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ブラフマンの埋葬 の商品レビュー

3.6

266件のお客様レビュー

  1. 5つ

    42

  2. 4つ

    89

  3. 3つ

    76

  4. 2つ

    20

  5. 1つ

    4

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2024/02/17

作者の動物の描写には脱帽。ワールド全開。 章の終わりのブラフマンの取説が微笑ましい。 ラストは唐突でありながら埋葬品の中身で救われる。 いつまでも読んでいたいと思わせてくれる作品。

Posted byブクログ

2024/02/05

「謎」の生物、ブラフマンが本当に愛くるしい。⁡ ⁡⁡ ⁡この物語の、登場人物は 干渉せずただ、静かに各々の時を過ごしています。⁡ ⁡⁡しかし、干渉しない物語から足を1歩踏み出してしまった「僕」。⁡ ⁡その先に訪れるのは…。⁡ ⁡⁡ ⁡なぜ「僕」はあんな行動をしてしまったのか⁡ 好...

「謎」の生物、ブラフマンが本当に愛くるしい。⁡ ⁡⁡ ⁡この物語の、登場人物は 干渉せずただ、静かに各々の時を過ごしています。⁡ ⁡⁡しかし、干渉しない物語から足を1歩踏み出してしまった「僕」。⁡ ⁡その先に訪れるのは…。⁡ ⁡⁡ ⁡なぜ「僕」はあんな行動をしてしまったのか⁡ 好意か嫉妬か、愛すべきものを否定された仕返しなのか。⁡ ⁡⁡ 鼻の奥がツンとするような作品を読んだのは⁡ ⁡久しぶりでした。 ⁡

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2023/12/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

これは残るなー何度も読みたい。 レース編み作家がなんとなく自分自身に重なる気がして、レース編み作家目線の話が読みたいと勝手に思ってみたり。

Posted byブクログ

2023/09/28

物静かな主人公とブラフマンとの、静かな出会いと静かな別れが、淡々とした叙事的な文章で語られる。 先日読んだ井伏鱒二「山椒魚」と同じく、この作品の中では空想上の生物であるブラフマンの描写だけがリアルだ。 現実的に「あり得る」はずの他の登場人物達は、主人公が密かに想いを寄せる「娘」...

物静かな主人公とブラフマンとの、静かな出会いと静かな別れが、淡々とした叙事的な文章で語られる。 先日読んだ井伏鱒二「山椒魚」と同じく、この作品の中では空想上の生物であるブラフマンの描写だけがリアルだ。 現実的に「あり得る」はずの他の登場人物達は、主人公が密かに想いを寄せる「娘」でさえ、あるいはその「娘」への想いさえ、どこかぼんやりしている(村上春樹の世界の終わりを連想させる)。 ブラフマンを失った主人公の悲しみについては何も書かれていない。 書かれているのは、「娘」から聴く言葉がどこか平板であり、声を発さないブラフマンの表情は主人公に豊かな心情を語りかけていることである。 ブラフマンが枯葉を踏み締める音や、食事を求めてふくらはぎにすり寄る体温を、主人公はつぶさに語れるということである。 ベッドで眠る我が子の手を握り、寝顔に見とれていたくなる、そんな本である。(単に疲れて帰ってきただけのことかもしれませんが) 2016.5.11

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2023/09/19

“夏のはじめのある日、ブラフマンが僕の元にやってきた。” その子犬のような小さな生き物は、痩せて傷つき、震えている “最初に感じ取ったのは体温だった。 そのことに、僕は戸惑った。 朝露に濡れて震えている腕の中の小さなものが、こんなにも温かいなんて信じられない気持ちがした。 温...

“夏のはじめのある日、ブラフマンが僕の元にやってきた。” その子犬のような小さな生き物は、痩せて傷つき、震えている “最初に感じ取ったのは体温だった。 そのことに、僕は戸惑った。 朝露に濡れて震えている腕の中の小さなものが、こんなにも温かいなんて信じられない気持ちがした。 温もりの塊だった。” それから僕はブラフマンとの濃密な日々を過ごしていき、彼の生態について詳しく記録していくのだ。 ※ブラフマンの尻尾 ※ブラフマンの眠り方 ※ブラフマンの食事 ※ブラフマンの足音    ・    ・   そして最後は…… ※ブラフマンの埋葬 なんて愛おしいのでしょう。 愛情しかありません。 この物語の世界はとても美しく静か。 自然に囲まれた小さな村は、死者たちの世界のようで現実味がない。 古代墓地にいくつも転がる石棺や墓標。 埋葬人の見張小屋。 過去も未来も持たない僕。 この静けさや曖昧さが、なんとなく村上春樹の世界を思わせる。 その中で、ブラフマンの存在が生き生きと生命力に溢れているのだ。 170頁程の文章には、想像を巡らせるのに充分な余白と余韻があり、胸の奥深くに沁みていく。 あぁ、私達は生きているのだな。 ※この本は、いるかさん・地球っこさんに「小川洋子さんの好きな作品」として教えて頂いた中の一冊です。 ありがとうございます♪

Posted byブクログ

2023/08/13

4.0くらい 小川洋子っぽいと言えばぽいけど解説に書いてあったみたいに南仏の夜明けみたいな雰囲気を密に感じ取れて真新しくて微睡むような空気を言葉として紡いだみたいな話

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2023/08/10

 太陽の光を浴びて輝く泉の水面、風に誘われてさざめく樹々たち、自然の中で思いきり遊ぶブラフマン……。すべての描写を記憶したくなる程、美しい文章だった。  架空の動物であるブラフマンの仕草は可愛さに溢れていて、見た事のない生き物を、ここまで鮮やかに描き出す文章に魅了され続けた。  ...

 太陽の光を浴びて輝く泉の水面、風に誘われてさざめく樹々たち、自然の中で思いきり遊ぶブラフマン……。すべての描写を記憶したくなる程、美しい文章だった。  架空の動物であるブラフマンの仕草は可愛さに溢れていて、見た事のない生き物を、ここまで鮮やかに描き出す文章に魅了され続けた。  穏やかな日常が次第に不穏な雰囲気へと変わっていく様子が、季節の移ろいと共に感じられる。主人公である〝僕〟の純粋さに翳りが差し、引き起こされてしまった結末は心が痛み切なさが込み上げた。しかし物語は〝僕〟の心に宿ったエゴを非難する事なく、淡々と出来事だけを書き連ねていく。その表現のされ方に心はより深い余韻に包まれた。

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2023/08/18

作中ではブラフマンは「謎」という意味だけが出てくる。それゆえに、その姿が我々が名前を知っている何かに当てはまる必要はないのだろう。 とはいえ、造語ではなく元よりある言葉なだけに、その意味から作中の抽象が何を表現しているのか解釈したくなってしまう。 高校の倫理を履修した人なら覚...

作中ではブラフマンは「謎」という意味だけが出てくる。それゆえに、その姿が我々が名前を知っている何かに当てはまる必要はないのだろう。 とはいえ、造語ではなく元よりある言葉なだけに、その意味から作中の抽象が何を表現しているのか解釈したくなってしまう。 高校の倫理を履修した人なら覚えているかもしれない。"ウパニシャッド哲学"なんて言葉と一緒に出てくる「ブラフマン」とは、宇宙の根本原理をさす。 つまり、全てのものの根源がブラフマンであり、「宇宙の創造主」とも言われる。 とすると、作中のブラフマンは、芸術家たちが活動する〈創作者の家〉が、その創作が、生んだものなのであろう。いや、それぞれの創作がうまれる根源がもつ生きた熱量がこの家で融合し、姿をもっただけ、すなわちブラフマンから創作がうまれたという見方の方が哲学に即しているのか。 いずれにせよ、ブラフマンは作中でも宇宙の根本原理であり、僕の存在が認識される世界における原理原則、各人がもつ領域の調和そのものであったのだろう。 しかし、僕はラストシーンで娘の領域に踏み込む。その結果、ブラフマンは失われる。 小川洋子の描く世界がこんなに言語化しやすいとも思わないので、ただの素人の解釈に過ぎないが、これが私が読んだものである。 「創作」「宇宙」などのワードが見られたので、遠からずな気もしているが。 今回も、言葉と脳みそでは掴めないような物語に心が休まった。幹に空洞ができることを「まるで森がため息をつく時の唇のよう」と表現するところなど、また小川洋子の世界に触れることができているんだと静かで幸せな気持ちになった。

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2023/07/19

ブラフマンは勝手に犬だと思っていたけど、皆さんの感想を読むとカワウソかもと描かれていて、そうなのか!と。 淡々と進んでいく物語、最後もあっさり終わってしまうけど、自然に囲まれた穏やかな風景とブラフマンとの日々はじんわり残ってる。

Posted byブクログ

2023/06/19

主人公と野生動物の話なのだが、人間関係やせっかくの舞台となる主人公の暮らす施設で物語が展開されることはなく、登場人物たちは動物を除き固有名詞がないまま、主人公の心情のみで展開する小説。博士の愛した数式を読んでからの自分には、期待はずれでした。

Posted byブクログ