ねてくる。いつも二人が愛を交わし合う場所は古いお墓の洞くつの中だから、きっとこの二人の関係はあまり表立ってはいけないものなのかもしれないと思わせる。 タイトルから想像できる通り、ブラフマンは唐突に死んでしまう。 寝るときにのブラフマンの様子はとてもかわいかった。甘えん坊でやんちゃなブラフマン。 泳ぐことが大好きだったブラフマン。 彼の死を一番悲しんだのはもちろん主人公であったと思うが、それでも悲しみの描写は特になく、わざとなのだろうかと思えるほど淡々と綴られていた。もしかしたら、読み手のわたしのほうが分かりやすく悲しんだのではないかと思うくらいだ。 穏やかな日差しの中にも、雨が降る前のひんやりとした風の中にも、買ったはいいけど勿体なくて着ることができない綺麗な色のセーターの袖口にも、見えないけど多分、死の影が澱のように積もっているのだろう。生きているわたしたちは、生の喜びに必ずついてまわる死の存在に気がつくことができない。そんなことを思わせるような、まるで一編の詩のような話だった。

Posted byブクログ