送り火 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
新宿から郊外へと伸びる架空の私鉄「富士見線」を共通の舞台に、様々なストーリーを繋ぎ合わせた短編集。 ニュータウンに住んでいた重松清ならではの都会と廃れつつある郊外の対比が王道ではあるものの、「流星ワゴン」に似たファンタジー感がどのエピソードの根底にもある。 ただどちらかというと死者の霊や呪いなどゾッとするストーリーが多く、ハートフルなストーリーが多い重松清作品の中では意外な1冊だった。 個人的にはタイトルにもなっている「送り火」が胸を締め付けられて、悲しくも温かいお話でお気に入りでした。反対に、小さい子供ができた今、「漂流記」はファンタジーではない怖さを感じたのでしばらくは読まないと思う、、汗
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時々、霊的なものも出ちゃったりするけど、基本的には家族って大事だよねぇ?と思える切なくも暖かい話。 重松さんの描く家族って懐かしい日本って感じがして、こんな風に家族を思い続けたいと思える。
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架空の私鉄沿線「富士見線」を囲んで展開される、ときどき怖くてときどき悲しく、そしてときどき温かい人生劇場が9本。ここには孤独なオジサンがいる、女性フリーライターがいる、子どもを亡くした夫婦がいる、神経をすり減らす主婦がいる、超能力を持つ駅員とイジメに悩む小学生がいる、パンク音楽に...
架空の私鉄沿線「富士見線」を囲んで展開される、ときどき怖くてときどき悲しく、そしてときどき温かい人生劇場が9本。ここには孤独なオジサンがいる、女性フリーライターがいる、子どもを亡くした夫婦がいる、神経をすり減らす主婦がいる、超能力を持つ駅員とイジメに悩む小学生がいる、パンク音楽にあこがれていた中年がいる、親子の絆を喪った女性がいる、離婚秒読みなサラリーマンと地縛霊がいる、そして人生の終わりを見つめる女性がいる??どの話も全く異なったカラーで、人生の様々な局面を味わえる。万華鏡のような逸品だ。
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久しぶりの重松清。この人が書くホラーテイストの話は初めて読んだ。人を見る観察眼が鋭い人が書くと、ホラーは一段と怖い。一見すると理解出来そうだが、ギリギリのところでやはり気狂いじみている境界線をうまく描き、そしてやはりそれは恐怖以外の何物でもない。この人は、長編よりも短編集の方が輝...
久しぶりの重松清。この人が書くホラーテイストの話は初めて読んだ。人を見る観察眼が鋭い人が書くと、ホラーは一段と怖い。一見すると理解出来そうだが、ギリギリのところでやはり気狂いじみている境界線をうまく描き、そしてやはりそれは恐怖以外の何物でもない。この人は、長編よりも短編集の方が輝く作家さんのように思える。色々な感情の起伏を味わえる一冊。
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先日、盂蘭盆会に行った後に手にした本である。 重松氏の小説は、昭和30年代のほのぼのした小説が、多い中、最初の『フジミ奇譚」は、化け猫?的なんだけど、いい意味の妖怪が、描かれて、ビックリした。 それも富士見として、不死身に変換されてから描いたと、、、書かれてあった。 『かげ...
先日、盂蘭盆会に行った後に手にした本である。 重松氏の小説は、昭和30年代のほのぼのした小説が、多い中、最初の『フジミ奇譚」は、化け猫?的なんだけど、いい意味の妖怪が、描かれて、ビックリした。 それも富士見として、不死身に変換されてから描いたと、、、書かれてあった。 『かげぜん』も、子供が、亡くなってから届く、ダイレクトメール。 本当だと、嬉しいメールが、悲しみ一杯にの所に水を差すように、冷たく感じるメールとなる。 「昔の親は、家族の幸せを思う時、なぜか自分自身は、感情に入ってなかったんだよねぇー」という言葉は、やはり、昭和30年代の以前の人たちが、思っていたことだろうと、思う。 自分の食べ物も、家族が、笑って食べるのを見るのが、幸せと、感じた親が、多かった。 着物にしても、ほどいて、洗って、子供用に仕立てて、そして、布団のカバーにしたり鏡台の覆いにしたり、袋物になって、消滅していくように、親も、子供たちへ一杯の愛情をこめて育てていた風景が、重松氏の描く小説に、描かれているように思えた。
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架空の私鉄「富士見線」を舞台にした短編9編を収めた2003年発売に発売された文庫本です。 あとがきに「それぞれ独立した話だが、書き手としてはひそかに縦糸を通しておいたつもりだ」と書かれていましたが、私鉄沿線という素材を使いながら「人の暮らし・幸せ」という共通テーマを持たせたオム...
架空の私鉄「富士見線」を舞台にした短編9編を収めた2003年発売に発売された文庫本です。 あとがきに「それぞれ独立した話だが、書き手としてはひそかに縦糸を通しておいたつもりだ」と書かれていましたが、私鉄沿線という素材を使いながら「人の暮らし・幸せ」という共通テーマを持たせたオムニバスな作品だなと思います。 自分自身の具体的な日常生活につながりながら、「家族とは」「親子とは」など振り返って考えせてくれるものでした。 お勧めの一冊です。
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富士見駅をテーマにした短編集。 いつもの重松さんらしい、あたたかでじんとくるお話は少なく、ぞわりと不気味なお話が多かった。ベビーカーの話やフリーのライターが町の噂を捏造するお話は特に…。ムラさんの話やホームの幽霊の話はいつもの重松さんで安心した。
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短編集。前半のお話はちょっと怖い。寝る前に読むの失敗した・・・と思ったものの、後半に向かうにつれほっこり。家族って何かな。親子って夫婦って。と自然と自分の家族と対比させながら読んでいた。みんな折り合いつけながらやってる。家族っていいなぁと思う反面、やっぱり煩わしいなぁとも。これか...
短編集。前半のお話はちょっと怖い。寝る前に読むの失敗した・・・と思ったものの、後半に向かうにつれほっこり。家族って何かな。親子って夫婦って。と自然と自分の家族と対比させながら読んでいた。みんな折り合いつけながらやってる。家族っていいなぁと思う反面、やっぱり煩わしいなぁとも。これから私が作る家族はどんな物語になっていくのでしょう。
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夜中に地元の私鉄電車に乗っていると、ふと違う世界に迷い込む感覚に襲われるときがある。 田んぼばかりの田舎。灯りのない真っ暗な景色。不安と高揚感が入り混じったような胸のざわめき。 この作品はそのときの感覚に似ている。 不気味で怖いけれど、その先に何があるのか知りたくなる。
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重松清さんの作品の中でも、いつもと一味違うこの作品。 富士見線という架空の私鉄路線を舞台に繰り広げられてゆく9編。 奇妙というか、不気味というか、なんと表現したらいいかわからないものがありますが、どこか温かみを感じる短編集でした。意外とスラスラ読めてしまいました。
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